許文龍氏の奇美博物館が「台湾砂糖の父」新渡戸稲造の胸像を製作

奇美実業を創業した許文龍氏は、台湾では誰もが認める成功した経営者としてよく知ら
れている。許氏は私財を投じ、奇美博物館や最先端の医療設備を整えた奇美医院も創設し
ており、昨年暮、回顧録『零と無限大─許文龍幸福』(邦訳は未刊)が発売された。長ら
く書籍ランキングに名を連ね、後世に残すべきものは金や家ではなく、良質な芸術や文化
だという考えが支持されているという。

 日本でもよく知られているように、許文龍氏は1990年代から「戦後生まれの台湾人と日
本人に正しい歴史を知って欲しい」と願い、台湾のために貢献した日本人の功績を顕彰し
て胸像を製作してきた。その胸像は6体にものぼる。

 後藤新平(ごとう・しんぺい)、八田與一(はった・よいち)、浜野弥四郎(はまの・
よしろう)、羽鳥又男(はとり・またお)、新井耕吉郎(あらい・こうきちろう)、鳥居
信平(とりい・のぶへい)。

 許氏は、台湾人では李登輝元総統と「台湾の三島由紀夫」と言われる鄭南榕の胸像も自
ら製作したという。その他にも、台湾電力の発展に力を尽くした松木幹一郎(まつき・か
んいちろう)の胸像製作も支援している。

 本誌では、これらの胸像が製作されたり、日本に寄贈されたことが明らかになるたびお
伝えしてきたが、このたび、奇美博物館は岩手県の新渡戸基金・岩手台湾懇話会の依頼に
応じ、台湾の糖業に多大な功績を残した新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)の胸像を製作し
たという。このことを7月1日付の台湾紙「自由時報」が伝えているのでご紹介したい(翻
訳は本誌編集部)。

 これで許氏が携わった日本人の胸像は8体となった。新渡戸の胸像は来年8月、長らく糖
業が一大産業として栄えた花蓮県の花蓮糖場に送られ、そこで永久保存されるという。


砂糖の父 新渡戸稻造の銅像
【自由時報:2011年7月1日】
http://n.yam.com/tlt/society/201107/20110701758931.html

 日本統治時代に、台湾に貢献した日本人の中で一番有名なのは八田與一である。しか
し、1901年に台湾総督府の技師に任命され、「糖業改良意見書」を提出した新渡戸稲造
は、八田に劣らず、「台湾砂糖の父」と称された。

 新渡戸の故郷で、岩手県の新渡戸基金・岩手台湾懇話会は、台湾の奇美博物館に依頼し
て新渡戸の胸像を製作した。昨日、台湾支部長の加川貢市氏が代表となり、その胸像を花
蓮県に贈呈した。花蓮県文化局の姜家珍秘書は「来年8月に花蓮糖場に転送し、糖場に永久
保存する」と述べた。

 新渡戸基金・岩手台湾懇話会の台湾支部長・加川貢市氏は、「初期の台湾製糖は非上場
企業が多かった。産量は少なかったし、品質も低かった。新渡戸稲造は台湾糖務局長の任
期内に、台湾製糖産業の工業化や資本化など、11件の改良事業に協力した。彼の任期は5年
もなかったが、台湾糖業を大きく変革した。その貢献は実に八田與一に劣らなかった」と
指摘している。

 加川氏はまた「新渡戸稲造は岩手県出身なので、今回、岩手台湾懇話会は奇美博物館に
依頼して新渡戸稲造の胸像を3体作った。一つは奇美博物館に所蔵し、一つは嘉義県に、
もう一つは当時糖業として有名であった花蓮に贈呈した」と話した。加川氏は、来年8月に
花蓮糖場で正式な寄贈式典を開き、李登輝元総統や、奇美実業創設者の許文龍氏などを招
待したいとも述べた。

 新渡戸稲造が、1901年に台湾総督府の殖産局長の任期内に提出した「糖業改良意見書」
には、サトウキビの品種改良や栽培方法と灌漑改良、サトウキビ作奨励などが盛り込まれ
ていた。意見書提出された後に、台湾総督府の台湾糖業政策に影響を与えた。翌年、新渡
戸稲造も糖務局に転任し、糖業奨励法令などを頒布し、台湾糖業の基礎を確立した。



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