【寄稿】日本は尖閣問題について早急に台湾と對話すべし (七)

【寄稿】日本は尖閣問題について早急に台湾と對話すべし(七)    

       柳原 憲一(医師・平埔族文化研究家)

日本国民と台湾住民に託す

日本は「琉球ありきの尖閣」と同様に、一貫して「釣魚島全体は中国の台湾の付属島嶼である」と主張してきた中華人民共和国は「台湾ありきの釣魚島」である。この中華人民共和国は尖閣諸島を手に入れるためにも、第一列島線を突破するためにも、台湾を直接支配しなければならない。一方、中華人民共和国に立ち向かう日本は、尖閣諸島を守るためにも、第一列島線をキープするためにも、必死に台湾を自由民主主義陣営に引き留めなければならない。このような情勢を背景にした尖閣諸島を取り囲む日、台、中の先行きについて、考えてみたいと思う。

政治情勢が不安定、経済発展が行き詰まりつつ、汚職、環境破壊、民族問題、国内格差、資金流出、エリート層の海外移住ブーム、軍部の台頭など、山積する難問に追い詰められた中華人民共和国政府はやがて、「反日愛国」という大義名分で、義和団のような前近代的手口を用いて領土問題に火をつけた。

 一方、中華民国を名とした台湾統治機構は中国本土から追放されても、国連から追放されても、殆どの国々から国交を断絶されても、総統全面選挙を5回行っても、政権が交代、再交代しても、サンフランシスコ平和条約、大西洋憲章の精神に基づき、住民自決で施政権を台湾人民に返還し、台湾国を樹立させる意思はなお見当たらない。このように「現状維持」のまま本日まで来て、一旦尖閣問題で日本に直面せざるを得ない時、曖昧な國格の限界を露呈した。行く行くはこの統治機構は中華人民共和国に吸収合併されるか、台湾国に大政奉還するかは台湾住民の意思と努力次第であると思う。

日本にとっても、台湾にとっても尖閣諸島の重要性は安全保障と資源である。ここで日本国民並びに台湾住民に託したいことは、よく知恵を出し合って、いかにこの日台共通の利益を確保するかを考えることが急務である。

まず、冒頭から尖閣諸島と無関係な中華人民共和国をリングから出てもらわなければならない。せっかく中華人民共和国が再三「釣魚島全体は中国の台湾の付属島嶼である」を主張するならば、「中国の」かどうかは別として、「台湾の付属島嶼」と指摘された以上、日本は直接台湾と話し合えばいいと思う。

そのロードマップは、日本国民と台湾住民双方の代表が第一列島線における自由民主主義を断固守るという認識を前提に、短期的には漁業交渉であり、中長期的には、海底資源の共同開発についての交渉であり、最終的には領有権の交渉であると、具体的なロードマップを提示すれば面白いと思う。無論、台湾国はまだ誕生していないが、これは誕生するまで待てばいいことだ。

この案は決して日中共同声明に違反することにはならない。
たしかに、日中共同声明に「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」が書いている。しかし、中華人民共和国政府の立場を理解したり尊重したりすることは、必ずしもこれらに賛同したり、承認したりことではない。要するに、中華人民共和国政府が欲しくて堪らないあの島の上の住民が、自らの国が欲しいために頑張っている。日本はこの住民らの努力を見守っていて、その結果を待ち続けるだけだ。
 
そして、台湾住民らはこれを機に、一層台湾国の樹立に励んでいただければ幸いと思う。


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