渡部昇一氏が「正論」4月号で『広辞苑』のデタラメ記述を剔抉

台湾の記述についても「許し難い」とその嘘を批判

 現在発売中の「正論」4月号で、渡部昇一氏(上智大学名誉教授)が、今年1月、10年
ぶりに改訂されて出版された『広辞苑』第6版(岩波書店)のデタラメ記述を剔抉(て
っけつ)している。

 その初版から約200年間のブリタニカ百科事典(Encyclopedia Britannica)のすべてを
持っているという渡部氏は、「日本人の事典」という視点から『広辞苑』の記述のデタ
ラメぶりを批判している。

 冒頭で「上海事件」を取り上げ、『広辞苑』が「上海で生じた日中両軍の戦闘。一九
三七年八月一三日に始まり、日中戦争の全面化に連なる。」と記述しているのに対し、
「日本の『事典』であるならば、あえてちゃんと『上海で、シナ軍が日本軍に仕掛けた
本格的な戦闘』と書くべきであろう」と述べ、アメリカでベストセラーになったトレヴ
ェニアン著の『シブミ』やユン・チアン著『マオ』の記述を引用して、上海事変はシナ
軍が先に仕掛けた戦闘であることを明かしている。

 続いて「従軍慰安婦」「太平洋戦争」「大東亜会議」「朝鮮人強制連行」「南京大虐
殺」「盧溝橋事件」などを取り上げ、完膚なきまでその「いんちき」記述を破砕してい
る。

 また、この第6版には「拉致事件」の項がないことを指摘し、「五版から十年間で、
日本人にとって最も記憶に刻むべき事件であった、日本人拉致事件が盛り込まれていな
いのは、何ということか。まさに許しがたい」と怒りは頂点に達する。

 同時に、中国の地図に関して、台湾が「台湾省」にされていることについても、「け
しからん話だ」と批判し、それよりも「もっと許し難いのは【台湾】の項の記述であ
る」と、学研の地球儀問題を引き合いに「広辞苑は記述の方も間違いだらけだ」と剔抉
しているのである。

 渡部氏は台湾の戦後史を簡潔に述べつつ「『中国に復帰した』という広辞苑の記述
は嘘だ」と喝破している。

 本誌でも『広辞苑』が第5版以降、「日中共同声明」について「日本は中華人民共和
国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに帰属することを承認し」という嘘記述の訂正
を求めている(2月21日:第706号、2月23日:第708号)。

 岩波書店では、次に紹介するように本会の冨澤賢公・事務局次長からの指摘に対して
「日中共同声明」の記述の誤りを認め、「次の刷で訂正する」と言っているが、これは
第2刷がいつなのかを明らかにしていない、まさに言い逃れにすぎない詭弁である。

 本会としても、岩波書店に訂正させるべく徹底的に追及していく。

                    (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)



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