NHKから友愛グループへ誠意のカケラもない「回答」

7月16日、友愛グループに対するNHKからの7月10日付の「回答」が書留で届いた。友
愛グループは6月20日付で「NHKへの抗議と訂正を要望」を日本李登輝友の会経由でN
HKの福地茂雄会長宛に呈したが、福地会長からの回答ではなく、代理の河野伸洋氏から
だった。

 回答を受け取った抗議文の責任者である張文芳氏は「予想した通りの内容でした」と、
あきれながら半ば落胆をにじませるような感想をもらしつつお送りいただいた。

 それにしても、「高い評価をいただきました」と言って、ウソを交えた言い訳に終始す
るこの「回答」には、台湾の人々が受けた痛みを汲み取るような深い思いは微塵も感じら
れない。まったく誠意のカケラもない「回答」だ。

 「回答」でNHKは「私たちは今回、台湾の方々が、日本統治時代をどう受け止めてい
らっしゃるのか、その実態とお気持ちを聞かせていただきたいと思いました。……それぞ
れの方の発言の趣旨を十分反映していると考えています」と述べる。しかし、そうは受け
取れなかったので台湾の人々は抗議しているのだ。答えになっていない「回答」は回答で
はない。

 友愛グループは早速、次の抗議内容を検討しているという。       (編集部)

■台湾・友愛グループの「NHKへの抗議と訂正を要望」全文
 http://www.melma.com/backnumber_100557_4526704/


台湾・友愛グループ御中

 貴台湾・友愛グループより日本放送協会会長宛に送られた「NHKへの抗議と訂正を要
望」する書面について、会長に代わって当該番組の責任者として回答させていただきます。
皆様方が、戦前日本語による教育を受けた方々を中心に、台湾で日本語を守り育てる活動
を続けていらっしゃることはよく存じております。また、これまでのNHKへのご協力に
感謝申し上げます。

 さて、4月5日(日)夜9時から放送したNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデ
ビュー 第1回 アジアの“一等国”」につきましては、放送後、視聴者の皆様から多数
のご意見、ご要望を頂戴しました。高い評価をいただきましたが、その一方で、「内容が
偏っている」、「事実関係に誤りがある」、「台湾の人たちへのインタビューを恣意的に
編集している」などの批判の声も寄せられました。そのため、6月17日、番組のホームペ
ージに「説明」のコーナーを設けました。詳細はこの「説明」をご覧いただきたいと思い
ますが、以下今回の「要望」書にあるご意見に沿いながら、私たちの考えの要点を述べた
いと思います。

 「日台戦争」、「人間動物園」という用語については、事実関係を多くの資料にあたっ
て調べ、また専門家に取材し、確認を重ねた上で放送しています。

 「日台戦争」という用語は、そもそも当時の日本政府が法制度上、武装抵抗に対する鎮
圧にとどまらず、「戦争」として認定していたという歴史的事実が前提になっています。

 1970年代以降、研究書の中で、「台湾植民地戦争」、「台湾征服戦争」、「台湾占領戦
争」といった用語が使われるようになりました。「日台戦争」という用語は、1995年、
『日清戦争百年国際シンポジウム』から使われるようになり、台湾に関する歴史研究者や
学会で定着してきています。

 「人間動物園」とは、西洋列強が、植民地の人間を文明化させていることを宣伝する場
所でした。当時の列強には、「一等国」として「文明化の使命」を果たしているという意
識がありました。植民地研究の権威で、日本の台湾統治も長年研究してきたスタンフォー
ド大学客員教授のマーク・ピーティー氏は「日本にとって、台湾は、世界の植民地大国に
対して、自らの統治能力を見せるショーケースのようなもの」と述べています。台湾領有
から15年後に開催された日英博覧会は、日本にとって統治の成果を世界に示す絶好の機会
でした。イギリスやフランスは、被統治者の日常の起居動作を見せ物にすることを「人間
動物園」と呼んでいました。日本は、イギリスやフランスのこうしたやり方をまねてパイ
ワン族の生活を見せました。

