【産経抄】広辞苑は中国の圧力から「自由」なのか

【産経抄】広辞苑は中国の圧力から「自由」なのか 版を重ねるほど、日本がどんどん悪玉に 

2017.12.20 産経新聞より

 同僚記者がネットで見つけた。面白がって印刷し、仕事部屋の壁に張っていた。「50年後」の日本地図である。西日本は中国の「西海省」、それ以外は「東北自治区」となっていた。

 ▼日本を代表する辞書の一つ『広辞苑』に掲載されたとなると、笑い話ではすまない。第6版の中華人民共和国の項目を見て驚いた。行政区分を示す地図で、台湾が26番目の省として表記されている。台北駐日経済文化代表処や在日台湾人組織が、岩波書店に対して修正を求めるのは当然である。

 ▼「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに帰属することを承認し、中国は賠償請求を放棄した」。昭和47年に調印された日中共同声明についての記述も、正確ではない。日本政府は台湾の帰属について、中国の立場を「十分理解し、尊重」すると言った。広辞苑は中国の言い分を載せている。近現代史家の水野靖夫さんは、巨額のODA援助についても書き加えるべきだという。

 ▼水野さんによると、広辞苑は版を重ねるに従って、偏向の度合いを増してきた(『「広辞苑」の罠(わな)』)。たとえば第1版で「日本軍が南京攻略の際に行った暴行事件」だった南京事件が、第3版では「大虐殺事件」となる。

 ▼第4版からは「南京大虐殺」という項目が別個に独立した。「日本軍が中国軍の投降兵・捕虜および一般市民を大量に虐殺し、あわせて放火・略奪・強姦(ごうかん)などの非行を加えた事件」と説明する。中国の主張通り、日本がどんどん悪玉になっていく。

 ▼「ことばは、自由だ。」。広辞苑の宣伝用小冊子の表紙にあったコピーである。ただ来月12日に発売される第7版が、反日思想や中国の圧力からどれだけ自由なのか。とても期待できそうにない。


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