_塚本三郎元民社党委員長小論集_ _当会支部最高顧問、塚本先生世評_

前代未聞の三大事件発生             塚本三郎

 『政権交代』の結果、国民の期待は残念ながら外れた。

日本は法治国家である。民主党政権を選んだ責任は我々に在る。ならば今迄に自民党政権では為し得なかった、惰性に明け暮れた政治に対し、民主党の力で、改革に手を染めて欲しいと願うが、菅政権が我々の期待に応え得るか否かは、既に私は論じ続けて来た。
 人間は大自然の力に動かされて変化してゆく。仏教では、その力を神と称し仏と仰いで来た。その神仏の力が、異常に働いているのが、凡人である私共の、眼にも耳にも伝えられている。今までには起こったことのない、自然現象の異常事態が次々と起きて来た。
 そして異常事態は、政界にこそ「三つの大きな激震」が続いている。

㈠ 最高検が大阪地検特捜部長を逮捕した

 大阪地検の検事が、押収資料を改ざんしたとして、検事総長をトップに頂く最高検が、刑事部の検事を主任とする捜査チームと、検証チームを組織し、前田恒彦大阪地検特捜部主任検事を逮捕した。問題はそれに止まらず、当時の特捜部長まで逮捕された。
 厚生労働省元局長・村木厚子が、大阪地検特捜部のターゲットとなった。郵便不正事件で、前特捜部長の大坪弘道が、犯人隠避容疑で逮捕され、史上最悪の事態に揺れる法務省。
 大阪地検特捜部、主任検事・前田恒彦に対する、証拠品の改ざん疑惑で、「部下を信じる」と、疑惑解明よりも温情を優先させた、大阪地検の実体。
 大阪地検特捜部の押収資料改そ、犯人隠避事件で、主任検事の前田恒彦容疑者の報告を受けた部長の大坪弘道が、前田容疑者の「犯人性」を強く認識していたのに見逃した。 
 検察は、社会正義と法秩序を守る使命がある。社会を乱し、法秩序を守らず、これを犯す者を逮捕して、厳正に法廷に持ち込むことが任務である。
 検察は、犯人を作る為の組織であってはならない。犯人を有罪に仕立てて、それが部内の成績を考えることは、法の乱用ではなく、犯罪そのものである。

㈡ 小沢一郎氏強制起訴

 小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」の、政治資金規正法違反事件で、東京第五検察審査会は、小沢を起訴すべきだとする「起訴議決」をした。

 議決は、小沢氏の事件への関与を認めた、元秘書らの供述は信用できるとし、小沢氏の供述については「不自然不合理」と批判。
 「不起訴とした検察の判断は納得しがたい」と指摘した。――これを受けて

 小沢氏は「これは権力闘争だぞ」と述べ、涙ながら自らの正当性を訴えたという。
 つい先日まで、「検察が何もない」と云っているではないか、と不起訴処分を、自慢げに弁明に利用していた。そして今は、検察に対抗して権力闘争だと云う。
 思えばつい先月、民主党代表選で、菅直人氏と小沢一郎氏の激戦で、日本中の注目を集めた。民主党代表は直ちに、内閣総理大臣になる地位の争いでもあった。
 万一、小沢氏が選ばれて、総理となり、「起訴すべきだ」となったならばと、想定するとき、日本の政界にとっては、決して民主党のみの問題ではなかろう。
 それが予測の如く、起訴と議決された。民主党執行部は彼の処分と判断に苦慮している。

㈢ 日本と中国の騒動は一過性ではない

 「中国漁船による公務執行妨害事件は、わが国法令に基づき、厳正かつ粛々と対処した」と外務省は表明した。しかし中国当局は、白旗を掲げて、中国人船長を釈放した日本に対して、和解の握手をするどころか、くみしやすしとみて、図に乗ってきた。
 中国外務省が、日本に「強烈な抗議」として、今度は逆に謝罪と賠償を要求した。
 「政治は硝煙なき戦争であり、戦争は硝煙による政治」これは毛沢東の言である。
防衛力をないがしろに、放置、否削除し、独立国として当然の任務に逆行している。
近々中国が狂暴な魔手をもって、寝ぼけ眼の日本政府に襲い掛かって来た。
 ここ十数年来、中国の軍備増強の牙に、アセアン各国は戦慄している。それなのに、なぜか日本だけが、夢遊病者の如く「友愛外交」の発言を繰り返している。

前文(十月上旬)の削除と訂正について

 「国難来る、西・北より来る」の文章のうち、二頁二十行目から三十四行目までを削除させて頂きます。その文章は次の如くです。


 
『過日、クリントン米国務長官が口頭で確認したという「尖閣諸島」領域が日本の施政下にあるから、日米安保条約の対象という論理である。
 しかし、このまま友愛外交で、若し日本が中国の恫喝に屈し、事実上、同領域が日本の施政下にないと国際社会が判断した状態となったら、そして米政府が、その見方に傾いたら、日米安保は適用されなくなるであろう。
 尖閣諸島が狙われる最大の原因は、「無人島のまま」ということである。日本の領土に編入して一一五年となり、かつお節加工業者二百人が引き揚げ過去七〇年間も、無人島で経済活動も行っていない。日本政府が施政下であるという主張自体が弱いと思われる。
 中国は二〇〇四年から、日本最南端の「沖ノ鳥島」を、経済活動を伴うと認めず「岩礁だから排他的経済水域を認めない」と云っている。
 日本政府は、無人島や岩礁を積極的に自国領土化する「海鳥保護法」が、実際に機能しはじめたとの、アカシとして、「日本国の施政」を強化しなければならない。
 中国人が「尖閣は中国領」と叫び続けているとき、日本政府は、それを無視して「領土問題は存在しない」と云っているだけでは駄目である。
 沖縄県知事が云うように、この際直ちに自衛隊を、これ等の島に駐留させるべきだ。』

 右の文は、私の畏友大礒正美氏(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)から、送られてきた文『ほぼ失われた尖閣諸島と膨大な権益』の一部を引用したものです。
 この文は、日中・日米間の姿勢を見事に論じたものであったから、著者に了解の上で、その一部を引用しました。しかし、著者の氏名を記載することを怠りました。
 また、文中、若干私見を加えたので、本文と若干異なります。既に原文は多く読まれており、小生の文が異質となったゆえ、前掲の部分を削除することに致しますのでご了承下さい。――この件について、原作者の御配慮に感謝致します。      塚本三郎


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