許世楷大使を招いた愛知李登輝友の会の秋季講演会は大成功

日本李登輝友の会愛知県支部事務局

 一昨日(11月10日)の秋季講演会では、幹事の皆様のご協力により大成功のうちに終
了することができました。心より感謝申し上げます。
 心配された動員も、予想をはるかに上回る120名の来場者があり補助椅子を出しても足
らないほどでした。特に、重冨支部長のお声がけにより50名を集めていただいたことは、
ありがたい限りでした。
 許世楷代表の講演は、日台関係の現状と展望と台湾の国連加盟申請などについて懇切
丁寧にお話しされ、その後参加者からの質問にも真摯にお答えいただき一同感銘を深く
した次第です。

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〜以下講演要旨〜

 2005年は日台にとって重要なことが2つありました。

 1つは2月の2プラス2で、台湾海峡の安定に際して、日本とアメリカが乗り出すこ
とが決まったこと。2つめは、8月に台湾の短期ビザが免除になり、日台の交流が促進
されたことです。

 国際関係には平等互恵という考え方がありますが、台湾が日本にビザ免除をしてから
遅れること12年、台湾へのビザを免除してくれたことを嬉しく思いました。これにより、
2006年には、台湾から日本へ135万、日本から台湾へ120万の人が行き来しましたし、台
湾にある「遠見」という雑誌のアンケートで、20項目のうち、「留学したい国」以外で
は、日本がすべて1位になったように、台湾と日本の関係が密になりました(ちなみに
留学したい国はアメリカが1位だそうです)。

 2007年9月には、運転免許が相互承認になり、従来より可能であったドイツ・フラン
ス・スイスに続き、台湾は4番目に承認されました。

 また、台湾では、台北から高雄までの新幹線も開通し、1時間半で往来出来るように
なりました。これにより、台湾各地への観光がより一層便利になり、観光客向けの施設
も建設されています。また、日本各地にも、たくさんの台湾人が来ています。

 今年は台日文化交流年と位置づけて、台湾と日本の文化交流をさらに深めていこうと、
台湾の伝統芸能である”指人形”を日本で披露したりしておりましたが、来年は台日地
方文化交流年にしたいと思います。そして、お互いに密接に仲良くなって行きたいと思
います。

 台湾では、李登輝氏に代表されるような日本語が出来る世代がこれからどんどん減っ
ていくので、「これから日台関係はどうなるのだろう?」という心配がありますが、私
はこれに対して、「40代以下」「女性」の対話を進めたいと思います。

 また、李登輝氏世代は「観念的理解」が主だったと思いますが、若い世代はインター
ネットを通じて情報を取り入れ、日本にピョイと来て帰る、「体験的理解」が出来てい
るので、それほど心配することはないと思っています。

 さて、台湾の話に戻ります。

 1971年に国連から追い出されてから、台湾名義での国連加盟に努力してきました。今
年は失敗しましたが、来年も加盟申請はやります。国際社会へのアピールにもなるから
です。

 来年、台湾では総統選挙がありますが、その際に国連加盟への国民投票をしようとい
う国民運動を行っており盛り上がっています。

 しかし、これに関しては、アメリカは反対の立場を取って居ます。中国を刺激するか
ら、という理由です。日本は、国民投票に関しては、台湾の国内問題だから反対しない
という立場です。3月の光華寮事件の際、日本の長島議員(民主党)が当時の麻生大臣
にこれについて質しましたが、その際の回答も「中国の言い分を理解し尊重するだけで
承認しているわけではない」と言っています。

 日本は、日本の立場で、主導権を取り、「言い分を理解し尊重」すればよいと思いま
す。そして、ここからは提言です。

 日本の安全を考えた時、台湾が独立していた方がいいのか、台湾が中国に併合された
方がいいのか、どちらが日本の国益になりますか?

 台湾は日本と同じように、「自由」「民主」「人権」という共通概念を持った国です。
例えば、台湾では汚職による陳水扁政権の退陣を要求するデモが3ヶ月にわたってあり、
何百万人のデモ参加者がいましたが、死者・重症者はただの1人も出ていません。パキ
スタン・ミャンマーでのデモと比べてみればわかるように、軍事クーデターもなく、大
きな怪我人も出ない、これは台湾の民主化が如何に成熟しているかという証です。台湾
の議会で乱闘騒ぎになるのがたまにTVで報道されますが、日本でもあることだし、民
主国家なら起きて当たり前のことです。

 中国ではどうですか? 2000人が一致して整然と賛成、反対、あれこそがおかしいの
です。

 また、日本の側には対象的な2つの国があります。1つは非常に親日であり、同じ民
主国家である台湾、もう1つは北朝鮮です。北朝鮮は、拉致をしたり、核を開発したり、
反日でもあるし、国交がないのに日本は国として認めていますし、機会があれば国交を
結ぼうとしている動きがあります。なのに、何故、台湾と国交を結ぼうとしないのでし
ょう? それは、中国がそうしないように圧力をかけているからです。

 私たちはいじめを見つけたとき、「黙って見ているな、加担するな、席を立って質せ」
といいます。中国がこぶしを振り上げているのに、日本が立って反対しないなら、いじ
めを消すことは出来ません。

