総選挙で日台関係はどう変わるか  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」第203号 :2017年10月3日号】http://www.mag2.com/m/0001617134.html

*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。

◆民進党のリベラル派排除で違いが明確に

 民進党の前原代表が希望の党に「身売り」したにもかかわらず、小池百合子代表は民主党内のリベラル派を排除するとしたことから、枝野氏がリベラルの受け皿となる「立憲民主党」を立ち上げ、民進党は大分裂してしまいました。

 もともと保守系とリベラルが混在していて意見の統一ができず、民主党時代には党の綱領さえつくれなかったのですから、有権者からすると、今回の分裂で違いが明確になったと思います。

 台湾でも日本の民進党分裂の話は大きく報じられており、140億円の資金を誰が受け継ぐのかということが話題になっています。

 また、昨年のメルマガでも書きましたが、小池百合子氏は台湾との関係も深いために、彼女のことがよく報じられています。小池氏は李登輝氏を「トウちゃん」と呼ぶほどの親交があり、何度も訪台しています。

 ですから、台湾のメディアも、「小池氏の最終目標は日本の首相になることだ」といったことを、日本のメディアでの報道を引用しながら報じています。

 ちなみに、韓国では小池氏は安倍首相と同様に「極右」として知られており、とくに、関東大震災記念日に「朝鮮人犠牲者」の追悼文を毎年東京都知事が送付しているにもかかわらず、今年は小池都知事が追悼文を出さなかったということで、韓国内での批判が高まっていました。

 しかも、希望の党が公認候補に署名を求めている「政策協定書」には、安保法制賛成、憲法改正支持に加え、外国人への地方参政権付与反対も盛り込まれていますから、参政権を求めてきた在日韓国人にとっても、小池氏は「極右」でしょう。

 それはともかく、この政策協定書に、民進党の多くの前議員がこぞってサインしようというのですから、驚きです。前職81人のうち、7割を超える61人が申請する意向を示していたというのですから、民進党の衆議院議員の7割は安保法制にも憲法改正にも賛成だったということになります。いったい、これまでの国会での膨大な時間を使った反対・抗議活動は何だったのでしょうか。

 以前、ある民主党系の議員が、「我々が政権を取ったら、一週間以内に崩壊してバラバラになる」と言っていたことを耳にしたことがあります。しかしやがて政権を取ると、3年近くも続き、戦後史に多くのマイナス遺産を残しました。

◆小池都知事のアイディアは台湾に触発?

 私はかつてのメルマガでも、「小池氏はなかなかのアイデアウーマン」だと評しました。彼女は以前、紛争が続く中近東に対して、メッカからエルサレムまで「人間の鎖」を作ることを提唱しましたが、それは2004年に李登輝氏の呼びかけで行われた、「100万人の人間の鎖」運動(1947年に起きた2・28事件を忘れずに、台湾を守ろうという決意を示すためのアクション)に触発されたのではないかと思っていたからです。

 都民ファーストの会の元となった「希望の塾」にしても、李登輝基金会が設立した「李登輝学校」をならったものだという見方もあります。

 ただ、今回は民進党議員の受け入れというのは、驚きではありましたが、保守派にとっては「あの民進党議員を受け入れるのか」という反発を招いてしまったのではないかと思います。

 一方でリベラルを明確に排除したために、中道左派の支持も薄くなってしまったように思います。

 小池氏は「政権選択選挙」だと主張しますが、希望の党代表としての本人は、衆院選に出馬しないと明言しています。もし政権政党になっても、誰が首相になるのか、有権者にはわかりません。民進党代表の前原氏なのか、希望の党設立メンバーの細野豪志氏なのか、はたまた若狭勝氏なのか。

 小池氏や若狭氏は「選挙後に決める」と主張していますが、政権選択選挙というならば、誰を首班指名するのかを明らかにしないと、国民は選びようがないでしょう。とはいえ、出馬すれば、都

 知事になってまだ1年ほどで、豊洲問題も解決していないため、「投げ出した」と批判されることは明らかです。

 なかなか難しい立場となっている小池氏ですが、前述したように、民進党のリベラル派を排除し、各議員の立ち位置を明確にしたことは功績だと思います。ただし、希望の党入りした民進党議員が選挙後に裏切る懸念もあります。

◆改憲勢力3分の2確保のための「希望の党」設立だったのか

 2011年に訪台した際に講演した小池氏は、当時の民主党政権を「媚中だ」と批判したことがありましたが、その民進党の議員の多くを受け入れたということになると、今後の対中政策もやや心配です。

 台湾の新行政委員長(首相)の頼清徳(元台南市長)は、「台湾は独立国家」と公言しています。日本はこれにどう反応すべきか。その決断力、対応力が問われています。もしも台湾が中国に奪われれば、日本の生命線が消えてしまうことになります。

 ポスト安倍がさかんに議論されていますが、私は、安倍首相の後任問題は難しく、時代感覚、外交努力、政治主張などから見て、安倍氏に代わる者はいないと思っています。

 保守派の理想としては、自民党が過半数を獲得、希望の党は第2党となって、改憲の条件が整うことでしょう。

 モリカケ問題の影響もあって、自公政権が議席を減らすことは明らかでした。改憲勢力が3分の2を確保するための、希望の党設立だったとも思えるのです。

 とはいえ、イギリスのように成文憲法のない国でも、数百年にわたって問題がなかったのですから、憲法は火急の問題ではありません。むしろ国防予算を増強することです。最低で10兆円ないと、普通の国家になれません。

 これからの小池氏がどのような仕掛けを打ち出してくるか。選挙の結果が、日台関係にも大きく関わってきますから、目が離せません。


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