円高や放射能が日本人の敵か 平成二十三年九月上旬 塚本三郎
現在の日本は、不況による失業及び円高と、東日本大震災による未曾有の大災害の、二重苦に直面している。
第一は、経済不況と復興の為の増税論及び円高である。その結果、有力企業は海外へ逃避し、零細企業の倒産と失業者の増大は空前と云われる程である。
第二は、東日本大震災の復興の遅れと、福島の原子力発電所損傷による始末と節電、放射能漏れによる、避難所生活の大騒動で、双方は共に民主党政権の無能が問題である。
不況と円高は乗り越えられる
世界経済は、戦後から今日まで基軸通貨のドルを中心にアメリカが牽引車であった。
だが、アメリカの浪費グセは止まることを知らず、たれ流した莫大なドルは全世界に信用を失い、対日評価では、一ドル七十円台に暴落したままである。
日本が国際社会に伍した独立直後のドルは一ドル三百六十円であった。それが今日では五分の一の七十円台に下がってしまった。日本では円高と呼ぶが、世界ではこれをドル安と呼ぶ。アメリカの通貨であるドルの低下は、世界の株価の暴落を誘っている。
新興勢力のロシア、中国、インド、ブラジルの四カ国までも、同時株安へと巻き込まれた。その結果、世界同時大不況が予想され、株式市場は方向性を失っている。
自国の経済が貧困に直面すれば、生活を引き締め、財政の緊縮を図り、その上で景気の回復の為に、発展向上の政策を行うことが正常の政策である。
だが、アメリカ及び中国の経済構造は巨大である。とりわけ中国の労働力と低賃金は先進国にとっては魅力的である。
この二大強国が、自国内の失業救済と治安維持の為に、どれ程の通貨を世界及び国内に垂れ流していることか。アメリカは国際通貨であるから、誰はばかることなくドルを流出し続ける。また中国は、人知れず国内に通貨をタレ流しその結果物価高を招いている。
この二大経済大国が、「自国の政治情勢」の混乱を回避するため、更に大きく世界の経済動乱を招いていると云うべきである。
これを防ぐため、各国も経済再生と防衛に全力を尽くすことは当然である。
日本はこの円高を利用し活用すべきである。まずは、海外の資源を存分に買い入れること。だが原油などは施設の必要から、その容量に限度がある。鉱物資源や金は、既に限界を超える高騰を招いているから、なかなか手が出ない。それでも出来るだけ買えるものは手に入れ確保しておくことが必要がある。
非常時だから大胆に「政府紙幣」を
大切なことは、アメリカや中国と同等に、日本政府も「政府紙幣」の大量発行を行うことである。まず大胆に五十兆ほどを災害対策に投入せよ、その上、また五十兆を、国内経済発展と、防衛力強化及び国土整備に活用して、不況克服に役立てよと主張する。
例えば、第一に、道路交通網、特に日本海側に新幹線を、東京大阪間にリニアモーターを、都市には、電力及び電話電線と共に、ガス管等の地下埋設による「共同溝の建設」。特に近隣諸国への脅威に対し、対等の防衛力の強化は独立国として不可欠の要件である。
加えて、毎年追い討ちをかけるが如く、膨大な国債の償還期限が来る。毎年約三十兆円余が迫っている。これも約三年間、計約百兆円を毎年、同時発行の国債の繰り返しを止めて、その分の百兆円を「政府紙幣」で消化する。
この約三年間で合計二百兆円程の政府紙幣を発行することで、日本国内のデフレ克服と、災害復興及び失業救済と、国土開発を試みるべきではないか。今日は異常事態であるから。
財政や税金の裏付け無き一国の通貨が下落することは当たり前である。アメリカのドルは暴落し、中国は物価高が眼前にそれを証明している。
日本政府も「政府紙幣」を発行するならば、日本もその例外ではない。一ドル七十円台のドルが、百兆円の「政府紙幣」発行で九十円台となり、二百兆円の増発で百円から百十円台の円安へと戻るのか。
これは架空の論である。否々、百二十円まで円安へと反落するかもしれない。
その結果、日本国民は困るのか、財界は迷惑するだろうか。日本経済を正常に戻す緊急時の対応だから思い切った対応、即ち「政府紙幣」の発行を行うべきだと主張する。
働きグセの付いた日本人が、働く場が無く、新卒者の職場さえ見つからない日本社会。不況の為、五十代で追い出された、日本企業の中年技術者が失業者として、最近では中国や韓国へ高い給与で雇われ、日本企業内の大切な技術が流出しつつある。
その結果、韓国や中国企業が恐るべき競争相手となりつつある。このまま日本の産業界を見捨てておいてよいのか。
元気な日本経済を取り戻すために、非常手段として、思い切ったデフレ克服の手段として「政府紙幣」即ち、「打ち出の小槌」を利用せよ。絶好のチャンスと言うべきである。
日本は一九九三年に、一人当たりの国民所得で世界一となった。
だがそれからは、つるべ落としの低下が続き、現時点では30位ぐらいに落ちている。20年以上もデフレから脱却できないのは先進国中では日本だけである。
世界が大きく変ってきているのに、日本だけが20年前の成功体験のままではないか。
