SAPIO誌が「台湾は中国の領土にあらず」を古地図で証明

中国は、台湾が自国領土の不可分の一部だとして、常套句として「台湾は古来中国の
領土」をよく使う。1993年8月に発表した『台湾白書』においても「台湾は古来中国の領
土である。古代に夷州と呼び、秦漢代に船による往来があり……」とある。ところが、
中国領土だったとする「古来」を明確にしたことは一度もない。

 この『台湾白書』に「古代に夷州と呼び」の夷州は『後漢書』が出典で、「人民、時
には会稽(現在の浙江省寧波)に至る」とも記している。しかし、この「夷州」が台湾
だと確定しているわけではないし、後漢が当時の台湾を統治していたとは記していない。
後漢の次の三国時代の文献にも出てくるが、やはり統治した形跡はない。

 隋の煬帝のときに兵1万名をもって「琉求」を攻略するものの、1ヶ月で撤退してい
る。この「琉求」こそ台湾であるが、統治はしていない。元の時代にも2度ほど「琉求」
から「瑠求」へと表記を変えた台湾を攻略しているが、このときも捕虜を得たのみで統
治するまでは至っていない。

 13世紀の宋の時代に至って、澎湖島が泉州の「晋江県に隷属す」と記される。だが、
それでも軍や役所が置かれたわけではない。ましてや台湾本島に置かれたわけではない。
漢人移住民が押し寄せるのは明の時代になってからだ。

 このように明の時代まで「古来」をたどってみても、中国王朝が台湾島を認識しては
いても「中国の領土」だったことは証明されない。

 では、版図意識は地図にこそ顕れるので、古地図から探ったのが「SAPIO」誌だ。
9月26日号では「これが武断&無法国家中国の実相だ」と題し、その第4弾として「『古
地図』が物語る『台湾は中国の領土にあらず』」を掲載している。カラーで10枚の地図
を並べ、中国のウソを古地図で証明している。

 現存する12世紀の最古の地図「石刻図」には、海南島はあっても「台湾の島影は見当
たらない」し、それ以降も台湾の存在は曖昧なままで、「『清』代末になって、ようや
く正確な台湾図が描かれたのだった」と記す。つまり、中国は19世紀末に至るまで台湾
島の全貌を認識していなかったということになるのである。

 このように、文献的にも地図表記にしても「古来中国の領土」は証明されないのであ
る。中国のウソには騙されまい。

 この古地図を掲載するに当たっては片倉佳史氏も取材協力している。まだ書店にはあ
ると思うので、資料としても手元に置いておきたい一冊だ。       (編集部)

■SAPIO(毎月第2・4水曜日発売) 定価:480円
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