【西村真悟】中共の日本侵略の手口とそれを誘い入れる日本の政局

【西村真悟】中共の日本侵略の手口とそれを誘い入れる日本の政局
                        

          西村真悟

 尖閣を「点」としてだけで観ていてはならない。
 東シナ海から南シナ海にわたる南北の海洋と東シナ海から西太平洋に抜ける東西の海洋という広大な我が国を取り巻く海洋の中の要衝として尖閣が存在する。
 中共は、この「広大な我が国を取り巻く海洋の中の要衝としての尖閣」を奪いにきているのだ。
 従って、この尖閣で中共の言い分に「理解を示す」ことは、全日本を中共に明け渡すことである。
 従って、先に書いた朝日新聞七月八日の社説の結論、
「日本政府は『日中間に領土問題は存在しない』という立場をとってきた。理屈はその通りだとしても、それ一辺倒では問題の前進は難しいのも確かだ。
 これを機に、争いがあることを認め、双方が虚心坦懐に向き合うことを望む。」
 などは、まさに売国の社説なのだ。
 そもそも「それ一辺倒では問題の前進は難しいのも確かだ」という「問題の前進」とは何か。
 有りもしない「領土問題」を「有る」とした上で、「中共の強盗の論理が前進すること」ではないか。

 次に、この社説が出てから、十一日に中共政府の「公船」三隻が、尖閣周辺の我が国領海内に侵入したことを如何に観るか。
 双方無関係だと思ってはならない。
 中共政府が、十一日に「公船」で我が領海を侵犯したことは、朝日新聞の社説が狙うとおりのことを獲得せんが為である。
 即ち、日本政府に「争いがあることを認め」させ、「問題を前進させる」為である。
 そして、この、まず日本に物理的圧力を加えてから獲物を手に入れるという中共の手口は、かつて見事に効を奏した手口である。従って、これからの中共の出方を見抜くためにも、次の事態を思い起こしておく必要がある。

 昭和五十三年八月十二日に、福田赳夫内閣のもとで日中平和友好条約が締結されるが、その前の、同年四月、尖閣周辺に突如百四十隻を超える中共の武装漁船が出現し、傍若無人に我が領海を侵犯し我が国の海上保安庁巡視船を威嚇した。
 この事態は、「平和友好」とは逆であり、平和友好条約締結など吹っ飛ぶ事態である。そして、福田内閣は驚き為す術を知らなかった。
 そこで、登場したのが?小平である。彼は、ニコニコして日本側に尖閣問題は「棚に上げよう」と提案し、武装漁船を尖閣周辺から引き上げさせた。
 福田内閣は、武装漁船がいなくなれば問題は解決すると思い込んで、武装漁船を引き上げさせてくれた?小平の「棚に上げる」提案に喜んで飛びついた。
 しかし、日中友好で煽られた日本の朝野は、その不覚に気付かなかった。
 そもそも、我が国の領土が「棚に上がった」のである。国土防衛という観点からは、完全な自覚なき敗北だった。
 自国の領土を棚に上げられて喜び安心するのは日本だけだった。

 今後、尖閣周辺の海域で、中共は、さらに領海侵犯をエスカレートさせ、銃撃戦も起こりうる。その時、かつての福田内閣のように、驚き腰を抜かしてはならない。
 驚けば、?小平の手法に絡め取られ、気がつけば、朝日新聞の社説のように「争いがあるということを認め、虚心坦懐に中共に向き合っている」ことになる。
 東京湾の伊豆七島で外国の船が銃撃してきたらどうする。応戦して相手を制圧するだろう。銃を持った暴漢が、東京ドームに立て籠もっても同じだ。
 これをしなければ、全日本の法秩序が崩壊する。
 従って、尖閣も同じだ。中共の「公船」を制圧して我が国の法に従って裁く。これが、「尖閣は日本固有の領土」という意味である。

 次に、尖閣だけを観ていてはならない。
 今の侵略最前線、最も中共の侵略を受けているのは、尖閣ではなく、実は沖縄本島であり政界とマスコミ界だ。
 「公船」だけが、中共の手口ではないのだ。巧妙な思想戦、宣伝戦つまり工作活動が中共の伝統的な侵略手口である。
 マスコミ界が中共にやられていることは、朝日新聞の例の社説などが自ら立証してくれている。

 沖縄本島のことであるが、米軍のオスプレイ配備反対の機運が異常に高まり、我が国の防衛大臣が「(沖縄配備の説得に)自信がない」と公言し、総理大臣が無関心を装い、沖縄県知事が、「オスプレイが配備されれば、沖縄の全基地を封鎖する」と驚くべき発言をした。
 沖縄のこの一連の事態の裏には、必ず中共の工作活動が存在する。
 この中共の思想戦、宣伝戦に注目し警戒しなければ、沖縄本島は尖閣よりも速く中共の掌中に入りかねない。

 そこで、「点」ではなく、広い「面」の中に日本をおいた立体的重層的な中共の日本侵略攻勢を意識しながら、この中共の目で我が国の国内政局を眺められよ。
 三年前に、百五十名ほどの与党の低級な議員を引き連れて北京に伺候した人民解放軍の司令官を名乗った男が、
「国民の生活が第一」という党を造ったとさ。

 我が国が、国家の存立に係わる如何なる厳しい国際環境の中におかれているかに関して、全く意識していないことを見事に表白した党名。
 まことに、開いた口が塞がらない党名。
 ダチョウの平和を疑わない党名。

 ・・・日本人として、恥ずかしいよ。

 最後に言っておく。我が国のこの国内状況は、
 敵が付け入る絶好の状況であり、
 中共の全面的な日本侵略行動発令への誘惑を確実に高めつつあるのだ!


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