【人権なきIT監視社会】中国政府が声紋データ7万件収集

【人権なきIT監視社会】中国政府が声紋データ7万件収集

台湾の声編集部 多田恵 2017.10.24

ニューヨーク市に本部を持つ国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が22日、英語および中国語で報道したところでは、中国政府が、中国のベンチャー大手で人口知能・音声認識技術を持つ「iFLYTEK」(科大訊飛、アイフライテック)と協力して、大量に中国人民の声紋データの収集を始めていて、プライバシーへの脅威があるという。

iFLYTEKは、安徽省合肥市に本部があり、スマートフォンやパソコンで使うことができ、音声入力機能で知られる「訊飛輸入法」という中国語入力ソフトを提供している。

記事によると、中国政府は近年、既存の社会監視とコントロールを行うために、バイオメトリクス(生体認証)技術の使用を強化している。全国の警察データベースには、10億人以上の顔と4000万人のDNAサンプルがあるが、2015年までに、警察当局が、パイロット地域の一つである安徽省で、70,000種類の声紋を収集したという。

声紋データの収集は、個人の各種生体認証情報の肖像を形成し、市民に関するさらに多くのデータを収集しようとする中国政府の動きの一部である。この声紋データは、警察のデータベースにおいて、その人物の識別番号とリンクされ、人物の民族別、自宅の住所、ホテルの記録さえも含む生体認証情報および個人情報に関連付けることができるという。

中国では、こうした個人情報を削除したり、収集に対抗したり、政府の監視に対する補償を求めることは、個人にとって非常に困難である。指紋採取やDNA採取のような他のタイプの生体認証情報収集とは異なり、声紋については、収集されたこと、あるいは監視を受けていることを本人が気づかないことさえあるという。

記事によれば、政府による生体認証情報の収集または使用は、それ自体は違法ではなく、場合によっては、調査手法として認められる。しかし、中国が署名したが批准していない、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に盛り込まれた国際的なプライバシー基準を満たすためには、各政府が生体認証情報の収集、保持、使用の事例は、限定され、正当な治安維持の目標に見合ったものであるよう、包括的に規制されるべきであるという。

これについて、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第17条では、「何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。」、「すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する」と規定している。

記事では、このような計画への協力について企業にも責任があることを指摘している。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン中国部主任が、「チェックを受けることのない監視体制と批判への報復の長い歴史を持つ国においては、当局がそのデータを容易に濫用する可能性がある」、「中国当局の監視ツールは、プライバシーの権利が大幅に遅れているなかで、ますます大きくなっている」、「中国当局は、法的な保護が明確化され、疑いなく信頼できるものになるまでは、きわめてデリケートな生体認証データの収集を直ちに中止すべきだ」と警鐘を鳴らし、訴えている。


台湾の声

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