2014.4.11
ヒマワリ学運の努力は24日を数え、今夜彼らは立法院から退出する。今後は全国的な草の根組織
運動を展開するという。
この学生運動はすでに台湾の民主主義の将来と発展に多大なる影響を与えたものと私は確信す
る。人民こそが国家の主人であるということを学生たちは実践躬行で示したのだ。
民主主義とは、投票を済ませてしまえば後は指導者や民意代表の思うままに任せるものではな
い。より重要なのは人民が積極的に参加し、絶えず監視していくことにある。これはまた、「台湾
第二の民主化」を進めるうえでの目標でもある。今回の学生運動は、全世界に対して台湾の民主主
義を見せつけたことであろう。
ヒマワリ学運の活動を通じ、明らかになったのはグローバル規模の貿易自由化は、決して利益ば
かりでなく、失われるものがないなど有り得ないということだ。政府には、人民全体に対する説明
責任があり、耳障りのいい言葉でオブラートに包んだような説明をするべきではない。また、台湾
経済が過度に中国に依存していることにより、人民は将来の生活に対して不安を抱く原因となって
いる。
中国に対しては、将来の両岸の経済協議にせよ政治協議にせよ、密室協議は決して受け入れられ
るものではなく、台湾の未来は台湾の人民によって決せられるものだということを伝えるべきである。
ここで馬英九総統には強く伝えたい。一連の学生たちの行動は、国家や社会、政治的安定のため
のものであり、即座に広く社会からの支持を得ている。これはもはや、学生たちの行動が一部の抗
議運動というものではなく、広く国家を巻き込んだ積極的な意思表示だと理解するべきだ。
台湾の指導者として、この一連の行動を単純な法律問題として処理するのではなく、国家の発展
のため、指導者は自分自身で積極的に矢面に立って解決する努力をするべきである。
明日から、この改革のエネルギーは台湾全土に散らばり、草の根の公民運動を通じ、政治への全
民参加、政府の政策決議に対するより厳重な監視を促すと同時に、さらには憲政改革へのコンセン
サスをまとめるエネルギーにもなるだろう。これらは私たちが共同で努力していかなければならな
い目標であり、私も皆さんと共に努力していく所存である。
台湾へ、皆さんへ、神のご加護を。 李登輝