月刊「正論」11月号で平野久美子さんが馬英九政権の台風被害への対応を徹底批判

ここまでひどかったのか、と唖然としながら読み終えた。ノンフィクション作家の平野
久美子さんが月刊「正論」11月号で、台風8号(モーラコット)襲来による災害で国民の
生命と財産を守れなかった台湾の馬英九総統と政権に携わる大臣らの悪行といってもよい
行状をつぶさにレポートしている。いかに危機管理能力が欠如していたのか、読んでいて
だんだん腹が立ってきて、怒髪天を衝くとはこのことだ。

 本誌でも、台湾の外交部が各国からの救援を断ったことや初動対応の遅れなど、この災
害は天災よりも「人災」の要素が強いと何度も書いてきたが、平野さんは「国民党寄りの
メディアまでが人災を通り越して『政災』だと断じ、政府批判一色になっていた」ことを
記す。

 そこで、「政災」と糾弾される理由、すなわち台風災害が起こっているさ中に、馬英九
や閣僚が何をやっていたかが詳細にレポートされている。

 台風が接近した8月7日、「土石流を心配した南部の県長たちは中央政府の支援を要請す
る。馬総統は結婚披露宴に出席後、三十分遅刻して中央災害応変センターに現れたが、緊
急命令を発動するでもなし」、また、台風が上陸した8月8日は「父親節」(8・8の発音「パ
ーパー」に由来)だったことで、劉兆玄・行政院長(首相)や薛香川・総統府秘書長(官
房長官)は「豪華ホテルで会食していた。そのことを批判されると官房長官は『父親節に
外食してどこが悪い』と居直った」と報告している。もちろん、外交部が11日に救援を断
るよう指示していたことも記している。

 かくて「死者は700人以上、被災者は24,950人、崩壊道路は306ヵ所にのぼる。高雄県を
例にとっただけでも農林漁業の受けた損失額は19億3200万元(約58億円)」にのぼると、
平野さんは憤りとともにレポートしている。内閣が総辞職するのは当然だったとの感想を
抱かざるを得ない。ましてや馬英九総統が総統に「居座り続ける」ことに、「内閣改造く
らいで済ませられるものではないはずだが……」という平野さんの思いを共有する人々は
少なくあるまい。

 小林よしのり氏もそうだったが、平野さんも、この台風災害を1999年の「921大地震」
で発揮された李登輝元総統のリーダーシップと比較している。

 平野さんは8月末に屏東を訪れた。そこで、平野さんが見出して日本に初めて紹介した
鳥居信平(とりい・信平)が造った屏東県の地下ダム二峰[土川]の様子も詳しく紹介し
ている。これほどの災害をもたらした台風でも、「やや水量が減ったものの地下ダムの機
能はまったく問題ない」という。むしろ、80年以上も前の「もとの姿に戻っただけ」とい
う。

 屏東の二峰[土川]を見た後、平野さんはパイワン族のオバサンから鉄鍋でふかしたイ
モをすすめられる。平野さんは「食道の真ん中あたりがきゅんとなった」という。こちら
の「食道の真ん中あたり」もきゅんとなった。

 平野さんはこのレポートの最後に、李登輝元総統が熊本で行った講演の一節「下から突
き上げる民主の力こそ台湾を変える原動力」を引いて「果たして今回の災害が天佑台湾と
なるか」と問いかけている。台湾関係者にはぜひ一読をお勧めしたい。

                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原 正敬)

■月刊「正論」11月号(定価:740円)
 http://www.sankei.co.jp/seiron/


■「撃論ムック」(「NHKの正体」大特集号)
 http://www.ritouki.jp:80/cgi-bin/enquete/form0050.reg
 *定価:1,200円(送料:160円)*代金:後払い

■ NHK「JAPANデビュー」問題:抗議先

・NHK「ジャパン・プロジェクト」の濱崎憲一ディレクター
 TEL:03-3465-1111
・NHK視聴者コールセンター
 TEL:0570-066066 FAX:03-5453-4000
 メール:http://www.nhk.or.jp/special/
・NHKスペシャル「感想・問い合わせ」
 https://www.nhk.or.jp/special/contact/index.html
・放送倫理・番組向上機構(BPO)
 TEL:03-5212−7333 FAX:03−5212−7330
 https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html(ご意見送信フォーム)
・総務省(放送政策課直通)
 TEL:03-5253-5776 FAX:03-5253-5779
 メール:https://www.soumu.go.jp/common/opinions.html


●日本李登輝友の会にご入会を!─NHK問題を解決するためにも

 「日本の生命線」台湾との交流を深める本会活動をご支援いただける方は、ぜひご入会
 をお願いします。下記の「入会お申し込みフォーム」からですと、簡単お手軽にお申し
 込みできます。                   (日本李登輝友の会事務局)

■入会お申し込みフォーム http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0005.reg

■入会案内 http://www.ritouki.jp/guidance.html


日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の
活動情報とともに配信するメールマガジン。日本李登輝友の会の公式メルマガです。
●マガジン名:メルマガ「日台共栄」
●発   行:日本李登輝友の会(小田村四郎会長)
●編集発行人:柚原正敬