李登輝元総統が台湾100年史『百年の風華』に八田與一について寄稿

9月下旬、台湾の行政院新聞局が中華民国建国百年を祝うため『百年の風華(繁栄)』と
いう歴史書を10月4日に出版、その執筆陣の一人に李登輝元総統の名前を上げていたのを奇
異に思いつつ、ニュースを読んだ。ニュースでは、李元総統が何をテーマに執筆したのか
までは伝えていなかった。

 この本は、報道されているところでは、故宮博物院の移動から、現行の台湾元への通貨
の移行、また、台湾の水利事業で大きな貢献をした日本人技師、八田與一氏と彼の作った
烏頭山ダム。また、建国の父、孫文・博士を記念する国父記念館がどのように建てられた
か。世界を魅了するパールミルクティー、老舗の三つの地上波テレビ局、台湾のグルメ、
流行音楽、学生の髪型の規制解除などだという。10のコーナーに170編の文章を収め、専門
家112名に執筆してもらったという。

 しかし、台湾と中華民国は関係ない。中華民国が樹立されたとき台湾は日本の領土だっ
たし、戦後、マッカーサーの命令で台湾を接収した蒋介石の中国国民党軍が勝手に自分の
領土だと宣言し、その中国国民党軍が毛沢東の共産軍との内戦に敗れて台湾に逃げ込んで
居座っているにすぎない。いわば、マッカーサーがアメリカに帰れずに日本に居座ってい
るようなものだ。中華民国が100年を迎えようが、台湾とはなんら関係ない。

 李元総統は「中華」という言葉が一番嫌いだと何度も公言している。そのために、台湾
の本土化を進め、台湾自身の歴史を知ろうということで『認識台湾』という中学校の歴史
副読本も出したのだった。その李元総統が中華民国建国百年を祝うために出版した『百年
の風華』という本に執筆されたというので、奇異に思ったのだ。

 しかし、李元総統が執筆されたのは、おそらく今の台湾でもっともよく知られ、尊敬さ
れている日本人の八田與一をたたえる内容だと、本日の西日本新聞の記事は伝えている。
馬英九総統さえ、その功績をたたえざるを得ないのが八田與一だ。八田與一はいわば日本
の台湾統治時代を代表する人物の一人であり、シンボルとも言える。

 八田與一を取り上げて寄稿した李元総統の意図が奈辺にあるのか、朧気ながら見えてく
るような気がする。台湾とは関係のない中華民国100年を祝うより、よくよく台湾の歴史を
振り返って足下を固めよ、という強力なアンチテーゼのように思えてくる。

 11月末、本会役員は訪台団を組んで李登輝元総統にお会いする。そのとき、寄稿の意図
を直接うかがってみたい。


台湾100年史に日本人技師 李元総統、記念誌で八田與一氏紹介
【西日本新聞:2011年10月9日】

 【台北・佐伯浩之】親日家で知られる台湾の李登輝元総統(88)が、中華民国建国100年
を記念して台湾当局がまとめた100年史「百年風華」の中で、日本統治時に農業用水を整備
した日本人技師・八田與一(よいち)氏(1886−1942)をたたえる内容を執筆し、注目を
集めている。台湾メディアが伝えた。

 内容は1920年、干ばつ被害に悩む台湾南部・嘉南平野に、八田氏が中心となって建設し
たかんがいダム「烏山頭(うさんとう)ダム」の項目。李元総統は、八田氏の経歴や、当
時アジア最大級とされたダム建設に10年かかった苦労、技師から労働者まで差別なく触れ
合った逸話を披露。「八田氏は、台湾人にとって永遠に忘れることのない友人だ」と結ん
でいる。

 関係者によると、かねて李元総統が、八田氏を通して日本人の実行力の大切さなどを台
湾内外で講演していたことから、台湾当局が李元総統に執筆を依頼したという。

 「百年風華」は台湾の作家や学者が100年間の政治経済、社会事象など170項目にまとめ
た。このうち「アジアの歌姫」として知られ、日本人になじみが深い故テレサ・テンさん
も紹介されている。



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