――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習6)

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習6)
【知道中国 2340回】                       二二・三・仲二

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習6)

「糞便桶」、またの名を「馬桶」。直径と高さが共に40cm前後の木製の桶で、中には漆塗りの細工がされた芸術作品もかくあれかしとするようなリッパなものの写真を見たことがあるが、とどのつまりは持ち運びできる簡易便器。翌朝に家の入り口に出しておけば、業者がやって来て回収し、キレイに処理して元に戻して置いてくれる。

都市部の一般家庭に便所がないことから行われていた習慣だが、1990年代初頭に上海に出掛けた際、朝早く下町をブラブラしていたら妙齢の女性が家の前に側溝に“内容物”をぶちまけ、中に水を入れ「馬桶刷子」と呼ぶ竹製のささらで内側をグリグリとかき回し、汚れた水を目の前の路地の石畳の上にパッと撒いて家の中に引っ込んだ――その“手練の早業”を目にして感心(寒心?)するしかなかったが、「糞便桶を川辺で洗わず」と呼び掛けた『少年自然科学叢書 顕微鏡的日記』が出版されてから40年ほどが過ぎていただけに、尋常一様な驚きではなかった。加えて彼女が手にした馬桶が黒光りしていたのには感動一入だったが、たぶん長年に亘って使い込まれたものなのだろう。

生活文化の伝統は容易には改められないというのか。それにしても香港生活でも痛感したことだが、食物・料理には最高度に神経を払うくせに、なぜ中国人は糞便関連には馬馬虎虎(テキトー)、ぞんざい、そして無神経なのだろうか。

さてクサイ話はこの辺にして、先に進みたい。

手許にある54年出版のものは4冊で、3冊がソ連の子ども向け物語を、1冊がウズベク民族の民間説話を翻訳したもの。出版社は4冊とも少年児童出版社である。それらを簡単に紹介しておくと、

『大?和小?』(2月出版。以下、同)には、日々刻苦勉励して学ぶことで立派な生徒になれる(「金鑰匙陽光」)。教室でのガヤガヤ騒音を生徒が力を合わせてなくすことで落ち着いて勉強ができるようになる(「大?和小?」)。教室で怠け者に取り憑こうと教科書に潜り込んだバケモノが、ついには教室から叩き出される(「五種分数的故事」)。夢の中で怠けてしまった「昨日」を探そうとするが、「昨日」が見つからないばかりか「今日」も見失ってしまう。「今日」の大事さを教え諭す(「昨天的故事」)――の4題が収められている。

『烏茲別克民間故事』(4月)は、「ウズベクはソ連に暮らす民族の1つで、この本にはウズベク族に伝わる鳥獣や人間をテーマにした19本の民間説話が収められています。そこから我われは勤勉で、勇敢で、聡明なウズベク民族がなにを憎み、なにを大切に思い、なにを願っているかを読み取ることが出来ます」と概説している。

19本の最後が横暴で国民を苦しめる国王を父に持つ麗しい王女が、自らの意思で貧しい牧童と結婚する物語だ。最後が「彼らは国王に代わって国政を司り、監獄に押し込められていた罪無き人々を解放し、彼らに物資を与え、多くの人々を都市における政府職員に任命した。このようにして、彼ら2人は自らの望みを実現したのだ」と結ばれている。まさに父親殺しの革命賛歌と言ってもよさそうな怖い物語でもある。

『開花的時間』(9月)は、ソ連の自然の豊かさ、そこに生きる人々の素晴らしさ、そして自然の力と科学の知見を融合させたソ連式農法の先進性が称えられている。

『小鶴飛到?児去了』(9月)はシベリア生まれの小さな鶴の物語で、様々な危険の乗り越えアフリカに住む両親の許に辿り着き、アフリカの良さを知る。だが、この上なく素晴らしい故郷に両親と共に帰来する。苦しい旅を経た小鶴がシベリアの大地に持ち帰ったものは春の息吹であった、と物語は結ばれる。

その内容からは、この時期の中国がソ連追従式教育を行っていたことが読み取れるのだが・・・。スターリンの死は53年3月。4冊の児童書出版の1年前であった。《QED》

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