【西村眞悟の時事通信】一歩を踏み出す

【西村眞悟の時事通信】一歩を踏み出す

                 西村眞悟

 国会内も、国会の外も、そこに群れる連中、見るに耐えなかった。何という劣化か。
 そして、この群れを煽る許し難い一部のマスコミ、
 それに乗る馬鹿議員、影で操る共産党、
 「九条守れ」、「戦争するな」、「徴兵反対」の思考停止。
 立派な売国の群れだった。

 しかし、そのなかで、本来の日本に戻るために、一歩前進した。
 安倍内閣、よくあの連中を相手に、我慢して、よくやった。
 泥、泥のなかから、蓮の花がぱっと咲いたような気がする。

 一年前の閣議決定による安倍総理大臣の「集団的自衛権行使の表明」に加えて、
 この度の安保法案成立は確かに快挙である。

 とはいえ、成立した法案は、あれはできる、これはできない、とややこしい。
 しかし、一歩を踏み出したと評価する。

 そのうえで、言っておく。
 自衛権は、
 我が国の国内法秩序がないところで、
 もしくは、我が国の国内法秩序が破壊されているところで、
 我が国の国内法秩序など全く守るつもりのない敵に対して、
 国家と国民を守るために行使するものである。
 従って、自衛権を、
 国内で国内法に従って行使される警察権と同じように扱ってはならない。
 つまり、
 警察権は、法律に規定のあることができる、規定のないことはできない(ポジリスト)。
 自衛権は、法律に禁止されていないことは、できる(ネガリスト)。

 この度の法案は、ポジリスト(警察)からネガリスト(軍隊)への発想の切り替えがない。

 しかし、心配はいらない。
 ここ(自衛権行使、つまり軍事)は、
 スタッフ(参謀)を従える最高指揮官が決定する領域である。
 即ち、
 最高指揮官(つまり内閣総理大臣)が、自衛権を行使すると決定すれば行使する。
 そして安倍総理(最高指揮官)は、
 既に集団的自衛権を行使すると表明しているからこれで十分である。

 では、この度の国内の法律によると自衛権を行使できないが、
 行使しなければ国家と国民が取り返しのつかない危機に遭遇するときどうするのか。
 そのときは、総理大臣(最高指揮官)は、「超法規的措置」をとる。
 つまり、法律を無視して、敢然と自衛権を行使できるのだ。

 昭和五十二年九月二十八日、日航機ダッカハイジャック事件、これだ。

 福田赳夫総理は、十月一日、「人の命は地球より重い」との声明を発し、
 「超法規的措置」によって、ダッカにいる犯人(日本赤軍)の要求を吞んで、
 服役中および拘留中の者六名と六百万ドルをダッカの犯人に引き渡した。

 福田赳夫総理の、この決断内容の当否はともかく、
 行政権をもつ内閣の首班にして自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣は、
 超法規的措置を決断実行できるということを、ここで強調しておきたい。
 この意味で、福田赳夫総理は、貴重な先例をつくった総理である。

 従って、安倍総理は、我が国の危機を克服する為の強力な権限を保持することになる。
 総理大臣の集団的自衛権行使表明と、それに基づく法案成立、
 この一歩は、おおきな一歩だ。


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