恫喝に怯えない国となれ  アンディ・チャン

【AC通信(No.625):2017年1月7日】

 今年は日本と台湾にとって二人の無法者(ランボー)との戦いとなりそうだ。トランプと習近平
である。中国は覇権進出を目指して勝手な領土拡張を続ける油断ならない大敵である。アメリカは
友好国であり同盟国にも拘らず、「アメリカ第一」を実現するトランプが同盟国に対して恫喝すれ
ば毅然とした対応が必要だ。

 毅然とした対応とは恫喝に屈服しない事である。たいていの恫喝は双方に不利であることが多
い。恫喝が実現したらどんな結果を招くか詳しく検討し、恫喝の原因となる弱みは早急に改善すべ
きである。

 ルーズベルト大統領のThe only thing we have to fear is fear itself、無用な心配をするよ
り心配を除く処置を急ぐべきだ。

●不合理に疑問を呈したトランプ

 トランプは「なぜアメリカが一つの中国の主張を守る必要があるのか」とツイートしたので中国
では大恐慌を起こした。アメリカはキシンジャーの時代から今日まで中国の主張するOne Chinaを
「理解する」としてきた。トランプがこれに疑問を呈し、理解する必要があるのかと言っただけで
これまでアメリカの対中外交に存在した「束縛」が解けたのである。

 中国は直ちに「領土問題は交渉の条件ではない」と答えた。つまり「一つの中国」は領土主権の
問題であることを認めろと言うのだ。

 だが、その答えも同様に「アメリカは中国の領土主張を認める必要がない」のである。アメリカ
は台湾、南シナ海の諸群島、尖閣諸島などの主権について中国の主張を認めないのである。

 認めないと言ったから中国と戦争、または経済戦争になるか。武力戦争、経済戦争ではどちらが
大きな打撃をこうむるか。中国はそこまで計算しなくてはならないし、アメリカもそこまで計算し
ている。

 毅然と対応すれば中国は無法な覇権拡張ができなくなる。

●恫喝を怖れるな

 ルーズベルト大統領が言ったように、本当の怖れは国民の理由なき怖れである。日本憲法を改正
すれば戦争になると言った日本の主婦がいたそうだが、憲法を改正したら中国が攻めてくる理由は
ない。憲法を改正しなかったら戦争にならないと言う保証もない。

 理由のない怖れはメディアの責任、社会教育の責任である。平和憲法でノーベル平和賞を申請す
るなどたわごとである。

 中国は台湾が独立すれば攻撃すると恫喝する。だが、現状維持でも台湾併呑を進めている。中国
の恫喝を怖れるのは台湾のメディアと国民党の統一派である。台湾の自衛力は有限で士気は低く、
軍隊が中国側に寝返る可能性もある。早急に改善しなければならない。

●なぜ恫喝に対処できないのか

 ここに述べたように、恫喝に対処できないのは、日本では自衛隊があっても憲法を改正しなけれ
ば自衛力を発揮できないからで、台湾にあっては自衛力を信用できないからである。つまり、恫喝
される弱みがあるならそれを改善し、いつまでもアメリカに頼ってはならない。

 尖閣諸島の近海に中国の漁船や公船が侵入しても海自が出動することはないし、台湾の領海を中
国の艦隊が通過しても遠くから監視するだけである。

 日本と台湾が頼りにしているのは日米安保条約と台湾関係法である。アメリカが守ってくれるか
ら現状維持が出来る、だがアメリカは本当に守ってくれるのか、それが心配である。トランプが当
選したあとニューヨークで「アメリカは日本を守る必要があるのか」という討論会があったと言
う。トランプは日米安保や台湾関係法をバーゲンチップにするような言動もある。

 頼りになるのは自分だけ、自衛力である。アメリカはアジアにおける覇権を維持するため、そし
て中国の進出を防ぐために日米安保や台湾関係法を維持しているに過ぎない。

●トランプの恫喝を怖れるな

 トランプの考えとは別の考え方もできる。アメリカにとって日本と台湾は中国の覇権進出を抑え
るために必要な同盟国なのだ。トランプが無理な要求をすれば断固として断るべきである。

 トヨタ自動車がメキシコで建設中の自動車工場についてトランプは、Not going to happen、実
現しないと言った。トヨタの工場は既に建設中で、しかもこの工場はアメリカの工場をメキシコに
移したのではない。こんな無法な要求を呑むわけにはいかない。

 トランプの切り札はメキシコから輸入する自動車に45%の関税をかけることで、つまり目標はト
ヨタでなくメキシコとの争いなのだ。

 トヨタだけでなくホンダもメキシコに工場を建設中だから、日本の自動車工業が巻き添えを食っ
たことになる。それならアメリカでなく中南米やアフリカ、アジアへ輸出すればよい。何もトラン
プの恫喝を怖れることはない。

 アメリカは北米自由貿易協定(NAFTA)の署名国だから、勝手に45%の関税をかけるわけにいか
ない。NAFTAを解消すればメキシコもカナダもアメリカからの輸入品に関税をかける。物価が上昇
すれば人民、ひいては世界の経済に影響が出る。トランプはNAFTAを再交渉すると言うが再交渉に
何年もかかるだろう。

●恫喝に毅然と対応すべき

 日本と台湾は中国の覇権拡張のためアメリカに頼る必要があり、アメリカはアジアの覇権を維持
するため日本と台湾を同盟する必要がある。お互いに必要としているのに同盟国に恫喝するのはバ
カだ。

 同盟は双方の利益のためで、一方の無理な要求に降参すべきではない。同盟国は対等であり上下
の関係ではない。つまりトランプと習近平は二人ともランボーだが、中国の覇権を抑えるためにト
ランプのランボーは歓迎すべきだが、トランプが同盟国にランボーするときは毅然と対応すべきで
ある。


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