蔡焜燦、黄昭堂、羅福全、許世楷の各氏から寄せられた黄文雄氏出版記念会への祝辞

9月5日に開かれた「黄文雄さん『哲人政治家 李登輝の原点』出版記念会」の模様につき
ましては、一昨日(9月7日)の本誌でお伝えしました。本会ホームページに、会場の熱気
が伝わってくるような当日の写真とともにそのレポートを掲載しています。

 この出版記念会には蔡焜燦・李登輝民主協会理事長、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席、
羅福全・元台湾駐日代表、許世楷・前台湾駐日代表から、それぞれに思いがこもった心温
まる祝辞も届き、会場をうならせました。

 ここに、会場で紹介された順に4氏の祝辞をご紹介します。見出しの題は、読みやすいよ
うにと編集部で付したことをお断りします。


● 蔡 焜 燦(李登輝民主協会理事長)─ どこまで深く調べたのだろう

 『哲人政治家 李登輝の原点』のご出版を心からお祝い申し上げます。

 本書が出版され、すぐ日本李登輝友の会から送っていただきましたので読ませていただ
きました。読んでいますと、不思議な感じにとらわれました。これは李登輝先生が書かれ
たのだろうか、それとも黄文雄さんが書かれたのだろうかと、分からなくなってしまった
のです。

 私は李登輝先生と年が近く、お付き合いも古い方だと思います。ですから、そのお考え
はほぼ理解できるつもりでいたのですが、黄文雄さんはどこまで深く調べたのだろうと空
恐ろしくなりました。

 私は、この本は李登輝先生を深く知り、台湾をより深く知る上で欠かせないと思い、日
本から取り寄せ、台湾の日本語族や日本の駐在員たちにせっせと配って読んでいただいて
います。

 黄文雄さん、いい本を出されました。心から「ありがとう」と申し上げます。


● 黄 昭 堂(台湾独立建国聯盟主席)─ 日本の政治家の道しるべに

 著者黄文雄君は半世紀来の友人である。多産系の学者で、かれの著作を積み重ねると、
身長の倍をゆうに超すだろう。

 黄君は日本文と漢文の両方をこなし、いずれ劣らない筆力を持つ。清朝時代の科挙で挙
人か秀才に合格したおじいさんに幼少時から四書五経などを叩き込まれているので、漢学
の造詣も極めて深い。しかし天は二物を与えずというか、幼少時からのどもりは半世紀以
上の努力にもかかわらず、成果は大きくないようだ。実は、私自身もどもりの克服に苦労
したので、かれに格別の親近感をいだいている。

 あれだけの著作を持ちながら、こんどが初めての出版記念会とは実に驚きである。それ
だけ本書『哲人政治家 李登輝の原点』に対する思い入れが深いからであろう。

 本書を通読すればわかるように、李登輝分析が徹底的になされている。「抜擢された」
とはいえ、被支配者で、しかも非国民党員が五十にして権力圏内に入り、身を全うしたば
かりか、権力の頂上に登りつめ、かつ、台湾民主化の基礎を築いた人物、その内面はどう
なっているのだろうか。本書は伝記ではなく、ひとりの人間の徹底した内部分析である。
オーバーホールの結果、そこに浮かび上がったのはひとりの『哲人政治家』の姿であった。

 長時間のインタビューをしたとはいえ、著者黄文雄君の深い洞察力と鋭い分析力に敬意
を表したい。また、本書が広く読まれ、青少年はおろか、日本の政治を動かしている政治
家たちの道しるべになることを期待している。


● 羅 福 全(元台湾駐日代表)─ もしこの本が十年前に欧米に紹介されていれば

 黄文雄さん『哲人政治家 李登輝の原点』出版記念会に際し、台北より一言お祝い申し
上げます。

 哲人であると共に稀世の政治家である李登輝総統は、一党独裁の台湾を銃弾一発なくし
て民主国家に導き、政権の平和交替という偉業を成し遂げました。しかし、この偉業が世
界の政治家の間で過少評価されているのは、私にとって残念と言わざるを得ません。

 黄文雄さんはこの偉業を成し遂げた政治家李登輝の哲学的信念とその心の軌跡を本書で
徹底的に解明し、その人間像を紹介されたことに、私はただただ感服するところでありま
す。もしこの本が十年前に欧米に紹介されていれば、当時の李登輝総統はノーベル平和賞
に輝いたのではないかと、私は思いを巡らせている次第であります。 

 黄文雄さんは日本で百冊を超える著作を出されました。一台湾出身の作家が日本を舞台
に、文化、人物、政治、歴史、風俗、風土と多岐にわたりかつ多彩な作品をもって、三十
年に亘って日本出版界を風靡されてきた偉業に頭が下がる思いであります。

 この出版記念会に際し、改めて「ありがとう」と一言祝辞を述べさせていただきます。


● 許 世 楷(前台湾駐日代表)─ あなたの著述の狙いがあたった

 黄文雄さん、振り返って見れば長いお付き合いですね。この間、単なる友人としてだけ
でなく、台湾独立運動の同志であったし、台湾独立建国連盟の盟友でもあったわけです。

 一九六〇年代から一九九二年までの独立運動のための帰国禁止期間は、会議やその他で、
ほとんど毎週顔を合わせていましたが、わたしが帰国後は東京・台中と海を隔てて住むよ
うになり、あなたが頻繁に帰国していたとはいえ、年に数回お会いするだけでした。しか
し二〇〇四年から二〇〇八年、わたしの東京赴任中はいろいろとお世話になりました。

 この長い期間に、あなたは中国人の人肉嗜食史から始めて、中国評論家、さらには日本・
台湾・朝鮮など諸国に評論の手を広げ、またそれら諸国間関係についても論述し、諸著作
は重ねるとあなた一人の身長だけでなく、何人分にもなり、日本における評論家としての
名声を博しました。敬服の至りです。

 このたびは『哲人政治家 李登輝の原点』を著し、李先生の「目に見えない心の世界」
を強調されました。李先生ご自身が「この本で私の頭の中が裸にされてしまったようで、
いささか面映い」と述べているのは、あなたの著述の狙いがあたったことを意味していま
す。

 わたしも李先生を大変尊敬している一人ですので、あなたが李先生の思想を広めるこの
たびのお仕事を完成させたのは、喜びの至りです。

 黄文雄さんおめでとうございます。



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