【中国投資の落とし穴】2、契約は相手を束縛もので中国人は守らない

【中国投資の落とし穴】2、契約は相手を束縛もので中国人は守らない

中国投資に関して気をつけなければならないこと
〜中国投資を行う時の落し穴に気をつけ!

                高為邦(中国投資の台湾企業被害者協会理事長)

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  高為邦

1968年米ケンサス大学で化学を専攻し、博士号を取得。1976年から台湾でガラス繊維入りの樹脂製品製造に投身し、1997年12月25日、中国で複合材料の生産会社「廊坊」を立ち上げた。1999年2月21日、「廊坊」の事務所と工場の生産設備、金型、原料、PCが中国の人に無理やりに取られ、経営を続けなくなった。2000年1月20日、「廊坊」の河北省工場が営業停止に迫られた。2002年9月著作「中国の司法に迫害された台湾企業家」を出版した。2003年7月15日「中国投資の台湾企業被害者協会」を設立し、理事長を務めた。

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落とし穴2 契約は台湾企業を縛るもので、中国人には拘束力がない

契約書が拘束力を持たず 王永慶のような財閥一族も負ける

 契約書が取引を行う際、互いの約束と守る事項を記載するもので、法律的な拘束力を持つものである。ただし、中国において、法律を守らなくていい特権者がいるので、契約を結んでも約束を破ったりして、契約の効力を信じる台湾の投資者がそれで法律に権利が守れず、損害を蒙り、解決策が求められない窮地に立たされる。

 台湾において「経営の神様」と呼ばれる王永慶が1996年に、福建省の電力部署と漳洲で火力発電所を建設する契約を結んだ。契約では6台の発電機が生産する360キロワットの電力を1度0.5人民元で中国政府が全部を購入すると約束した。当時の台湾李登輝政権もことに対して、中国への投資を「戒急用忍」」(「性急を戒め忍耐を用いる」)すべきと示した。

 王永慶が表に、台湾の経済部に中国の発電所投資を撤去すると申したが、実際にそれまでの投資を無駄にしないため、個人の資金を用いて、米国から発電所の建設を続けた。1999年の年末に、1台目の発電機が立上げ、発電を始めた。そのとき福建省が福建省の経済が予測とおりに成長してないを理由に契約の内容を認めず、0.5人民元ではなく、0.3で1度の電気を購入することにした。2002年に、王永慶が初めて自分の中国投資が失敗だと認め、景気がよくなれば発電所を売ると発表した。台湾の大きい財閥、お金に困らない王永慶はその後中国の景気が成長し、電力供給が必要になった時期になってから、再度福建省に電気を販売したが、財閥でない一般企業家ならもはや倒産しただろう。

 王永慶の企業グループには長庚医院というチェーン病院も経営する。北京が2008年五輪の開催地候補になっていた当時、中国当局が王永慶の北京長庚医院の企画書を持ち、IOC総会に提出した。つまり北京が2008年の五輪開催地となったら、選手たちに最先端の病院施設よりサービスを提供すると訴求した。
 けれども北京の各大手病院が長庚医院の設立が自分の経営に脅威となると思われ、北京当局に抗議した。挙句の果て、長庚医院が北京病院の資金を受け、合同経営の形となった。

契約が勝手に解釈され、孤立無援の戦いに迫られた台湾企業家

 別の例だが、ある孫永臨という台湾の貿易会社経営者が中国と東南アジアの音響設備を欧米に年間1千万米ドル以上輸出していた。彼は1995年の年末、上海の徐家匯にある匯金ビルのA棟18階、70数万米ドルで2軒の家を購入した。1軒を自宅とし、1軒をオフィスにしようとしていた。契約には1997年7月30日まで家を引き渡すと規定し、もしできない場合は購入金額の全額を返還する以外、50%の違約金を払うと記載した。そして、9階から28階の家が住宅・オフィスとも使えることを明記した。

 ただし、引渡しの1ヶ月前、開発業者はA棟をホテルにしようとして、A棟の家をB棟の家に変更してもらえないかと孫さんを上海に来てもらった。孫さんがB棟の家に欠点あるとして、開発業者の提案を断った。この家が引き渡されたのは1年半後となった。家の代金を返してもらうため、孫さんが告訴を起こした。初審を勝ったけど、開発業者の上訴に負けた。上海中級裁判所が孫さんが上海に交渉に出たことは協議を受けたと見て、孫さんの負けという判決を下した。これは道理に外れたことだ。中華人民協和国経済合同法第28条では「協議が達成できていない場合、元の契約の効力が続く」と記載している。上海中級裁判所の判決が最終的な判決となり、孫さんはもう法律を辿って自分の権利を出張することができなくなった。そして孫さんがさらに法官に「協商が失敗して裁判所に訴えるやり方は誠実と信用の原則を違反する」と責められた。

 不服と思い、孫さんが司法部、最高人民裁判所、最高人民検察院、全国人民代表大会の李鵬主任委員、総書記江澤民などに抗議したが、どれも役にたたらなかった。3年間かけて抗議した結果、孫さんあやも得なくそのビルの引っ越した。

 事件はこれでピリオッドを打ったのではなく、続きはまたある。ビルの管理委員会は孫さんが引っ越したをとを認めたが、訪客とオフィスにすることを一切禁止した。孫さんが上海工商管理局に、事務所設置が禁止されたことを訴えた。得られた回答は「開発業者が匯金ビルについて述べた商業・住宅用途はビル全体の機能を指し、特定した階が商業・住宅用途に使えるとは言っていない。その広告の内容に不妥当な部分はない。」だった。といっても、孫さんの18階は商業・住宅用途に使えるとは言っていない。とても理解できないことだろう。

 上海で不動産購入に関する争いや揉め事が非常に多い。1997年「中華民国傑出台湾企業家」を受賞した柯耀明が2001年に上海投資のメリットをアピールする著作「上海個体富」を出版した。けれども柯耀明がその後台湾の人に、上海市黄興広場と天福ビルを販売し、購入者たちが合計2〜3億人民元を払ったが、家の所有権が入手できなかった。柯耀明が今でも台湾に指名手配されている。
 
 中国へ投資する場合、契約を結ぶ前は必ず相手の信用記録を調べ、ほかの外国企業とスムーズに提携した実績があるかどうかを確認しておいたほうが安全だ。もしそうでなければ、中国業者との提携を中止するか、または最悪な場合を対応できるかを考慮してから決めてください。


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