原子力放射能を怖がるな
東京電力福島発電所の、震災による損傷の始末に政府も東京電力も困り抜いている。
殿様企業とまで表された東京電力の、損傷による初動対処の失敗は度々指摘されている。加えて、菅政権の大局を視ない指導が、問題と被害を益々拡大している。
政府の損傷に対する修復の失敗を、原子力発電そのものの害と宣伝するのは、余りにも無責任であり、卑怯である。「問題のスリ替え」、そのものである。
加えて、広島、長崎の原爆に対する、被爆者への救済と、反原爆の声に悪乗りし便乗して、菅総理の無責任な持論が「脱原子力発電」を叫んで、無能力の失地回復を試みるのは、指導者として、これ程、悪質な言動と悪乗りはない。
テレビも新聞も、連日、福島の原発損傷の始末と、被曝地域の危険性による避難民のきびしい生活を報じている。既に五ヶ月も経過すれば、被曝者避難の不規則な生活によって、多くの傷害者が病院に運ばれ、死者も数十名と報じられている。
不思議なことは、避難をすべき原因は、原発損傷から発している放射能であるのに、その放射能による直接の被災者が、殆んど報道されていないことである。
放射能が危ないから避難したはずだ。その直接、一番危ない処で働く、東電職員や、自衛隊員や、政府職員に、被災者が報じられない。と云うことは被災の害が、身体にまで影響を与えていないことではないか。それなのになぜ、こんなに大きく騒ぎまくるのか。
放射線には「ホルミシス効果」がある。これは一学者の説である。
一定量を大きく超えれば有害となる、一定量以下の少量ならば、害よりもむしろ、有効となる、優良の効果となると言う説である。
アメリカで発行された、ラッキー博士の『電離放射線の生物学的効果―日本に贈る一視点』と云う論文を読んだ。―――われわれの間で通用している放射線は、すべて有害という常識からすると、驚天動地、トンデモ発言、非常識極まりない言葉である。
高線量放射能が人体に害があることは当然である。それが少なくなるに従って、害の程度が減ずる、と考えていることとは異なり、ある値以下になると、却って人体の健康によい影響を与える事実がある。これを同博士は「放射線ホルミシス効果」と呼んでいる。
同博士の研究、実験の結果から100シーベルト/年が最も健康に良い線量レベルであると延べている。100ミリシーベルトは、危険かどうかではなく「体に良い」レベルだ。
原発損傷事故現場から20km圏で避難したりする必要など「皆無」である。
現在の20km圏の放射線は、ほとんど1マイクロシーベルト/時以下であり、ここを避難区域にして住民を苦しめ、家畜を殺す政策を続けている。
中国がウイグル地区で延べ46回、総爆発出力20メガトンの原子核爆発を行った結果、推定式によると、19万人の死者をウイグルで出しているという。
汚染された黄砂は偏西風に乗って日本にも流れている、これによる放射性ストロンチウム90が日本人の骨格にかなり蓄積されており、推定で2―5ミリシーベルトに達しているという。
これよりはるかに微弱な放射線が観測されている福島については、過剰な反応を示している。中国の核実験による放射性汚染、特にストロンチウムの危険性を指摘していた人々が一人でもいただろうか。
人間の体に不可欠の塩にしても、1日5グラムはよいが、一度に100グラムを食べたら先ず無事では済まない。放射線も人間の体には不可欠なものである。
ただその量が多すぎると害を受け、適量だと健康によいということになる。
確かに、ラジウム温泉、ラドン温泉などへ当たり前に出かけているが、その効用は主として放射線がその元である。三朝温泉の区域住民のガン死亡率は、全国平均の半分以下とはっきりとした差が出ている。胃ガン、肺ガンでは3割以下、大腸ガンとなると2割以下である。周辺地域もガン死亡率は全国より低いが、8割程度である。
ラジウム温泉、ラドン温泉は通常の200倍くらいの放射線が出ているようである。秋田の玉川温泉は岩盤浴で有名だが、これも放射線である。
最近の福島風評被害で、こうしたところへの客がめっきり少なくなったという話も伝わってくる。まったく馬鹿げた話である。集団ヒステリー現象と言うべきだろう。放射線は、本当はそんな恐ろしいものではなく、間違いなく体に良いのである。(適量ならば)
あまりにも放射線の害毒に目を奪われることにより、人々は低線量放射線のもたらす恩恵に目をつぶってきた。低線量放射線を生体が浴びることにより、生体に良い効果が得られるということは一世紀以上前から知られている。
「地上に発生するものは、害ばかりではない。必ず解決出来るものである。福島原発の始末に困り果てているとき、一つの明るい光を見付けた思いで本書を読了した。」
詳しくは直接『放射能を怖がるな!』をお勧めする。発行所
日新報道〒一〇五-〇〇一一
東京都港区芝公園3―6―23 著者 T・D・ラッキー 翻訳・解説 茂木弘道
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