 このようなことは、台湾の方々にとっても心地よい事でないことはもちろんですが、当
時の状況の中でおきた事実としてあくまで客観的に伝えたものです。

 「日本が台湾の近代化に果たした功績」に関しても番組では伝えています。鉄道や港湾
などの社会的基盤を整えたこと、後藤新平が「台湾の宝」である樟脳産業を立て直したこ
と、そしてこの後藤の改革によって樟脳がイギリスに安定的に供給されるようになり、歓
迎されていることも当時のイギリス側の資料で伝えています。さらに、台湾総督府が欧米
向けに出版した「台湾十年間の進歩」を紹介し、「台湾歳入」、「内地貿易」の金額が急
増したことを伝えています。番組では、こうしたことをふまえた上で、台湾を内地と同様
に扱う「同化政策」や、台湾人を目本人に変えようという「皇民化政策」といった植民地
統治の実態を、一次史料や映像、証言などによって描いたものです。

 私たちは今回、台湾の方々が、日本統治時代をどう受け止めていらっしゃるのか、その
実態とお気持ちを聞かせていただきたいと思いました。たとえば何徳三さんですが、取材
持あわせて5時間程度インタビューしています。柯さんは、5時間のインタビューの中で、
当時の日本の統治に対する率直な思いを語っていらっしゃいます。番組で使用した部分は、
柯さんの発言の趣旨を十分に反映していると考えています。台北第一中学校の同窓会での
インタビューも、それぞれの方の発言の趣旨を十分反映していると考えています。

 「台湾を反日と結論づけようとした番組姿勢」とありますが、今回の番組に寄せられた
ご意見の中に、「こうした歴史を知ってこそ、台湾の人々とより良い関係を築いていけ
る」、また「証言を聞いて、台湾の人たちが、より深い意味で親日家であることがよく分
かった」というものがありました。私たちも、この番組によって、日本と台湾の間の絆が
さらに深まってほしいと願っております。

 以上、どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。

 平成21年7月10日

                日本放送協会 ジャパンプロジェクト
                    エグゼクティブ・プロデューサー 河野伸洋


■ NHK「JAPANデビュー」問題:抗議先

・NHK「ジャパン・プロジェクト」の濱崎憲一ディレクター
 TEL:03-3465-1111
・NHK視聴者コールセンター
 TEL:0570-066066 FAX:03-5453-4000
 メール:http://www.nhk.or.jp/special/
・NHKスペシャル「感想・問い合わせ」
 https://www.nhk.or.jp/special/contact/index.html
・放送倫理・番組向上機構(BPO)
 TEL:03-5212−7333 FAX:03−5212−7330
 https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html(ご意見送信フォーム)
・総務省(放送政策課直通)
 TEL:03-5253-5776 FAX:03-5253-5779
 メール:https://www.soumu.go.jp/common/opinions.html


●日本李登輝友の会にご入会を!─NHK問題を解決するためにも

 NHK「JAPANデビュー」問題が起こってから、日本李登輝友の会に入会される方
 が増えています。この問題の解決のために本会をご支援いただける方は、ぜひご入会を
 お願いします。下記の「入会お申し込みフォーム」からですと、手軽にお申し込みでき
 ます。「入会案内」はホームページをご覧ください。   (日本李登輝友の会事務局)

■入会お申し込みフォーム http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0005.reg

■入会案内 http://www.ritouki.jp/guidance.html

●「日台交流基金」にご協力を!

1口=2,000円(5万円以上の篤志者の方には特典があります)

☆郵便局
【加入者名】日本李登輝友の会 【口座番号】00110−4−609117

・通信欄に「基金」とお書き添えください。
・一般の方は、郵便局備え付けの「郵便払込取扱票」をお使いください。
・会員の方は、機関誌『日台共栄』に添付の郵便払込取扱票をお使いください。

☆郵便貯金口座
【記号−番号】10180−95214171 【口座名】日本李登輝友の会

☆銀行
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【三菱東京UFJ銀行】
本郷支店 普通:0012742 日本李登輝友の会事務局長 柚原正敬
【ゆうちょ銀行】
〇一九(ゼロイチキュウ)店 当座:0609117 ニホンリトウキトモノカイ

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