台湾「2・28事件」沖縄で日本人被害者の会結成

台湾「2・28事件」で県内被害者の会結成
[琉球新報 2014年1月30日]

 1947年に台湾で推計2万人以上の死者を出した「2・28事件」の県内犠牲者遺族や支援者でつくる「台湾2・28事件、真実を求める沖縄の会」(青山恵昭代表世話人)の結成会が29日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。犠牲者遺族ら約30人が参加した。同会は今後、台湾政府への犠牲者認定申請や証言者の調査などに取り組み、事件の真相究明を目指す。
 同会の前身となる「2・28事件沖縄委員会」の調査によると、現在判明している県出身犠牲者は青山恵先さん、仲嵩実さん、石底加禰さん、大長元忠さんの男性4人。遺族らはこれまで台湾政府に報告書を提出し、犠牲者認定と賠償を求めていたが、台湾以外の犠牲者を補償する法律がなく、賠償期間も2007年に終了したことから、暗礁に乗り上げていた。
 その後に台湾で賠償期間の延長を求める声が強まり、昨年5月に台湾立法院は賠償期間を17年まで延長する法律を可決した。これを機に県出身者遺族は「被害者の会」を結成し、あらためて台湾政府に犠牲者認定と賠償を求めることになった。
 台湾の基隆で行方不明となった仲嵩実さん(享年30)の遺族・清子さん(73)=浦添市=は「事件で闇に葬られた犠牲者を闇から救い出すことが遺族の強い願いだ。諦めることなく活動することが犠牲者の供養になる」とあいさつし、事件の真相究明を誓った。

2・28事件の県人遺族ら真相求め会結成  
[沖縄タイムズ 2014年1月30日 10:30]

 1947年に国民党政権が台湾人の抵抗運動を弾圧した「2・28事件」に巻き込まれた県出身者の遺族らが29日、「台湾228事件、真実を求める沖縄の会」を結成した。事件の真相究明や台湾政府による被害者認定作業を進める。代表世話人に就いた青山惠昭さん(70)は「犠牲者の無念を晴らすため連携しよう」と呼び掛けた。

 県関係者の被害を調査する「台湾228事件沖縄調査委員会」(代表・又吉盛清沖縄大学客員教授)によると、判明している犠牲者は、青山さんの父・惠先さん=当時(38)、仲嵩実さん=同(29)、石底加禰さん=同(39)、大長元忠さん=同(39)の4人。沖縄人集落があった基隆(キールン)や台北近郊で事件に遭遇した。

 会の結成に全遺族が賛同し、各家族から1人ずつが世話人に就任した。今後、台湾への被害者認定申請や、証言の聞き取りなどを進める。高齢化で被害認定申請に必要な資料の収集が難しくなり、申請期限が2017年5月と定められているため、台湾側と連携し早急に情報を集める方針だ。

 結成会では、又吉客員教授が当時、台湾には漁民を中心におよそ300人の県出身者がいたとみられるが日本政府が情報を伝えなかったために事件に巻き込まれたと指摘。「日本の対応も含めて問題提起が必要。事件を明らかにし、平和と友好を築こう」と訴えた。

 [ことば]2・28事件 1947年2月28日、台湾で起きた民衆の暴動事件。国民党の専制支配や台湾人差別が原因だったが、軍が2万人余を虐殺した。同党の馬英九総統は当時の政府の過ちを認めており、台湾では遺族への補償などが進んでいる。


台湾の声編集部コメント:
沖縄タイムズの解説欄では、馬英九が過ちを認めていると報道しているが、もともと政府の責任を認めたのは李登輝総統である。ただ、李登輝総統は被害者側の台湾人を代表する側面もあるため、中国人意識を持つ馬英九がこの見解を表面的であっても引き継いでいることは意味がある。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: