【真相】中華民国は「シナ共和国」であって台湾ではない

【真相】中華民国は「シナ共和国」であって台湾ではない

(転載自由)

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以下は6年前に上梓した単行本「日本よ、こんな中国とつきあえるか」の一部ですが、参考のために再度掲載させていただきます。

 「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)

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(転送転載自由)

●台湾は法理的には主権独立国家ではない

二〇〇〇(平成一二)年三月の台湾総統選挙で民主進歩党(以下、民進党)の陳水扁が中国国民党(以下、国民党)の連戦に競り勝ったことにより、独立綱領を掲げている民進党が政権の座を獲得し、選挙キャンペーン中「台湾独立万歳」と何度も口にした陳水扁が台湾の新しい指導者になった。

陳水扁政権下の台湾は、これからさらに完全な独立の方向へ突き進むに違いないと、大部分の民進党支持者は期待した。しかし、政権の安定を最優先に考えている陳水扁は、国民党路線の継承を選んだ。それは「中華民国体制」の承認と継承であり、「中華民国体制」の打倒を目指している支持者を見事に裏切ったのである。

台湾では、中国との併合を希望する人はごくわずかで、大多数の台湾人は「現状維持」の選択肢を選んでいる。しかし、現状はどのような状態なのかについて、いくつかの違った見解が台湾のなかに存在する。

陳水扁政権の見解は「台湾は主権独立国家であり、国名は中華民国だ」というものである。「中華民国」すなわち英語名で表記すれば国名に「リパブリック・オブ・チャイナ」(Republic of China)と「チャイナ」が付いているが、台湾は中国と異なった独立した存在だと強調している。この実質的主権独立国家論は、台湾は独自の制度や軍隊を持ち、有効な法的支配を施していることを根拠としている。

しかし、これは国家成立の四大要素「人民、領土、主権、国際承認」のうち、二つの点で大きな欠陥がある。

一つは、法的支配地域ははっきりしているものの、自国の領土と主張している領域には中国とモンゴルも含まれており、一九九一年の憲法改正で統治権は台湾、澎湖、金門、馬祖以外に及ばずと宣言したが、領土主権については依然として矛盾が残っていることだ。

もう一つは、台湾が国際社会で国家として承認されていないことである。現に、国際連合憲章ではいまだに「中華民国」が加盟国名になっているものの、中国を代表する合法政権は中華人民共和国だとして、中国は安全保障理事会の常任理事国のポストを「中華民国」の国名のまま継承しており、国際社会では「台湾=中華民国」との法的根拠はまったく存在していない。

また実際、オリンピック競技やAPEC(アジア太平洋経済協力閣僚会議)などの国際会議には、台湾は「中華民国」ではなく、「チャイニーズ タイペイ」の名義で参加している。台湾ではこの「チャイニーズ タイペイ」を「中華台北」と訳しているが、英文的には中国と中華の区別はなく、「チャイニーズ タイペイ」は「中国の台北」や「中国人の台北」とも訳せるのだ。

いずれにしても、「チャイニーズ タイペイ」では主権国家の国名とは言いがたく、また国際社会ではすでに「中華民国」は死語になっているのである。したがって、陳水扁政権の「台湾は主権独立国家であり、その名は中華民国である」との解釈は、台湾国内向けの自慰的な意味しかない。単なるポーズでしかないのが実態なのである。

●台湾は中国の一地方にすぎないと自ら教育する矛盾

ところが、台湾政府は、台湾は主権独立国家と主張しているにもかかわらず、教育の場では台湾人を中国人として教育しているのである。政府が出版した教科書の国語は「中国語」、本国歴史は「中国歴史」、本国地理は「中国地理」であり、教育現場では「われわれは五千年の栄光をもつ偉大な民族である中国人だ」と、台湾人の子供たちに中国ナショナリズムを吹き込んでいるのだ。

