馬祖の旅  傳田 晴久

去る10月24日から27日まで、本会主催による「片倉佳史さんと行く台湾200%満喫の旅」
の第6弾として「馬祖編」が行われ、初めて離島を訪問しました。

 福建省連江県にある馬祖は、台湾好きでもあまり行ったことがない場所です。台湾であ
りながら、馬祖のみで見られる独自の廟建築、馬祖でしか味わえないグルメ、台湾本島や
金門島、澎湖島とは全く異なった文化を保っているところだそうです。

 そこで、本会では馬祖へ行く前に「事前学習」として、10月5日に台湾漫遊倶楽部さんの
ご協力を得て、青年部(杉本拓朗部長)主催により「片倉佳史のもっと台湾トークライブ
─馬祖編」を開催しています。

 このツアーに参加された一人に、「台湾通信」を発行する台南在住の傳田晴久(でん
だ・はるひさ)氏がいます。

 傳田氏から早速「馬祖の旅」と題してレポートが届きました。ツアーは「素晴らしい体
験の連続」で、「『台湾の達人』片倉佳史さんの同行解説によって、多くの知見が得られ
ました。皆さん、機会がありましたら、是非とも馬祖列島を訪問してください」と余韻冷
めやらぬ感じでつづられています。下記にご紹介します。

 なお、今回のレポートは第1弾だそうで、第2弾では馬祖の信仰などいろいろレポートし
ていただけるとのことです。

◆片倉佳史さんと行く台湾200%満喫の旅No.6「馬祖編」ご案内
 http://www.ritouki.jp/tour/2013maso.html


馬祖の旅(1) 傳田 晴久
【台湾通信(第77回):2013年11月2日】

◆はじめに

 このたび台湾の離島「馬祖」を訪ねるツアーに参加いたしましたので報告させていただ
きます。このツアーは日本李登輝友の会が主催するツアーで、「台湾の達人」片倉佳史さ
んが同行解説してくださるというものです。

 私は金門島、澎湖島には行ったことがありますが、馬祖列島にはまだ行ったことがな
く、かねて行ってみたいと思っていたところでしたので、自分の齢を忘れていくことにい
たしました。ご報告したいことがいろいろありますので、2、3回に分けさせていただきま
す。まず初めは「馬祖」の紹介から始めましょう。

◆「馬祖」とは?

 右の地図はインターネットからの引用ですが、右下に台湾本島があり、左上の中国との
間に小さな島が下から上に金門、烏坵、馬祖列島が並んでいます。我々が訪ねる「馬祖列
島」は福建省連江県にあり、台湾本島の西北方約210kmにありますが、大陸はほんの目と
鼻の先、約10km弱と離れていませんので、晴れている日は対岸がよく見えます。

 馬祖列島は5つの大きな島(南竿島、北竿島、西莒島、東莒島、東引島)で構成され、合
計総面積は約25,000ヘクタールあるが、日本では馬祖列島の事を一括して馬祖島(ばそと
う)と呼んでいます。人口は表敬訪問した県長(県知事)楊綏生氏によれば約12,000人
(除:軍人)と言うことです。

◆馬祖の謂れ

 南竿(なんかん)島に天后宮という廟があり、そこに媽祖様が祀られていますが、廟を
紹介するパンフレットに「霊穴傳奇」という項があり、次のような記述があります。

 清朝の初め、「使琉球記」に「天妃」は父のために海に身を投じ、亡くなった。連江県
誌には詳細な記述があり、伝説によれば父と兄は船に乗って閩江口海域に来たが、突然猛
烈な暴風雨に出合い、船は毀れ、人は溺れた。媽祖は躊躇うことなく海に飛び込み父と兄
を救出したが、大波逆巻き彼女は不幸にも亡くなってしまい、その聖体は漂流し、馬祖の
澳口に漂着した。村民は媽祖を現在の天后宮の霊穴(お墓)に手厚く葬ったという。

 伝えられるところによれば、人々は海に入り魚を獲るが、暴風雨になる前夜、あるいは
船が進路を見失ったとき、岸辺に突然火球が出現し、危険を避けて引き返すように漁船を
導くという。この紅の火の玉は媽祖の霊穴から出現するというので、住民はこれを「媽祖
火」または「媽祖燈」と言う。

 これで媽祖と馬祖が結び付きましたが、なぜ島の名前が「媽祖」でなく「馬祖」なの
か。これは「重男軽女」(男尊女卑)思想の結果とか、地名に「女偏」が付くのはいけな
いということで、「馬祖」になったと聞きました。

◆今回のツアー行程

 今回のツアーの行程を簡単に紹介します。

 初日10月24日(木)夕方、台北松山空港から小さな飛行機(ボンバルディア社製約60人
乗り)に乗って馬祖列島の南竿島へ、飛行機は風が強いのかかなり揺れ、少々ひやひやし
ましたが、無事到着。

 早速「八八坑道」(もともとは戦車を格納するための坑道であったが、現在は老酒の酒
蔵として利用されている)を見学、老酒の良い香りの歓迎を受け、幸先良いスタートを切
りました。

