平成19年度李登輝友の会愛知総会TOP

第ニ部 記念講演会

『覇権国家・中国に如何に立ち向かうか』  講師 宮崎正弘氏

宮崎正弘プロフィール

評論家、作家、1946年金沢生まれ、早稲田大学中退。
「日本学生新聞」編集長、雑誌「浪漫」企画室長を経て、貿易会社を経営。
82年、「もうひとつの資源戦争」(講談社)で論壇へ。
中国ウォッチャーをしては84年「中国の悲劇」斯会の注目となり、以後、
「中国、次の10年」「中国大分裂」「中華帝国の野望」「人民元大崩壊」など
を矢継ぎ早に発表、そのうち4作は中国語訳も出版され、世界のchine-wa
tcherとしてもみとめられてきた。日本李登輝友の会理事。

 第二部は、中国ウォッチャーとして有名な宮崎正弘先生をお招きし講演をいただいた。その内容を紹介したい。
講演に入る前に6月に訪日した、李登輝前台湾総統について話された。
今回の来日は「後藤新平賞受賞式」が第一であったが、李登輝氏は、その後藤新平を「台湾の民主化・近代化
の礎を作った」と高く評価している。
そして、どうしてあの当時の日本人は、日本の税金を使ってまで台湾のためにいろいろしてくれたのか? 翻っ
て今の日本人は、どうなのか? それは、当時の日本人は人生を肯定的に捉えていた。李登輝氏は、「日本人
はもっと毅然としているべきだ」とメッセージを送っている。
 しかし、李登輝氏は何故、日本でこんなに人気があるのだろうか? それは、戦後、日本には英雄と呼べる政
治家がいないことを指摘。 李登輝氏は、堂々とそして品のある日本語を話す。 
 台湾には「友愛グループ」という日本語を上手に使う人たちがいるが、和歌など現代日本人では太刀打ちでき
ないくらいのレベルにある。 日本統治時代を知る台湾人は、日本文化を含む情緒感を思い起こさせるのが上手
い、ということが言えると思う。

 本題に入り「中国がいかなる国か」について語る。
 中国は国ではありません。近代国家は、市町村など末端へ行っても国のサービスを国民が受けられるようになっている。 通常、その村で一番偉いのは、村長になる
のだが、中国はその地域の共産党員が一番偉い。行政組織ではなく共産組織の分子が広がっているだけで、言い換えれば中国共産王朝が未だに続いており、そこに
いるのは特権階級・兵隊・残りは奴隷である。
 ところが、最近、第三の階級が台頭してきた。日本など外資導入で誕生した中産階級である。これが、共産党員6480万人と同数の6000万人いて色々な意味で中国を
変えつつある。
 例えば、香港のディズニーランドへ行く。もっとも香港のは本物のディズニーだが、高いので、多くは、ニセモノのところへ行く。また、マカオでギャンブルをする。胴元
に払うのが69億5千万ドルにも及ぶ。ちなみにラスベガスは60億ドル、マカオにはラスベガスの資本が入っている。
 中国は、30数年前までは言語が統一されていなかった。 もともと統一していた期間が短いので、緩めるとすぐにバラバラになる民族。そこで同化政策を始め、言語・
教育・マスコミを握り、北京語のみのテレビなどを推進し、チベットやウイグルでは文化を途絶えさせた。 しかし、それでも「これが中国である」という民族アイデンティテ
ィがない状態にある。
 また、宗教の存在も侮れない。キリスト教は、海外留学していた人が持ち帰り、地下で布教が進んでいるといわれその数、7000万人。しかし、台湾でもキリスト教の集
会と見せかけ独立運動をしていたことから、当局としては神経を尖らせている。
 法輪功の存在もある。公称7000万人といわれているが、話半分としても3500万は侮れない数字だ。法輪功の普及は中国の医療にある。以前は、共産党員しか診ても
らえなかったが、今は、お金を払えば診てもらえる。しかし、その金額が高い。それが払えないと診てもらえないわけだ。そこで、気功で治す。実際、治る人がいるわけで
「安いお金で病気がよくなった」と聞けば、皆行くもの。天安門は、活動家の学生によるものだが、スパイにより人物も特定され学生の数もそこまで多くない。それに比べ
宗教は、そうはいかない。
 そこで江沢民が考えたのは、毛沢東の「対内矛盾は対外矛盾に摩り替える」ということではじめたのが、「反日教育」だ。 「日本が全て悪い」ということで国内統一を図り
その結果、“従軍慰安婦”だの"南京大虐殺”だの言いはじめ、抗日人民記念館などは208箇所もある。
 ヒトラーは「嘘は100回言えば真実になる」と言ったが、中国は3回でいい。中国は、45000年嘘をついてきた。生まれてから死ぬまで嘘をつかないと生きていけない民族。
もっとも日本語でいう「嘘」は中国語では「シーッ(黙れ)」という意味。 嘘は当たり前のことでその中でも大嘘つきは、詭弁の詭で「詭話(きわ)」詐欺の詐で「詐話(さわ)」
という言葉で表現する。
 米テンプル大学で、嘘をつく時の脳波の研究を行っているが、嘘をつくときは7箇所の脳が活動し、嘘をつかないときは4箇所だそうで、それからすると嘘をつく中国人は頭
がいいということになる。

 一人っ子政策の余波が影響について
 彼らは、高いおもちゃを買ってもらい、家庭教師をつけられ、ほぼ全員が大学に進学する。しかし、その半分に職が無い状態にある。それは、仕事を選んでいるから起き
ている。彼らがなりたい一番人気は、公務員。9時から5時で帰れて更に副収入(おそらく賄賂を指していると思われる)もある。 中国の国家予算伸び率は、国防費よりも公
用車の方が高い。公用車、国防で3番目が官官接待費となる。 楽で贅沢が出来る公務員が、「なりたい職業」とは
 ニ番人気は、外資系企業への勤務。その給料で家のローンが組めて車が買える。 前出の中産階級が、これに該当すると思われるが、特権階級が肥える一方で、貧しい
農民は、土地を追われる事態になっている。 中国では喜捨の精神は無く、富める者は財産を抱え込み、貧しい人に分け与える、ということはない。
 胡錦濤は「ハーモニー社会」「和解社会」といっているが、現実は農民暴動が年々増え、去年は12万件もあり、治安は悪化する一方でもはや、反日カードで国の統一が、
計れなくなってきた。そこで、今、株を売ることで庶民のガス抜きを計っているが、中国の株式市場は、当局が操作しているのはいうまでもない。

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