【阿彰の台湾写真紀行】米篩目(ミィチィムッ/ビィタイバッ、米苔目)

「台湾の声」【阿彰の台湾写真紀行】 No.3
米篩目(mí-chhî-muk:ミィチィムッ=台湾客家語/
bí-thai-ba̍k:ビィタイバッ=台湾ホーロー語)

 先に水に浸けて柔らかくしておいた台湾在来米を臼で挽いたり、ミキサーにかけたりして液状にしたものに圧力をかけ脱水させ、粄脆(pán-chhe:台湾客家語)と呼ばれるものを作る。それに番薯粉(サツマイモの粉)と、粄姆(pán-mà:台湾客家語)と呼ばれる粄脆を煮たものなどを加えたりして、かき混ぜながら揉みほぐし、柔らかい塊にする。その塊を、鍋の上に置かれた、小さい穴がたくさん開いている道具=米苔目枋(mí-chhî-muk-piông:台湾客家語)に置き、手で力強く押し付け、長い棒状(ヌードゥル状)の形にして押し出し、煮えたぎっているお湯の中に落として茹でる(在来米粉と片栗粉を煮ながら混ぜて生地を作り、生クリームの絞り機や絞り袋を利用して作る手軽な方法もある)。そして、茹であがった後にすくいあげ、冷たい水で急激に冷やしたものが米篩目である。
 
 この米篩目は、麺や米粉(bí-hún:ビィフン=台湾ホーロー語)のように熱い料理、例えばスープに入れたり、カレーに入れてカレーうどんのようにしたり、茹でたものに海山醤や甜辣醤などの甘辛いタレをかけた料理にするのはもちろんのこと、夏には冷やした甘いシロップに入れたり、かき氷と一緒(米篩目冰)にして、冷たく、そして甘い食べ物の材料としても使われている。台北市内では大稲埕(tōa-tiū-tiâⁿ:トアテュウティア=台湾ホーロー語)と呼ばれる地域内の台湾料理系の食堂でよく見かける。また、一部の香港系やベトナム系、ミャンマー系の食堂やレストランの料理にも使われている。

 一般的に米篩目のルーツは中国広東省の梅州市大埔一帯(住民の多くが客家人)だと言われており、米篩目の両端の先端の形がネズミに似ていることから客家語で老鼠粄と呼ばれているようだ。客家人の移民が多いシンガポールやマレーシアでは老鼠粉という名称、香港では銀針粉という名称も使われているそうだ。また台湾南部の客家人の間では米篩粄(‬mí-chhî-pán:台湾客家語)という名称も使われている。なお台湾の食堂の看板やメニューにはよく「米苔目」という漢字表記が使われているが、これは台湾ホーロー語発音の影響で生まれた中国語漢字表記である。

 台湾の年配者の間では、米の粉を溶いて液状にしたものから固めて生地を作り、それを麵のような形状に加工したり、餅菓子に加工することは元々客家人が得意とする食文化であるというイメージが定着しているようだ。

編集部より:「阿彰の台湾写真紀行」では、台湾在住のデザイナー、『台北美味しい物語』著者である内海彰氏が撮影した写真とリポートをお届けします。写真は末尾のリンクから取得することができます。またウェブで閲覧できるバックナンバーでは、記事とともに表示されます。


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米篩目1

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米篩目3

米篩目4

カレー米篩目

かき氷=米篩目冰

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