NHKがホームページに「『アジアの“一等国”』に関しての説明」を掲載

4月5日に放送された「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー・第1回『アジ
アの一等国』」で批判を受けているNHKは、昨日の日向英実・放送総局長による定例記
者会見で「視聴者の皆さまにも説明すべきと考え」「プロジェクトJAPAN」コーナー
に「『アジアの“一等国”』に関しての説明」を掲載したことを明らかにした。

 日向総局長は、この番組が「特定の意図や歴史観に基づいて作っているのではない」こ
とを改めて強調したが、A4判で6ページになる「『アジアの“一等国”』に関しての説
明」は、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)による2
度目の公開質問状への6月9日付の回答内容とほぼ同じだ。

 説明は「1、番組のテーマと取材・制作姿勢について」「2、番組の主な事実関係、用
語について」「3、台湾の方々へのインタビューについて」の3つからされている。

 中でも「2、番組の主な事実関係、用語について」では「人間動物園」「日台戦争」「漢
民族」「中国語」についてそれぞれ説明している。だが、「人間動物園」については、日
本文化チャンネル桜の取材により「やらせ取材」が明らかになっている。「日台戦争」に
ついては、日清戦争後における掃討戦と見るべきで、あの武装抵抗は日本と台湾の新たな
戦争と呼ばれるようなものでない。「漢民族」については、あの番組を最初から注意深く
見ていれば、NHKは今の台湾も日本統治時代の台湾も「台湾の住民のほとんどは中国大
陸から移り住んだ『漢民族』」と断定していて、決して「漢民族系」と言っているわけで
はなく、最新の研究を踏まえているわけでもないことに注意すべきだ。「日台戦争」だけ
近年の学説で説明し、「漢民族」は総督府文書ではダブルスタンダードの謗りを免れまい。
「中国語」については、客家語を話す人々もいたから「中国語」という表現にしたと説明
しているが、総称して「台湾語」と説明したら違和感を抱かなかったとは台湾の人々の感
想だ。

 問題は、NHKがわざわざこの4つについて説明していることだ。実は「3、台湾の方々
へのインタビューについて」で、NHKは「柯徳三さんや蒋松輝さんから抗議を受けてい
るということはありません」と説明しているが、柯徳三さんたちがNHKに対して正式に
抗議文を郵送したことが最近になって明らかにされた。それも、この4つの言葉の「歴史
解釈については、間違いであるとして此処に抗議と訂正を要求」しているのである。

 NHKは、これで抗議を受けた場合の伏線を張ったつもりだろうが、すでに説明は破綻
しているうえに、番組に出演した台湾の人々からの抗議も受けていないという「弁明」も
成り立たないことを認めるべきなのである。

 いずれにしても、「『アジアの“一等国”』に関しての説明」は、自己弁護に終始した
感が強い。                               (編集部)

■NHK・プロジェクトJAPAN
 http://www.nhk.or.jp/japan/

■「『アジアの“一等国”』に関しての説明」
 http://www.nhk.or.jp/japan/pdf/asia.pdf


4月5日放送のNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー」第1回「アジアの“一
等国”」について
【6月17日 NHKトップトーク・平成21年度 放送総局長記者会見要旨】

(日向総局長)
 この番組については、いくつかの団体などから番組内容が偏っているなどとして抗議を
受けている。これまでも個別の問い合わせに対し丁寧に対応してきたが、視聴者の皆さま
にも説明すべきと考え、番組ホームページにNHKとしての考え方を掲載した。このプロ
ジェクトは150年の近代化の中で西洋列強に肩を並べる努力をしてきた日本が結果的に敗戦
という悲惨な結末を迎えた歴史を改めて見つめるという3年のシリーズ。第1回では台湾総
督府に残されている客観的な資料などをもとに、インフラ整備や教育面での日本の貢献も
伝えながら、植民地統治がいかに行われたかを伝えた。特定の意図や歴史観に基づいて作
っているのではないことをご理解いただきたい。
(http://www.nhk.or.jp/japan/pdf/asia.pdf)



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