 日本もWHO、国連に台湾が加入するのに賛成すべきです。

 WHOに関して言えば、SARSや鳥インフルエンザなどでも、中国は情報を隠して
来たことを忘れてはなりません。台湾がWHOに加盟をするということは、日台の交流
も加速している今、日本のためにもなるということです。

 1つ、興味深い調査をお教えします。日本の中央調査社という内閣府所管の社団法人
が行ったアンケートです。

1、台湾に行ったことがある 16%
2、台湾の国連加盟に賛成か 74% 
3、台湾が国民投票で国連加盟申請を測ることに賛成か 81% 
4、中国が反対しても賛成するか 63・5%

 4番目の「中国が反対しても」になるとさすがに賛成が減りますが、それでも63・5%
の国民が台湾の国連加盟に賛成しているのがわかります。日本が民主政治であるなら、
これを以っても賛成すべきなのがわかるでしょう。

〜以下質疑応答〜

Q1:台湾総統選挙について。

A1:まず、台湾は総統制で、日本は議員内閣制であるという政治形態の違いを考慮す
 る必要があります。総統には総統の権利があり、立法院の稟議がいらないこともあり
 ます。1月の選挙はもともと民進党に不利に出来ています。行政単位に1議席が認め
 られていますが、原住民・軍港・地方利害のある所などは国民党が有利で、総統も113
 議席のうち50席を目標と言っている程です。しかし、台湾では、行政権と立法の権力
 が密接していません。また、1月の選挙次第では、5月に影響が出ると思います。2・
 28もあります。台湾の国民では、「現状維持」が85%です。1月の選挙で、どちらか
 が圧倒的になれば、危機感を覚えた国民が「考える」こともあるでしょう。この「現
 状維持」という国民の希望には「どういう意味での現状維持か」には違いはあっても、
 票を得る以上、馬英九も考慮せざるを得ないでしょう。

Q2:日本の福田内閣誕生について

A2:福田総理は「中国寄り」などと言われていますが、実はそれ程心配していません。
 何故なら、議員でも底辺をうろついている人は別ですが、きちっとしたリーダーにな
 る人というのは、基本的に日本の国益を大切にする人だと思います。多少のスタイル
 はあるでしょうが、大きく日本の国益を損なうような人はそういう地位にはなれない
 ものです。台湾は、日本にとってシーレーン防衛上重要であるというだけではありま
 せん。中国の中華思想とは「覇権主義」です。中国の固有の領土の考え方を知ってい
 ますか? 「力が続く限り」という考え方です。万里の長城も、あれは国境のはずで
 したが、その後力の続く限りと領土を広げました。その中国が、台湾を取ったらそこ
 で満足して終わると思いますか? 次は尖閣、そして沖縄、そして日本本土へと欲を
 出して来るでしょう。 台湾にとって国連加盟とは、現状を変えることではありませ
 ん。我々でも「この土地は俺の物だ」と主張するだけでは、何かあった時に対抗出来
 ないから登記するのと同じように、現状・地位を確認することなのです。ガキ大将が
 「俺の物だ」と言った時の対応を考えることが必要なのだと思います。そしてまた、
 国連に加盟することは、国際社会に認められることでもあります。北朝鮮が朝鮮戦争
 の後、国連に加盟していなかったら、日本は果たして国として認めたでしょうか?国
 交を結ぼうとする動きも出てこなかったと思います。

Q3:台湾も尖閣諸島の領有を主張しているが、これに関しては中国と同調するのか?

A3:これについては、台湾の外交部は明確に3つ提示しています。1つは「尖閣諸島
 は台湾の領土である」ということ。2つめは「これに関して中国と共同して行動はし
 ない」ということ。3つめは「あくまでも話し合いで解決する」ということです。1
 つめについては、古来人が住んでいない場所というのは、線引きが曖昧であったもの
 ですし、実際現地付近の島では、自由に人々が往来している現状がある。日本でも「
 入会地(いりあいち)」という考え方がありますが、それと同じことです。しかし、明
 確に中国との協調はしませんし、あくまでも話し合いでの解決を求めることに変わり
 はありません。また、日本と台湾の関係は、それだけにあるものでもなく、我々は他
 のたくさんの要素を大切に、お互いの関係を密にしていけたらと考えています。

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 その後の懇親会も和やかに進み、台湾留学生10名もゲスト参加。席上花を添えていた
だきました。会場内のあちこちでは、留学生と日本の青年の交流があり嬉しい限りでし
た。皆様のご協力に重ねて感謝申し上げます。

■お知らせ
1、渡辺裕一幹事が、愛知県支部のHPを独立させて下さいました。
  http://www.ritouki-aichi.com/
  是非、ご覧下さい。
  尚、ブログのコーナーもあります。執筆者を幹事から募集します!

2、第8回幹事会は12月4日(火)午後6時です。
  会場は追ってお知らせしますが、会議終了後、忘年会といたします。

—-日台友好へあなたの力を!—
■日本李登輝友の会愛知県支部(略称:愛知李登輝友の会)
 事務局 〒464-0836 名古屋市千種区菊坂町3-5-302(日本会議内)
 TEL&FAX:052−763−4588
 E-mail:aichi.ritouki@gmail.com



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