【日台共栄の夕べ】中嶋嶺雄氏が中国に立ち向かう日本の外交戦略の必要性を強調

【日台共栄の夕べ】 中嶋嶺雄氏が中国に立ち向かう日本の外交戦略の必要性を強調 

日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

 昨日、東京・千代田区内のアルカディア市ヶ谷において本会は恒例の「日台共栄の夕
べ」を開催、福井、石川、大阪、岐阜、宮城など遠方からも駆けつけた約150名が講演会と
大忘年会を楽しんだ。

 第1部は、神奈川県支部役員で日本李登輝学校台湾研修団卒業生の江成雅子さんが司会を
つとめた。

 冒頭、小田村四郎会長が開会の挨拶で、今上陛下の宝算79歳のお誕生日を祝福するとと
もに、李登輝元総統が大変お元気で活躍されていることや、この会に祝辞を寄せていただ
いたことを紹介した。また、安倍内閣の発足にも触れ、李登輝元総統が来日されたのは第1
次安倍内閣時代の2007年で、招聘されたのが本日講師の中嶋嶺雄・国際教養大学学長だっ
たことなどを紹介した。この開会挨拶を受け、柚原正敬・事務局長が李登輝元総統からの
祝辞を読み上げると大きな拍手が巻き起こった(祝辞全文は下記に紹介)。

 続いて、評論家でJET日本語学校理事長の金美齢氏が来賓として挨拶。まず「皆さ
ん、今年の漢字はなんでしょうか、金美齢の金です」と切り出して会場の耳目を一瞬にし
て引き付け、「今日は中嶋先生に金メダルを差し上げたくてやってまいりました」と中嶋
氏が12年間、アジアオープンフォーラムを開催して台湾との交流を図ってきたことや国際
教養大学の優れた教育内容などを紹介しつつ中嶋氏にエールを送った。

 その後、中嶋氏による「日台関係と日中関係」と題した講演に移った。中嶋氏は「日中
国交40周年と台湾」「中国共産党18回大会の真実」「『中華世界』と東アジア」「『米中
新冷戦』と中国の軍拡」「尖閣問題と『日中友好』」の5つの角度から日本・台湾・中国の
関係を解き明かし、予定の1時間を超えて熱弁をふるった。

 日中国交40年は、日本が中国を刺激しないように「低姿勢外交」を取り続けてきたツケ
が今の尖閣問題に現れた「中国にしてやられた40年」であり、今後は米中が「新冷戦」と
いう関係を続けることを踏まえ、中国に立ち向かう日本の外交戦略の必要性を強調、講演
が終わると万雷の拍手の中を降壇した。

 続いて、現在、沖縄に台湾出身戦歿者の「慰霊の塔」を建立しようという動きについ
て、大阪府支部の近藤和雄事務局長と名古屋の「日台若手交流会」会長の加藤秀彦氏が登
壇、近藤事務局長から慰霊の塔建立について説明した。

 これをもって第1部が終了し、5時から第2部の大忘年会に移ったが、中嶋氏や金美齢さん
など講演会参加者のほとんどが忘年会に参加、1部の熱気が会場に満ちる中、青年部長の杉
本拓朗氏の司会により第2部が開幕。

 開会挨拶は、12月3日からの「役員・支部長訪台団」の団長をつとめた澤英武・常務理
事。訪台時に李登輝元総統と懇談したことなどを紹介。

 来賓トップバッターは「臥薪嘗胆ヘア」の断髪式で話題にもなった小池百合子・衆議院
議員。「李登輝さんを慕う多くの議員が当選したので、手を携えながら日台の絆を深める
ために力を尽くしたい」と述べ、最後に「台湾のお父さん」と慕う李登輝元総統からいの
一番に「小池百合子さん、当選おめでとう。テレビで見ましたよ。これからも日本のため
に頑張ってください」という内容の祝電をいただいたことを披露した。

 続いて月刊「WiLL」の花田紀凱編集長は、今夏の訪台で台湾最南端まで行き、日本人戦
歿者を祀る潮音寺を参拝したことなどに触れ、「今後、日本と台湾の関係がもっと緊密に
なるよう雑誌を通じてやっていきたい」と決意を述べた。

 仙台から駆けつけた宮城県議会議員で本会理事の相沢光哉氏は、9月議会で戸籍問題の意
見書を可決したことなどを披露した。

 乾杯の発声は台湾協会の斎藤毅理事長が行い、懇親会に移った。会場の後方には台湾フ
ルーツビールの試飲ブースが設けられ、多くの人が舌鼓を打ちながら購入していた。

 清宴もたけなわとなったころ、各界からのスピーチが始められ、まず王明理・台湾独立
建国聯盟日本本部委員長が挨拶。日台断交の40年というマイナスは日台が国交を樹立する
ことで取り戻せるし、その実現化を日本人と台湾人が心を合わせて進めて行くことが重要
で、それが中国の覇権主義を押し留める最善の方法ではないかと述べると、会場からは
「そうだ!」の掛け声とともに拍手が起こった。また、台湾と日本を結ぶもっとも大きな
力は日本李登輝友の会にあり、今後も大きな影響力を発揮して欲しいと述べると、さらに
大きな拍手が湧き起こった。

 続いて、防衛医科大学校副校長をつとめ現在は「虎の門戦略研究所」理事長の関肇氏が
挨拶。関氏は東大時代からの友人だという台湾独立建国運動に取り組んできた廖建龍氏と
壇上に上がり、日本が台湾と断交したことで台湾を頭の中から消し去ってしまったことは
大きな間違いだったと述べ、台湾との交流を回復させることの重要を切々と訴えた。

 来賓スピーチが終わると、いよいよお待ちかねの「お楽しみ抽選会」が李登輝学校日本
校友会事務局の片木裕一氏の進行で行われ、プレゼンター役は台湾大学日本語学科を卒業
したばかりの3名のお嬢さん方がつとめた。

 抽選で台湾往復チケットや高級ホテル宿泊券、台湾鉄道弁当、白柚、高級紹興酒などが
次々と引き当てられ、会場は大きな歓声と溜息に包まれた。

 閉会の挨拶は、前仙台市長で国際教養大学教授の梅原克彦・常務理事。来年5月、台湾高
座会留日70周年歓迎大会が開かれ、李登輝元総統や蔡焜燦さんが来日予定であることを紹
介しつつ、若い世代を巻き込みつつ本会活動をさらに盛り上げていきたいと締めくくっ
た。

 最後に「日台共栄の夕べ」の恒例となった万歳三唱を林建良・常務理事が行った。林常
務理事は三唱の前に、日台間に法的関係が存在しないことを指摘し、在留カードでは台湾
出身者は「国籍・地域」欄で台湾と明記されるようになったのだから、法的に台湾を位置
づけて欲しいと訴えると会場からは大きな拍手が起こり、大きな万歳三唱が会場に響き渡
る中、本年の日台共栄の夕べは盛会裡に終了した。