【詩】台湾の人(王明理)

台湾の人
                王 明理

光が強いほど ガジュマルの影は濃くなる
照りつける陽射しの下で
交わされる言葉は明るく
身を守る笑顔もくったくがない

そして夜
体の奥から吠え出てこようとする深い声を
酸っぱい胃液とともに
呑み込み 
目を瞑る

そして朝
温かな陽射しに抱かれて
気さくに挨拶を交わし
何事もなかったかのように
一日がはじまる

四〇〇年の植民地の歴史
奪われた母国語
いつまでたっても国として認めてもらえない国

親が子に泳ぎを教える
溺れない生きかた
水の流れに逆らわず 
水面をただ流されていく泳法

でも今 若者は魚のように跳ねる
覆いかぶさる波から
身をひるがえし
見つけようとしている
広い海を遠くまで行けるような
新しい泳ぎかた                
海に囲まれた島国にふさわしい
自分らしい泳ぎかたを

台湾人
            王明理著 陳麗君訳

光越炙烈 榕樹的影子越濃鬱
陽光照射下
交織的話語是開朗的
護身的笑顔不見憂慮

夜晩後
体内深処嘶吼欲出的沈厚声音
和著酸酸的胃液
生硬呑下
双目閉上

朝陽現
在温暖陽光的擁抱下
爽朗的互道早安
状若無事般
一日復始

400年殖民歴史
被剥奪了母語
至今仍不被承認為国家的国家

父母教孩子游泳
不溺水的生存法
不逆流的游泳方式
僅僅在水面上任由水流漂載

但是今天 年軽人宛如錦鯉跳躍
衝破裹身的波浪
翻転身体
想要找出
到遠処開闊海洋的
新的泳技
適合四面環海島国的
自己的游法

2014.4.4 08:00


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