【中台公式会談】中国、政治対話へ着々…経済連携てこに圧力強化

【中台公式会談】中国、政治対話へ着々…経済連携てこに圧力強化

2014.2.12 産経新聞

 【南京=河崎真澄】初の公式会談の実現は、中台関係が「新たな次元」を迎えた歴史的意味を持つ。2010年の経済協力枠組み協定(ECFA)締結など、経済交流を急拡大し、中国への依存度を急速に高めた台湾。「両岸(中台)統一」に向けた「政治対話」を求める中国の要求に、引きずり込まれる懸念は一段と強まっている。

 台湾側は11日の記者会見で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加をめざし、中台の経済協力拡大と地域の経済統合への中台の共同参加を同時並行的に進めるべきだと強調した。経済連携を今後も対中関係の柱にすえ続けたいとの思惑がある。

 1971年に国連を脱退し、バチカン市国など22カ国としか外交関係がない特殊な国際政治環境にある台湾。民間調査では住民の90%近くが「現状維持」か「台湾独立」を望み、共産党政権下の中国との「統一」には拒否反応が強い。経済的実利は欲しいが、それ以上の政治関係拡大は先送りしたいのが本音だ。

 ただ、昨年10月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されたインドネシアで、台湾の蕭万長前副総統と会談した習近平国家主席は、「中華民族の偉大な復興の共同促進へ政治的な意見の相違を解決し、次の世代に残してはならない」と強調。政権任期中に統一に道筋をつける意思を明確にした。

 中国側は台湾統一工作の基本を「先経後政(まず経済、その後に政治を)」と位置づける。11日の公式協議スタートは台湾の思惑とは関わりなく、中国にとって「その後」のステップに入ることを意味する。

 習指導部は今秋の北京でのAPEC首脳会議で歴史的な中台首脳会談に臨み、国際社会に「両岸(中台)関係の平和的前進」をアピールするシナリオを描く。残る時間は限られており、経済面などで圧力をかけて、台湾側に本格的な政治対話を求めていくとみられる。

 中国は香港と同じく「一国二制度」での統一を狙っている。しかし、2300万人の住民を抱える民主主義社会の台湾を取り込んだ場合、中国社会がいつまで共産党の一党支配体制を容認し続けるかは不透明だ。台湾問題への対処を一歩間違えば、中国国内で社会不安を引き起こす懸念もあり、その意味で中国も大きな決断に踏み切った形だ。


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