【映画】国民党時代の政治と社会の暗部映し出す話題作「血観音」

国民党時代の政治と社会の暗部映し出す話題作「血観音」

台湾の声編集部

 11月25日に発表された今年の金馬奬で、最優秀作品賞、最優秀観客賞、主演女優賞、助演女優賞を総なめにした作品が、台湾の政治や社会の暗部を映し出しているとして、話題を呼んでいる。

 46歳の楊雅喆(よう・がてつ)監督の作品「血観音」は、将軍の未亡人と2人の娘を主人公に繰り広げられるサスペンスドラマだ。内容は、表向きは骨董商を営む未亡人が、政界の裏で怪しくうごめき、その周辺でさまざまなおどろおどろしい事件が発生するというもの。ここで起きる数々の事件が、台湾で実際にあった事件を連想させると、メディアで取り上げられている。

 劇中に登場する王立法院長と馮秘書長の争いは、馬英九前総統と王金平前立法院長の争いに、議長がマフィアを使って記者や役人を脅迫するくだりは、マフィアを使って民衆日報屏東支局を襲撃し、1994年に闇賭博の利益を巡る殺人事件で逮捕され、後に死刑が確定、執行された国民党の屏東県議会議長、鄭太吉の事件に、原住民の使用人が議員夫人(日本人という設定だそうだ)に性的虐待を受けるシーンは、1986年に不当な雇用と虐待を受け雇い主一家を惨殺したツォウ族の青年、湯英伸の事件に、土地開発の利権を巡って議員一家が惨殺されるのは、1996年に桃園県長公邸が何者かに襲撃され、劉邦友桃園県長と県議会議員、秘書、運転手らが銃殺された事件(砂利業者の利権を巡る不正事件が原因と言われているが未解決)に、それぞれ似ていると指摘されており、監督本人も「グーグルで調べてごらん」と述べている。

 また、最優秀ドキュメンタリー映画作品賞には、中国の馬莉監督の「囚」が選ばれた。中国東北部の精神病院に馬監督自ら入院して撮った作品である。馬監督は授賞インタビューで、中国北京市で当局により強制退去させられている出稼ぎ労働者、「低端人口」への人権侵害問題について触れ、「今、強制退去を強いられている『低端人口』に属するような私にとって、この賞は大きな意味がある」と述べたが、授賞式をライブ放送していた中国のネットサイトは、この発言をカットしたという。


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