【寄稿】日本の苦悶を吹き飛ばしてくれる中国の反日

【寄稿】日本の苦悶を吹き飛ばしてくれる中国の反日

            日本台湾医師連合理事 王 紹英

中国の反日コンプレクスは恐らく日清戦争に端を発したものである、悠久の歴史から見て決して古いものではありません。しかし、根は深く、これを直すことは妄想に近いと言えます。中国が反日運動を起こすたびに、日本から何だかの譲歩もしくはご褒美が得られるので、恐らく楽しくてやめられなくなっていると思われます。

中国を日本嫌いにさせた最も「正当」な理由は彼らが存在のよりどころの中華意識に日本は見向きもせず、中華天下の秩序を拒んできましたことと中華意識による幼稚な尊大さを日本が完膚無く台無しにしたことです。

日本は不運にも中華意識の上下秩序と天下範囲のぎりぎりの所にいます。しかし、東夷日本が中国より早く世界の文明国家に伍し、さらに中国を支配できたことは、中華意識から見て許しがたいことである、と推測できます。と言っても、中国も早く文明国家になれ、法に基づいて対等に付き合えるではないかと優しく単純に考えるだが、文明国家になる前に、反文明的な中華意識を綺麗さっぱり葬るしかありません。中華意識なき中国は、出汁抜きの懐石料理に等しいであり、単純計算でも分かるくらい出来ない相談です。また、中国は文明国家になれなくても、世界は全く困ることはないと思われます。中国の「魂」までいちいち口を出すべきではないと思っています。どうぞ、中国はこれからも中華意識をしがみついて頑張って行ってください、とイェールを送りたいものです。中国の核心的利益は、東トルキスタンでも、チベットでも、台湾でもありません。中華意識こそが、不朽な核心的価値であります。

把握しきれないほどの多くの人口と残虐な民族性を盾に、反日のインパクトは断トツ強いものがあることは、既に実証済みです。そのためであろうか、日本は他の弱小国家の反日には意を介いてこなかったが、中国が反日を起こらないよう細心な配慮をしてきました。残念ながら五千年の付き合いの甲斐もなく、中国人の女々しい感情の起伏に常に翻弄されてきました。

中国と仲良くなりたいことは決して悪くはないが、日本が誇る清らかな“おもてなしの心”とは関係なさそうと思われます。むしろ、商売繁盛に繋がりたい近眼的な打算と、自分だけが慈悲深い良き隣人であると思われたい偽善によると思われます。

しかし、最近のマスコミは中国の反日に呼応せず、中国の定例反日にうんざりしたであろうか、あまり燃えなくなっているように見えます。むしろ、安倍政権の毅然とまでは言えないが、淡々と処理していく姿勢を大変中立的な立場で報道しています。確かに、安倍政権は反中でも親中でもなく、余裕を持って軽快に対応しているようです。しかし、中国から見れば、日本を媚中しなければ、反中と断罪するヒステリクな反応が常に起こります。歪な歴史観と反文明的中華意識の賜物である、と気の毒で嘆きたくなります。

安倍政権はアセアン諸国と連携し、反中国包囲網を作っている、とマスコミは中国の反日を煽るためではないが、客観的に分析しています。しかし、地図を開けて見ると、日本とアセアン諸国との間に台湾が大きく横たわれているではないか、と一瞬目を疑いたくなります。台湾抜きの対中国包囲網は 絵空事に過ぎません。逆に台湾が中華天下の一部になれば、日本包囲網が現実となります。勿論台湾は亡国し、日本は危うくなることは、火を見るよりも明らかです。

台湾抜きの中国包囲網は絵に描いた餅である、と間違いなく安倍政権ははっきりと認識出来ているはずです。しかし、台湾を対中包囲網の一角にしようと、声を出して言えないのは、恐中コンプレックスから抜け出していない証です。日本の恐中コンプレックスは、どうも闇からお化けが出てくるのが怖いと同じ、自分の想像に怯えています。日本の恐中コンプレックスが中国の反日コンプレックスを育ってきたかも知れません。

今は粛々、淡々と国家正常化の路線を歩んでいるように見えます。そこからは安倍政権が持っている高邁な理想と正しい歴史観が伺えます。しかし、正常な文明国家のように正しい事を言えない、国のために言えない、子孫のために言えない、人権のために言えない、英霊のために言えない、普遍的な価値観のために言えない、とこれも言えないそれも言えない苦悶を推度するとこっちも憂鬱になりそうです。

その苦悶を無くすには、中国に対し、近視眼的な商売を望まず、偽善の仮面を棄て、文明国家らしく恐れずに正論を伝えれば宜しいです。中国に「親日」になってほしいスケベ的な気持、中国の力を借りて日本の国際地位を高めたい幻想を諦めれば、両国の関係が淡々と自ずと正常化の境地に到達できます。中国が赤裸々で反日に走っても日本は決して損はしない、その一方、中国がねちねちと親日のように見えても日本が得するのは眼前の利益だけ、ようするに魚を釣る餌にすぎません。中国の反日も、親日も、その根底に堅固な中華意識が流れています。中国の反日を糧にし、中国への認識を一層深め、無欲で清らかな対中姿勢に転換すれば、日本の苦悶も雲消霧散できます。


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