 福澳港に移り、今度は小さな船で北竿(ほくかん)島へ、海はかなり荒れて、猛スピー
ドで飛ばす船は上下に跳ねるようで、スリル満点でした。西の彼方に夕日が沈む景色をゆ
れる船べりにしがみつきながらの鑑賞。北竿島に上陸後、車で夕食をとる龍和餐庁へ、途
中「坂里大宅」に立ち寄り、馬祖特有の石造りの建物を見学。夕食時、自己紹介をし、わ
れら一同初めて本当の仲間となりました。宿泊は「地中海民宿」という洒落た名前の石造
りの民宿でした。

 2日目10月25日(金)、朝食前に村の守護神「蛙」の置物などを見物、石造りの集落を、
各所に掲げられる反共スローガンを横目に散策、朝食後「戦争平和紀念公園」を見学、再
び船で南竿島に戻りました。

 昼食は九榕閣餐庁で、馬祖国家風景区管理処の皆さんとともに郷土料理をいただきまし
た。午後は「北海坑道」(戦時、哨戒艇基地として花崗岩の壁を人力で削って作った水
道)などの軍事施設を見学しました。四維村で夕陽を鑑賞した後、夕食は依?的店で自家
製の素晴らしく美味しい老酒を呑みながら楽しみました。その後、夫人珈琲でひと時を過
ごしました。

 最終日10月26日(土)は朝食に大変美味しいという扁食(ワンタン)を頂き、介寿村付
近を散策、お土産屋を覗いた後、連江県政府を訪ね、県長(県知事)を表敬訪問しました。

 昼食後いよいよ最大のお目当て、「媽祖巨神像」を見学に行きました。圧倒されるよう
な媽祖様の像を後に南竿空港から空路台北の松山空港に戻り、解散しました。

◆馬祖列島は別世界

 初めて訪ねた馬祖列島(その中の2島のみであるが)を一言で表現するなら、「別世界」
という言葉がぴったりではなかろうか。

 いくつかの見聞からそのように感じましたが、まず行政区分では台湾の西北端に位置す
るが、ここでは台湾語は全く通ぜず、もともと「閩東語」を話すそうであるが、若者は当
然であるが、お年寄りも北京語を流暢に話す。1949年(中華民国軍が台湾に逃げ込む)以
来、金門、烏坵(うきゅう)とともに馬祖は国共内戦の最前線となり、中華民国軍兵士が
大量に常駐し、北京語が日常使われるようになり、島民は北京語を使用しなければ生活が
成り立たず、北京語を話すようになったと言います。

 台湾の建物は煉瓦造りが多いが、ここには煉瓦は製造されず、ほとんどの建物は花崗岩
の石造りである。小さな島であるが、地形は凹凸が多く、坂道と階段だらけである。車で
移動する分には構わないが、車を降りてから目的の場所に行くのは大変である。本文の冒
頭に「自分の歳を忘れて云々」と書いたのは、この坂道や階段の存在を知っていれば……
の思いからである。

 聞くところによると、当地では酒の製造に関して当局は黙認しているそうで、各餐庁が
それぞれの味がする老酒を作り、ふるまってくれる。北竿島の地中海民宿の老酒、南竿島
の依?的店の老酒を試したが、まったく味が異なり、それぞれ特徴があり、大変おいしか
った。お酒の製造が黙認されているなんて、呑兵衛にとってはまさに天国。

 馬祖列島は獣は少ないそうだが、鳥や魚、植物は種類が多く、中には日本との交流をう
かがわせるものもあるという。特筆すべきは絶滅危惧?A類にリストされている「ヒガシ
シナアジサシ(?嘴瑞鳳頭燕鷗)」という海鳥が馬祖列島に生息していることが確認され
たことです。渡り鳥が南北に移動するとき、馬祖列島はその中間に位置しているので、こ
こでは多くの鳥が観測され、バードウオッチングのメッカとなっています。

 馬祖列島の人口は12,000人と聞きましたが、それは戸籍上の話で、実際にそこに居住し
ているかどうかははっきりしないそうです。馬祖にはこれと言った産業も無いので、過疎
が進み、学校を出た若者の多くは台湾本島、台北に行ってしまう。選挙の時には戸籍のあ
るところで投票するので、その時だけ故郷に戻って来るとのことである。

 また、馬祖列島には軍隊が駐留しているので、場所によっては民間人より軍人の方が多
いこともあるという。県長に軍人は何人くらいいるかとお聞きしたら、それは「秘密」と
かわされてしまった。

◆おわりに

 媽祖は台湾人にとっても馴染みが少ないところだそうである。地理的にも台湾本島より
も中国大陸に近く、交通手段も限られ、要するに、馬祖は行きにくい場所、その理由は春
(3〜5月)は霧が出る、夏は気温が30度以上、秋は台風、冬は風が強く、船もよく欠航に
なる。飛行機は飛ばない可能性が高く、馬祖ツアーは業者もほとんど企画しない。

 今回の馬祖の旅は幸いにも天候に恵まれ、素晴らしい体験の連続でした。「台湾の達
人」片倉佳史さんの同行解説によって、多くの知見が得られました。県長さんは我々が帰
るときにたくさんのお土産をくださいました。だからいう訳ではありませんが、皆さん、
機会がありましたら、是非とも馬祖列島を訪問してください。

 次の「台湾通信」では媽祖信仰について書きたいと思います。


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