日台戸籍シンポ詳報(2)  千葉日台と時々台湾を勉強するブログ

【千葉日台と時々台湾を勉強するブログ:2011年9月11日「シンポジウム報告:台湾出身者
の戸籍を中国から台湾に改正を!!! 」】
http://blogs.yahoo.co.jp/chibanittai/MYBLOG/yblog.html

 日本李登輝友の会主催の「台湾出身者の戸籍を台湾にしよう」日台シンポジウムに参加
してきた。文京区シビックセンターの会議室には60〜70人ほどが集まっていた。

 外国人登録証は正名したが、今度は戸籍。まるでもぐらたたきのように次から次へと出
てくる戦後日本の行政の台湾に対する非人道的な仕打ちの数々。

 教科書、地球儀、住民票、免許証、NHK……相田みつをさんは「トマトはトマト、ト
マトをメロンに見せようとするかに偽物になる」と言う詩を書いたが、日本政府も「台湾
を中国に見せようとするから偽者であり欺瞞」になる。

 それを正すにはまずは国民が認識し、夫々の立場から異を唱えて関係省庁に気づかせる
しかない。役所というのは横着なので「意見がない」となると「納得した」と自分たち独
自の解釈があるらしい。

 さて、会場に到着すると日本李登輝友の会の柚原正敬事務局長が挨拶、これまでの正名
運動の歴史を紹介していた。

【写真:柚原正敬事務局長】

 台湾正名運動の歩みはパンフレットA4の裏表にびっしり……。

【パンフレット「台湾正名運動の歩み」】

 10年にわたる活動記録です。それでも日本政府はトマトをトマトと言わない、一部は言
った(外国人登録証)が……。

 台湾内では実は親中と呼ばれている馬英九総統でさえ、日本政府がトマトはトマトと言
うことを望んでいるという。国民党ファンだから正名しないというのはもはや理屈には合
わない。

 さて、本日の登壇者は順番に7名です。

中津川博郷・衆議院議員
黄文雄・拓殖大学客員教授
梅原克彦・前仙台市長
林建良・メルマガ「台湾の声」編集長
猪鼻嘉行・公認会計士
出町淑貴・青森日台交流の会事務局長
小磯明・東京都議会議員

 トップバッターは中津川博郷氏です。

【写真:中津川博郷氏】

 中津川氏は「民主党」所属の議員です。

 民主党、毎日毎日脱力ネタを届けてくれるお笑い集団のように言われていることは感じ
ているのだろう。「民主党はすべて一くくりに見ないで欲しい」と訴える。

 「どうして中津川さんは民主党に居るのだろうか」と言う声も出たが、これは決して悪
いことではない。民主党は一応は与党であり役所や行政をうごかすことができる。これは
今の自民党にはない強みです。

 中津川氏は「私が与党にいる強みを利用してほしい」と言う。

 確かにその通りで、民主党にも自民党にも台湾に理解を示す議員が居ることで政権交代
をしたとしても台湾に関することは連続性はある。

 そして、中津川氏は民主党内で台湾に関してどっちつかずのような勢力を親台湾にして
いくということを続けている。

 二人目は黄文雄氏、一年間で10冊近い本を出版している。

【写真:黄文雄氏】

 黄氏は台湾人として過去の建国運動からの反省として、中華民国という名前を台湾に変
えない限り台湾は政権を変えても本質的には変わらないと指摘、そして法的に追及して行
く事も大事ではないかと提言した。

 行政の判断で一方的に台湾人の国籍を中国にするのは国際法、憲法、国籍法に違反して
いるとのこと。

 戸籍抄本にうそを記載したら確か何かの罪になるという。

 ただ、国家による(台湾人の戸籍を中国と書く)うそは罪にならないのだろうか。

 三人目は梅原克彦氏、仙台市長の前は経済産業省の官僚であった。

 その在職経験から「局あって省なし」の縦割組織の弊害について具体的に説明された。

 そして何と前例主義が腐敗を通り越して化石化したのであろう、1964年と半世紀前の局
長通達がゾンビのように残っている。その通達を出した局長と言うのは誰か知らないがあ
の世か、或いは生存していても今はもう何もいえないだろう。

 この活動は時間がかかるかも知れないが、決して悲観的ではないとのこと。

 まずは同じ法務局担当での外国人登録証の問題がクリアになっているということが一つ
の「前例」になりうるのである。

 まさに絡まった紐を一つ一つほぐすように地道な活動の成果であり、引き続き民間の活
動に加えて国会議員からもアプローチは必要である。

 四人目は林建良氏、非常に辛口のコメントである。

【写真:林建良氏】

 台湾人の親日感情と言う切り口から語った。

 戦後の反日教育を受けた台湾人の感情の答えが東北地方東日本大震災での台湾からの世
界一の義捐金であると言う。この親日感情の本質・原点は「尊敬……日本人は誠実で信頼
できる……」である。事実台湾では「日本精神」と言うとどちらかと言うといい意味で使
われる。

