【李登輝元総統「祝辞」】これまで以上に台日関係は緊密になるものと期待しています

【李登輝元総統「祝辞」】これまで以上に台日関係は緊密になるものと期待しています

 「日台共栄の夕べ」にお集まりの小田村四郎会長はじめ会員の皆さま、今晩は。台湾の
李登輝です。今年の「日台共栄の夕べ」は10回目となる節目の会だそうで、心から祝意を
表します。また、この一年間の皆さまの台湾に対するご支援、台日関係促進におけるご努
力に敬意を表します。

 さて、本年も残りわずかとなりました。今年もいろいろありましたが、尖閣列島をめぐ
ってのことが記憶に新しく、中国は今でも手に入れようと虎視眈々と狙っています。

 しかし、尖閣列島は日本の領土であり、台湾のものでも中国のものでもありません。馬
英九総統は台湾のものだと宣伝していますが、これは台湾と日本を離間させようと常に考
えている中国を利するだけで、私は台日のために危惧しています。

 尖閣問題で重要なことは、台湾は中国と一緒に処理してはならないということです。ま
た日本は、領海侵犯を繰り返す中国に対して毅然とした姿勢を示すことなのです。

 台日間に領土問題は存在せず、存在するのは漁業問題だけです。台湾は日本統治時代か
ら尖閣列島海域を漁場としていました。ですから、台湾はアルゼンチンと烏賊釣り漁の協
定を結んでいるように、台湾の漁民はそういう協定を日本との間で結びたいと望んでいま
す。このことを日本の皆さまにはぜひ理解していただきたいと思います。

 ところで、先の衆議院総選挙では台湾に理解の深い安倍晋三先生率いる自民党が圧勝
し、まもなく安倍内閣が発足します。

 私の人格の基礎を作ったのは日本時代の教育で、特に私は後藤新平に学びました。「人
のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして酬いを求めぬよう」という「自治
三訣」に現れた後藤新平の精神をもって、総統として台湾を導いて参りました。

 その点で、安倍先生はこの後藤新平の精神を理解する政治家だと思います。これまで以
上に台日関係は緊密になるものと期待しています。

 台湾と日本は兄弟のように、心の通う、仲のよい国です。今後も台日共栄の理念の下、
貴会とはさらに提携を強め、両国のため、そしてアジア全体のために努力、邁進していき
たいと考えております。

 本日のご盛会と、来年における皆様のますますのご健闘をお祈りいたします。

  2012年12月23日

                           李 登 輝


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