日本と台湾の《美濃》が観光・文化交流

共に美濃和紙と美濃傘の特産品で知られる岐阜県(美濃)と高雄県(美濃鎮)

 市町村(自治体)の国際交流はひょんなきっかけから始まる。なにが縁となるかわから
ない。

 日台で姉妹都市交流をしている自治体の例を見ても、台湾出身の医師が町立病院に勤務
していたこと【青森県大間町(おおままち):雲林県虎尾鎮(こびちん)】、村長さんが
台湾に生まれた方だったこと【秋田県上小阿仁村(かみこあにむら)と屏東県萬巒郷(ば
んらんごう)】など、人が仲介するケースがある。

 また、地名などの名前が似ているケースもある。つい最近(11月1日)、姉妹都市提携を
締結した東京都八王子市と台湾の高雄市は、高雄市が日本統治時代「打狗」(takao)と呼
ばれ、その発音が八王子市にある著名な「高尾山」と非常に似ていることがきっかけとな
っている。

 下記に紹介するのは、やはり地名が同じことから交流を始めたケースで、旧称を美濃(
みの)といった岐阜県と、台湾の高雄県美濃鎮(鎮は日本の郡に相当)の例だ。このケー
スは、ともに製紙産業が盛んで、その特産品として同じ「美濃和紙」「美濃傘」があると
いう。友好都市や姉妹都市を提携できるまで、交流を育んで欲しいものである。

 この交流を紹介している「台湾週報」をご紹介したい。下記のアドレスをクリックすれ
ば、「美濃傘」を広げて交流する写真も見られます。            (編集部)

■台湾週報 http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/index.html


南北の美濃、高雄県と岐阜県が観光交流
【11月10日 台湾週報 第45週号】

 岐阜県の観光関係者が11月8日、高雄県庁や同県美濃鎮(町)役場などを訪れ、双方の観
光や文化交流などについて意見交換した。

 訪れたのは、岐阜県観光連盟の国保吉孝課長と、同県スキー連盟の丸山均幹事、世界遺
産に指定されている同県白川郷合掌造りの里・白川村の魅力を再発見し、観光振興に貢献
したとして国土交通省から「観光カリスマ百選」に選ばれた野外博物館合掌造り民家園前
事務局長の中川満氏で、一行はこの日午前、高雄県美濃鎮役場、美濃愛郷協会を訪問し、
午後から高雄県庁を訪れ、盧圓華・観光交通局局長が一行を迎えた。

 岐阜県南部は、現在の美濃市に代表されるように、古く一帯は「美濃」と呼ばれており
、高雄県美濃鎮と地名が同じであるだけでなく、ともに製紙産業が盛んで、それぞれ「美
濃和紙」、「美濃傘」の特産品で知られている。

 今回両県の関係者が交流の機会を持つに至ったのは、今から6年前、中川氏が参加した
国際イベントで、高雄県美濃愛郷協会のメンバーと交流した際、岐阜県にも美濃の呼び名
があることを知り、これが縁となった。

 中川氏は、今回台湾を訪れた印象について「バナナと檳榔(ビンロウ)の木が多く茂り
、山と海に囲まれた美しい自然がとくに心に残った」とコメント。さらに、毎年およそ100
万人の日本人観光客が台湾を訪れるが、その大半は台北に滞在し、高雄を訪れる観光客は
そのうちの16万人で、全体の10%にすぎないことを挙げ、「台湾に来て南部の魅力を知ら
ない日本人が多いことは非常に残念だ。今年7月、高雄―名古屋間に定期便が就航された
ことにより、台湾南部と日本との間に直接航路が開かれたが、今後南部を周遊する観光ツ
アーを企画すれば、双方の観光と往来に大きなプラスとなる」と期待を示した。

 また、丸山氏は「高雄を訪れたとき、まるで故郷に帰ったような感覚だった。岐阜県に
は30カ所以上のスキー場があり、熱帯気候に属する高雄は雪が降らないため、高雄の人び
とにぜひ岐阜県でスキーを楽しんでもらいたい」と述べ、国保課長は「美濃鎮は非常に魅
力的な場所だ。これを機に、双方の観光と文化交流がさらに深まってほしい」と語った。

 これに対し盧圓華局長は、岐阜県の美濃と高雄の美濃、「北と南の美濃」をセットにし
てツアーを組むアイデアを示し、「旅行スタイルは今後ますます生活や文化、地域と融合
したものとなる。高雄県では美濃地区を「ロングステイ」に相応しい地として積極的に開
発を進めており、環境と文化のレベルアップを図り、日本の裕福なシルバー層を対象に、
長期滞在地として相応しい町づくりに努めている」と強調。

 さらに、台湾南部の観光資源を統合するため、高雄県、高雄市、屏東県の3県市が合同
で「旅行戦略連盟」を結成したことを挙げ「日本人観光客が高雄を帰着点として台湾南部
の魅力にもっと触れてほしい」と語った。

 双方の交流では、観光資料や自治体サイトのアドレスなどを交換し、今後も文化、観光
面で交流を深めていくことを確認したほか、一行が美濃鎮役所を訪れた際は羅建徳鎮長(
町長)や町議会議長らの歓迎を受け、美濃の特産で日本にも輸出されているバナナやパパ
イヤを味わった。

 羅鎮長は、美濃の豊かな自然を示すとともに、町の97%が客家人で、その我慢強く勤勉
で純朴な性質ゆえに日本統治時代日本人がこの地にタバコを栽培した際、厳しい農作業に
も耐えることができたこと、その子供たちも勉学に励み、美濃から多くの人材が輩出され
ていることを挙げ、その質実剛健な風土を強調した。


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