 しかし、その「まじめで誠実な国民」からどうしてあんな「だらしなくていい加減な政
府」が出来るのかが理解できないそうです。理屈から考えても法的に考えても或いは人情
的に考えても台湾をシナにしたがる理由が良くわからないという。

 確かにそうだろう。台湾をシナの一部にした方が日本の国益に叶うのであれば日本人と
しては賛成するがまずその逆であろう。

 台湾人として日本での外国人参政権も賠償金も要らない、ただ、一つの要求として真実
が欲しいということです。日本は戦後台湾をシナに渡していないという真実。

 今の日本政府の欺瞞は何時までも通用しないのはシナの高速鉄道事故の通り。

 五人目は公認会計士の猪鼻嘉行氏で、ご令室が台湾人の方です。

 外国人登録証の問題の次は戸籍と言うことは考えられたとのことです。

 猪鼻さんが台湾人の妻と9年暮らして感じたことは、表面的には中華圏文化もあるが、メ
ンタリティーは日本人に近いとのこと。亡くなった方にはきちんと哀悼の意を表する。シ
ナでは1000年以上前の将軍の石造に唾や小便をかけ、投石するというので、民族的には全
く別物だろう。

 そもそもこういうことになったのは敗戦によって精神的に受けたダメージから回復して
いないと指摘。

 日本の歴史は古代聖徳太子の頃からいかにあの国と対抗するか、ということに腐心した
といってもいい。

 中国と言う言い方、中国語では「中心の国」と言うらしい。

 中国五千年と言うが、実態は200年ぐらいの国がスクラップアンドビルドされていて政権
や王朝に連続性がない。あるのは「唐」やら「明」やらという王朝の名前で、戦前までは
シナと呼んでいた。戦前のラジオ放送でもそういっていた。

 それが戦後蒋介石が「シナは気に食わん」と言うことで「中国」となったが、たとえば
タイムマシーンが出来たとして孔子に「あんた何人?」と聞けたとしても「中国人です」と
は絶対に言わないだろう。

 現在は「シナは差別語だ」と言う人が居て、過去にブログにそう書き込んだ人が居るが
まさに無知の怖さはこういうことではなかろうか。

 シナが抵抗あるなら「China」と呼んではどうかと。スポーツ大会ではユニフォームにそ
う書いてあるので別に差別でも何でもないし、まだ通じやすいかも知れない。

 ここからが多少ユーモアもあるが、中国とどうしても言う場合は「中心の国」ではなく、
小国でもなく、しかし、大国にはなれない「中途半端な国、それで中国」と言う解釈をし
てもどうかと。

 要は中国五千年と言ううそに騙されず、そして中華と言う名前に対して精神的に萎縮し
ては駄目ということです。

 それとこの日の話の中で一番大事なポイントがあった。

 配偶者が「台湾」を「中国」といわれて立腹しているということに焦点が行き、「ハイ
ハイ、わかった、じゃあ台湾と書けばいいんだろう」で法的に決まったとしても根本的な
解決とはいえない……この言わんとすることはわかる。ただ、今の時期に「台湾人の人権」
と言う切り口でやるのもどうかと。

 今法案提出が検討されている「人権侵害救済法」と言う悪法を後押ししかねないという。
在日台湾人の人権ばかりに目が行くと本質である日本の国体護持に悪い影響が出かねない、
そこにこの活動の縦割行政相手の他の難しい要因がある。

 六人目は出町淑貴さん、女性です。

 日本人と結婚し青森県に在住している。

 帰化していない為に3年後とに在留許可証を更新しなければならないが、そこで国籍や出
身地を「中国」とされることにおかしいと思い、ネットで調べて台湾正名運動を知ったと
いう。

 青森日台交流協会で台湾の書籍を販売するとシナ人の嫌がらせにあったり、或いは自身
がスピード違反で捕まって免許証を提示すると警官から「中国人か」といわれたりと、日
常生活での弊害をユーモアたっぷりに語ってくれた。

 まさに台湾人は日常生活でもこんな侮辱をされているのです。

 法治国家の日本として何かおかしくないか?

