【国名を「台湾」に変えよ】新総統・蔡英文と台湾の行方

【国名を「台湾」に変えよ】新総統・蔡英文と台湾の行方

時局コメンタリー〈1556号〉より転載

           アジア安保フォーラム 幹事 宗像 隆幸

  総統も国会の過半数も民進党が獲得  1月16日(土)に台湾で総統と
立法院(国会)の総選挙が行われ、総統には野党の民進党(民主進歩党)
の蔡英文主席(59歳、女性)が圧倒的多数で選出され、立法院(定数113
議席)でも民進党は68議席を獲得して、初めて国会の過半数を制した。20
00年と2004年の総統選挙でも民進党の陳水扁が総統に選出されたが、
立法院は国民党(中国国民党)が支配していたので、陳総統は国民党の同
意なしには法律の制定を推進できなかった。台湾の選挙民は、そのような
ことが起きないように、今回は立法院でも民進党に過半数を与えたのであ
る。と言っても、台湾は中国が台湾に武力を行使するようなことや台湾を防
衛している米国が反対することはやれない。

台湾の住民は中国系ではなかった  日本が太平洋戦争に敗退するま
で、台湾は日本の領土だった。1894年の日清戦争で勝利した日本は、講
和条約で台湾を獲得したのである。と言っても、台湾には中国人は殆ど住ん
でいなかった。台湾には山岳地帯に住んでいる原住民と平地に住んでいる
住民がおり、平地の住民は中国から渡来したと思われていた。平地住民の
中には中国から来た商売人に家系図を買わされた人々がおり、それには先
祖は中国から渡ってきたと書かれていたからである。しかし、中国人は大陸
人で海を恐れたので、急流の台湾海峡を渡って台湾に来た人々は殆どいな
かった。山岳地帯の住民も平地の住民も同じ南方系の民族だったが、それ
が明らかになったのは血統分析学が発展した近年のことである。

国名を「台湾」に変えよ  中国は台湾を自国領と主張しているが、その土
地がどこに属するかを決定するのは、その住民だけが持つ権利である。大戦
後、中国国民党は台湾を占領して自国領と決定した。その国民党は、中国共
産党との内戦に敗れて台湾へ逃避してきた。国民党は台湾を独裁支配してい
たが、台湾人民の要求で民主化が進展し、遂に台湾人民の政党である民進
党が、選挙で勝利したのである。圧倒的多数の台湾人が望んでいるのは、台
湾を国際社会で通用する普通の国にすることだ。「台湾」を国名としてチャイナ
のついた現在の国名、中華民国を放棄すれば、「一つの中国」しか承認しない
国際社会は台湾をすぐ承認するであろう。蔡英文が目指すべき道は明らかで
ある。

(むなかた・たかゆき)


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