この蒋介石時代から始まった中国人化政策は、学校から一般社会まで、徹底的に実行されており、戦後生まれの台湾人はこの民族浄化に匹敵する洗脳政策に強く影響されている。

李登輝前総統はこの歪みを正そうとして、台湾の子供たちに台湾の歴史と地理を認識させるため、中学生用の補助教材として『認識台湾』という教科書を台湾の教育部(文部省)に編集させた。しかし、陳水扁政権下の教育部は、この教科書を二〇〇二年九月の新学期に廃止し、李登輝時代からの台湾化政策を逆行させている。

教育部は、台湾に関する歴史は「郷土教育」の教科書に編入し、その比重は決して低くなったわけではないと弁解しているが、『認識台湾』の編集責任者だった台湾師範大学の呉文星教授は、「台湾史の部分は小学校低学年で学ぶ郷土教育に編入され、多感な中学生に本国史として中国歴史を教えることによって、台湾は中国の一地方にすぎないという錯覚を意図的に子供に与えようとしている」と厳しく批判している。

なぜ中国との併合を拒否しながら、それに逆行するような矛盾が台湾内部に存在するのか? 親台湾的な日本人はよく、それは外省人(戦後、台湾に移住してきた中国出身者とその子孫)の陰謀だと解釈してくれる。確かに台湾総人口二三〇〇万人の一三パーセントにすぎない外省人が、軍、警察、教育、マスコミなど、各分野の重要ポストを占めており、その影響が絶大であるため、台湾社会は中国の呪いから脱出できないでいる。

しかし、この見方が真実であるならば、八七パーセントを占める本省人(戦前からの台湾住民)は強権を恐れ、保身的で、国造りの気概をもたない人種になってしまう。実際、軍も警察も、そして政府官僚も上層部こそ外省人が多いが、全体の出身比率はほぼ人口に比例している。約一〇〇万人を擁する国民党の党員の八割は本省人で、約二三万人の民進党党員も九割以上は本省人である。本省人はすでに差別され迫害されている人種ではなくなっているのだ。

また、独立か、統一か、現状維持かの路線論争は、出身の違いによる闘争というより権力闘争の一つの材料にされており、台湾の野心家に利用されていると見た方が真実に近い。

事実、統一派の政治家も独立派の政治家も、権力を手に入れたとたん、統一も独立も口にしなくなり、現状維持の多数意見にすり寄る。独立派政治家と見なされていた陳水扁の変身ぶりはその典型的な例だ。

●内部から脱中国化することこそ台湾独立の第一歩

「現状維持」とは独立状態であると解釈する人もいるが、台湾の教科書の本国歴史は中国歴史であり、台湾政府官庁内に掲げている本国地図はモンゴルも含めている旧中国の地図だ。これでは、台湾はその一部にすぎないと台湾政府自ら認めているようにしか見えない。

台湾政府はこのような内部矛盾を徹底的に見直さない限り、国際社会にいくら「台湾は主権独立国家であり、国名は中華民国である」と主張しても、はなはだ説得力に欠ける。

しかし、中国との併合を強く拒否している台湾社会の最大公約数は「現状維持」である。それは「中華民国」という国名の下での独立状態とも解釈できる。実際、陳水扁政権になってからの台湾社会では、台湾独立の声が聞こえなくなった。

しかし、前述した矛盾を解決しないかぎり、完全な独立状態からはほど遠い。「中華民国」が主権独立国家と主張するためには、まず領土範囲をはっきりさせなければならないのだが、それも一朝一夕にはいかない。「現状維持」という意識が憲法改正や新たな憲法制定へ向かう力を殺いでいるからである。

時間はかかるが、実は台湾人を台湾人として教育し、内部から徹底的に脱中国化することこそ、台湾独立の第一歩なのである。「台湾は主権独立国家であり、国名は中華民国である」と主張しているだけでは、台湾人の独立の意志を麻痺させ、台湾を完全な独立国家とする目標が見失われることになる。

「中華民国」とは「リパブリック・オブ・チャイナ」であり、直訳すれば「シナ共和国」であって、決して台湾ではないのである。

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参考

中国ガン・台湾人医師の処方箋」林 建良著 並木書房 2012年12月出版

http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%82%AC%E3%83%B3-%E6%9E%97-%E5%BB%BA%E8%89%AF/dp/4890633006/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1356076869&sr=8-2


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