 ロシアかどこかに行ってパスポートを警官に見せて「あんたはアメリカ人か?」といわ
れたら普通日本人だったら「違うよ、日本人だ」と言うだろう。

 最後は東京都議会議員の小磯明氏です。

【写真:小礒明氏】

 議員としての立場からやれることをやっていこうということで、まずは「日華」親善議
員連盟」を「日台」に変えることも考えなければならないという。

 また、都庁の幹部職員に対して台湾への思いを説き、一人、二人、と理解者を増やして
行き、2008年に都知事からの通達で住民基本台帳で国籍標記を過去の通達があるにも関わ
らずに現実に即した(つまり台湾出身者は台湾)ようすることとなった。

 役所は政治家が指示するだけでなくフォローも大事とのこと、あいまいな姿勢が一番よ
くない……これが本当の政治主導ではないだろうか。

 こうして七人の登壇者のスピーチがおわり、日本李登輝友の会の杉本青年部長が決議文
を読み上げた。

【決議文】

 杉本青年部長の気合十分の決議文読み上げは全会一致で採択され、これは日本李登輝友
の会が責任を持って法務省に届けることになる。

 さて、シンポジウムが終わって「今日はいいお話に感動した、おいしいビールを飲みに
行こう」……と言うのも大いに結構であるが、やはりここで終わっては勿体無い。あくま
でもヒントを得る為に開催されたシンポジウムであり、要はここからどうするか、と言う
スタートラインであると思う。

 日本李登輝友の会千葉県支部でもまた色々と事務局で集まって考えるし、まずは自分で
出来る「正名」もありです。

 幸い私はブログがある。

 今まで知らなかったものは仕方が無いし今更どうこう言うつもりはない。

 ただ、私のブログを見て、事実を知ったら、難しいことは抜きにして「台湾はシナでは
ない」ということだけを覚えて頂ければと思う。

 そして事実を知った後は周囲で「台湾は中国の一部」とうそを言っている人が居れば優
しく教えてあげましょう、「台湾は台湾ですよ」と。

 お子さんが居たら「台湾は台湾だよ」と教えましょう。

 家族はペットしか居ないのであればオウムにもいいましょう、「台湾は台湾です」と。

 そのうちオウムは「台湾は台湾です」としゃべるでしょう。(爆)

 そして日常生活でうそを見つけたらこれも正そう。

◆『解説日本史図録』(山川出版社)が「台湾は中国に返還」と嘘の記述

 私が参加している歴史勉強会のG-RISEで時々使っている参考書として「解説日本史図録」
(山川出版社)がある。

 非常に写真やグラフ、資料が豊富なよい参考書ですが、225ページの「特集・日本と台湾」
ではうそを発見した。

 1945年8月のところ、「第二次世界大戦終了(台湾は中国に返還)」というウソを書いてい
ます。

【山川出版社の『解説日本史図録』年表】

 1945年8月は日本は台湾での行政権が凍結されただけです。台湾は国際法的には1951年の
サンフランシスコ平和条約で日本が台湾の領土と権利義務をすべて放棄して初めて日本国
から離脱したのです。

 そうなると1947年の二二八事件(台湾民衆が国民党支配に抵抗)と書いてありますが、こ
れは日本の問題なのですよね。

 まあ、この二二八事件は台湾に興味を持って深く掘り下げた勉強をしたいときにまた触
れればいいことだが、まずは1945年8月のうそに対してはきちんと対処しなければならない。

おおおっ・・・・ついにやったぞ、うその部分を黒く塗りつぶす・・・。

【(台湾は中国に返還)記述を塗りつぶした山川出版社の『解説日本史図録』年表】

 千葉日台による「言論封殺」か?

 私はついに危険人物になってしまったな・・・(爆)

 いいえ、そうではなく、うそは参考書としての品位を疑われるので、参考書のためを思
ってです。山川出版社に抗議電話をかけたりということに不慣れであればこういうことか
らでも始めるといい。

 まずは身近なところから「台湾へ正名」しましょう。

 他に皆様に署名(ネットおよび書面の署名)をお願いする予定です。

 明日以降、記事アップ致します。



● 黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点』お申し込み
  http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0095.reg

● DVD「野口健講演:台湾からの再出発」お申し込み
  http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0088.reg

● 増補改訂版 『台湾史小事典』お申し込み
  http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0076.reg

● 友愛グループ機関誌『友愛』お申し込み
  http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0082.reg

● 廖継思著『いつも一年生』お申し込み
  http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0075.reg

● 日本李登輝友の会「入会のご案内」
  文化交流を主とした「日本の生命線」台湾との交流を深める本会活動にご参加いただ
  ける方は、ご入会を! 下記の「入会お申し込みフォーム」からですと、お手軽にお
  申し込みできます。                    (日本李登輝友の会事務局)

■ 入会お申し込みフォーム http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0005.reg
■ 入会案内 http://www.ritouki.jp/guidance.html


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