廃屋だった温泉旅館を再生したおかみ 佐藤京子さん(64)

【7月23日 朝日新聞「ひと」】

 秋田県の田沢湖に近い山道を、ベンツやBMWが泥にまみれて上っていく。めざす先
は夏瀬(なつせ)温泉の一軒宿「都わすれ」。携帯電話もテレビの地上波も届かない山
奥に3年前に開業。女将(おかみ)自ら間取りや壁紙、家具の配置まで決めた、こだわ
りの宿だ。

 秋田県の大曲で生まれ、結婚して東京に。デザインの仕事と子育てに追われていた47
歳の時、胃がんを患った。大手建設会社に勤めていた夫とともに仕事をやめて帰郷。祖
父母が経営する乳頭温泉郷の旅館で療養するうちに快復し、女将を継いだ。

 6年前、夏瀬温泉を訪れた。江戸時代から地元で愛された湯治場。体が弱かった幼い
ころ、祖父に背負われ通った思い出の場所だ。だが、交通の便の悪さから衰退。無人の
廃屋はカメムシだらけだった。ところが裏手に回ると、湯がこんこんとあふれている。
「手を入れると、懐かしいぬくもりに涙が出そうになった」

 がんを克服した自分の人生に、温泉の再生を重ね合わせた。周りからは「あんなへん
ぴな所、絶対成功しない」と反対されたが、2億円の借金をして、高級路線で勝負に出
た。全9部屋に源泉かけ流しの露天ぶろを備え、1泊3万円前後から。首都圏の団塊世代
を狙っている。

 昨年のテレビ番組で「究極の穴場温泉宿」の全国1位に。2泊した李登輝・元台湾総
統は「日本の原風景が残っていた」と喜んだという。

「限られた命。やるなら今しかない」と腹をくくっている。

                           文・今野忍 写真・贄川俊


●佐藤京子さんも『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』に執筆

 昨年来日時の6月4日と5日、李登輝元総統が秋田で宿泊された「夏瀬温泉都わすれ」
の女将が、佐藤京子さん。記事にあるように、携帯電話もテレビの地上波も届かない、
その名にたがわぬ静かなところでした。報道陣もシャットアウト。そのとき李登輝元総
統は女将に「都を忘れる、都わすれだね」「砂利道は台湾でも珍しいよ」と感慨を一言。
かなり気に入られたようで、中庭に、下駄履きのまま、自ら鋤を取って枝垂れ桜の苗木
をお手植えにもなりました。
 佐藤京子さんがそのときの感想を本会編の『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』で
「二つの宝物」と題してつづられています。靖国神社の遊就館ですでに100冊以上も売
れている本書は、本会ホームページの申し込みフォームを使えば簡単に購入できます。 
                                   (編集部)

■日本李登輝友の会ホームページ:お申し込みフォーム
 http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0008.reg

■『李登輝訪日・日本国へのメッセージ−2007旅と講演の全記録[完全保存版]』
 日本李登輝友の会編、まどか出版刊 A5判・上製本・176ページ、定価:1,890円

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