NHK集団訴訟第1回公判での意見陳述(1)

以下は2月15日に東京地裁で行われたNHK集団訴訟での原告側の意見陳述の内容を紹介する。今回は小田村四郎・本会会長のものである。

意見陳述書

私は現在、日本李登輝友の会という、日本と台湾の交流のシンボルである李登輝元総統の名を冠し、台湾との文化交流を目的に設立した団体の会長を務め、台湾の日本統治時代にも深い関心を抱いてこれまで活動してきている。台湾を訪問したことも数度に及び、その度に李登輝元総統はじめ多くの台湾の方々にお会いしてきた。
日本放送協会(以下、NHK)は、昨年四月五日午後九時から「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー 第一回 アジアの !)一等国!)」という番組を放送した。この番組は日本の台湾統治を放映するというので、多大の期待を持ってこれを観た。今日、台湾は東アジアの中で最も親日的な国であり、日本統治時代を懐かしむ台湾人の方々も極めて多いことも聞いていたから、番組は当然その原因、理由は何かという問題に取り組むものと予想していた。
だが、期待はものの見事に打ち砕かれた。私は番組に出演していた柯徳三先生も存じ上げており(先生には『母国は日本、祖国は台湾』と題する著作もある)、私が知る限り、台湾の日本語世代の人々の常日頃の発言と大きくかけ離れており、反日的と思われる部分だけを取り上げた印象が強かった。日本の台湾統治を差別、弾圧の歴史として描くため、台湾人の証言を都合よく操作し、「反日台湾」を印象付けるためだったのかとしか思えない内容であった。日台離間を企図しているのかとさえ思われる内容でもあった。
番組内容には批判すべき点が多々あるが、聞き慣れない「日台戦争」や「人間動物園」といった呼称が出てくるし、後藤新平は出てきても、それは台湾人三千人を処刑した匪徒刑罰令の実行者として出てくる。また、台湾特産の樟脳産業を立て直すために基隆港を大型化し縦貫鉄道を敷いたと説明する。
確かに台湾統治では同化政策を進めた。差別もあった。この差別について、特に台湾の日本語世代は日本人の前ではあまり語りたがらない一面があることを、私も体験的によく知っている。だが、日本語世代を代表する李登輝元総統はじめ多くの台湾人が日本統治を高く評価していることも事実である。それは、公衆衛生の改善、複雑な土地制度の改革、阿片吸引の悪弊撲滅、道路・鉄道等インフラの建設、糖業の振興、教育の普及等々に多大の貢献をした後藤新平や、烏山頭ダムを建設して荒野と言われた嘉南平野を穀倉地帯に改造した八田與一等が高く評価されていることに如実に現れている。
故に、台湾をよく知る人々には、著しくバランスに欠けた内容と映じ、統治時代の歴史を歪曲しているという印象を強く残したのである。
従って、日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない。
日本唯一の公共放送であるNHKは、放送法に従って運営されている。放送法の第二章の第七条から第五十条までは「日本放送協会」について規定している。
放送法第三条の二の第一項は「放送事業者は、国内放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない」として、次の四項目を定めている。
一、公安及び善良な風俗を害しないこと。
二、政治的に公平であること。
三、報道は事実をまげないですること。
四、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
 特に三号の「報道は事実をまげないですること」に関して、例えば一九一〇年にイギリス・ロンドンで開かれた「日英博覧会」に、台湾のパイワン族二十四名がアイヌ人などとともに参加しているが、これを当該放送の中では「人間動物園」として「展示」されたと放送した。
しかし昨年六月、当該番組に出演したその子孫で、台湾・高士村に住むパイワン族の許進貴氏や高許月妹さん兄妹などからは、NHKに対して「台湾での取材から『パイワン族の人々を人間動物園としてイギリスの日英博覧会で見世物にしたのです』という不適切な表現を放送したと知り、非常に驚いています。高士村の人間として、非常に辱めを受けたと感じております」「高士村の人々が共有する博覧会の美しい記憶として後世に語り継がれてきたものを、なぜ突然『人間動物園』という見方に変えてしまったのか。大変理解に苦しみます」という内容の抗議文が送られている。
また、やはり番組に出演した柯徳三先生らからは「人間動物園」について、NHKに「これは当時の白人の優越感から生れた言葉ではあるが、パイワン族の正装した写真を『人間動物園』と字幕つきで紹介するのは、不適切である。高士村の人々は、今でもこれを村の栄誉としており、英国へ行った村の人々は、非常に優遇されていた様子が、一九一〇年台湾総督府発行の『台湾日日新報』九月二十九日と三十日付けの一面記事に詳しく記載されている。彼等の踊りは後に旧制台北高等学校で毎年の記念祭でも、圧巻のショーとして披露されている。パイワン族に対する人権問題である」と、署名・捺印した「NHK番組『JAPAN・デビュー』に対する抗議と訂正を求める文書」が届けられている。
つまり、取材を受けた番組出演者自身が当該番組は事実を枉げて放送したと抗議したのである。これは放送法に定める「報道は事実をまげないですること」に明白に抵触する、放送法違反の番組制作となる。
従って、私は放送法三十二条に規定する受信契約者として、NHKは放送法に違反した番組を制作したのであるから、「放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは……相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない」と定めた放送法第四条の規定に従い、速やかに訂正放送すべきことを訴え、私の意見陳述とする。

平成二十二年二月十五日

NHK放送受信契約者 小田村 四郎


「日台交流基金」にご協力を!

 日本と台湾の文化交流を主とした新しい日台関係を築いていくため、台湾との豊かな交
流をめざす日本李登輝友の会は、李登輝元総統の「奥の細道」散策実現を掲げ、そのため、これまで政府に危害防止措置を含めた諸対応を要請するとともに、広く歓迎を呼びかけるなど、微力ながら力を尽くしてまいりました。

 お蔭様で、平成19年(2007年)には「奥の細道」探訪の旅として実現し、また同20年9月の沖縄訪問、同21年の東京・高知・熊本訪問も実現いたしました。しかし、奥の細道はまだ半分で、新潟から最後の岐阜・大垣まで残っています。また日本各地から講演要請や表敬訪問の依頼が届いています。

 つきましては、本会ではこれらの実現のため、また、さらなる日台交流を深める活動を
展開するため『日台交流基金』を設けています。5万円以上の篤志者の方には、李元総統
に縁したグッズなどお喜びいただけるようなものをお送り申し上げる所存です。趣旨にご
賛同いただける方はご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

【日台交流基金 募金要項】

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