外登証問題や住民票問題の是正は日本がなすべき台湾正名運動

法務省入国管理局と鳩山法相に意見や要望を届けよう

■外登証、運転免許証、住民票の地名、地図などを是正するのは日本人の問題

 日本李登輝友の会では平成14年12月の設立以来、「台湾正名運動」に取り組んできま
した。

 台湾正名運動とは、常時携帯を義務づけられている日本に暮らす台湾人の外国人登録
証明証書(外登証)の国籍欄が「台湾」ではなく「中国」とされていることから、台湾
人は中華人民共和国の国民と誤解されることで不必要な障害がもたらされることが極め
て多いことに鑑み、また「台湾は中国の一部」との誤解を解消するため、日本における
台湾正名運動として「台湾人の外国人登録証明書における国籍表記問題の解決」に積極
的に取り組んでまいりました。

 名を正す、すなわち是正すべきは、この外登証に限りません。台湾人の運転免許証に
おける国籍欄も「台湾」ではなく「中国」とされています。また、一部自治体では台湾
に住んでいた日本人住民票の「前住所」欄が「中華人民共和国台湾省」と表記されてい
るという住民票の地名表記問題、さらには台湾が中国の一部に組み込まれた地図表記問
題など、日本が自ら解決すべき問題があります。これらの是正を図る運動を総称して「
台湾正名運動」と称しています。

 下記にご参考まで、平成15年(2003年)5月11日、「5・11台湾正名運動日本デモ実行
委員会」委員長を務めた陳明裕氏(当時、在日台湾同郷会会長)が森山眞弓法相宛に提
出した「外国人登録証明書における台湾人の国籍表記改正を求める要望書」を掲載しま
す。

■法務省入国管理局と鳩山法相に意見や要望を届けよう

 では、外登証の場合、国籍欄の名称を是正する権限はどこにあるのかといいますと、
外登証を管轄する法務省入国管理局です。

 そこで、法務省入国管理局登録管理課へ電話で問い合わせてみると分かりますが、昭
和22年(1947年)に「外国人登録令」を制定して以来、27年に新たに「外国人登録法」
となっても、台湾出身者の国籍欄は中国であり「現状ではなんら問題はない」という返
答です。

 平成14年4月、西村眞悟議員が衆議院法務委員会において、森山真弓大臣に「台湾出身
者の外国人登録証には中国と記載されているが、外国人登録法の趣旨に反するのではな
いか」と質問していますが、森山大臣は「このような表記は、国籍の表示として妥当な
ものであろうと思っております」と、法務省入国管理局とまったく同じ答弁をしていま
す。

 ただ、法務省入国管理局登録管理課の話では「最近、台湾出身者の国籍欄が中国とさ
れているのはおかしいという意見が数多く寄せられている」と言い、「運用の検討材料
の一つとして考えている」と答えています。

 現在の法務大臣は、周知のように台湾問題にも造詣が深い鳩山邦夫氏です。 また、台
湾政府も、外国人登録証明書や運転免許証における国籍表記問題の解決に乗り出してき
ています。

 日本李登輝友の会は来年もまた日本における「台湾正名運動」を大きく展開してまい
る所存です。本会会員はじめこの「台湾正名運動」にご賛同いただける方は、改正権限
を持つ法務省入国管理局と鳩山法相へどしどしご意見をお寄せ願います。

 平成19年12月30日

                      日本李登輝友の会事務局長 柚原正敬


■法務省入国管理局インフォメーションセンター
 E-mail:info-tokyo@immi-moj.go.jp
 TEL:03-3580-4111

■鳩山邦夫法相
 東京事務所
 〒100-8982 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院第2議員会館243号室
 TEL:03-3508-3843 FAX:03-3580-8001
 福岡事務所
 〒830-0023 福岡県久留米市中央町38-6 ツツミビル7F
 TEL:0942-39-2111 FAX:0942-39-6611


外国人登録証明書における台湾人の国籍表記改正を求める要望書

 日本に暮らす台湾人の場合、常時携帯を義務づけられている外国人登録証明証書(外
登証)の国籍欄は、「台湾」ではなく「中国」となっている。これは、中華人民共和国
の国民と同じ表記である。このため、台湾人は中華人民共和国の国民と誤解されること
で不快感や屈辱感を味わい、日常生活に不必要な障害がもたらされることが極めて多い。

 そこで、法務省や同省がその交付を委託する市区町村に対し、多くの在日台湾人が国
籍表記を「台湾」等と改めるよう求めているが、今のところ改正の兆しは見えない。

 この問題について、法務省は、中国の表記は中華人民共和国という国名を意味するも
のではなく、政府が国家承認するところの中国であり、そこには台湾も含まれる、とい
う見解である。ただし、その所持者が中華人民共和国出身者の場合は中華人民共和国も
同時に意味する、と説明している。

 しかし、この見解については、以下、五つの問題がある。

 第一に、中国という表記は中華人民共和国という国名を意味していないというが、そ
れは当を射ていない。なぜなら、台湾の台北市出身者の場合、外登証国籍欄に併記され
る住所や出生地の欄は「台湾省台北市」となっている。しかし、台北市は台湾の政府直
轄市ゆえに台湾省に含まれないため「台湾省台北市」という行政単位は存在せず、中華
人民共和国が規定する行政単位と一致している。即ち中国の表記は、台湾を自国領と主
張する中華人民共和国の国名以外に解釈できないからである。

 第二に、政府が、台湾をも含む中国という国家を承認したという根拠は、歴史的事実
としてはなはだ曖昧である。中国を国家承認したというなら、その根拠を明らかにして、
日中共同声明との整合性を説明すべきであろう。

 第三に、日本政府は、台湾がその領土の不可分の一部と主張する中華人民共和国の主
張を承認していないことは日中共同声明にも明らかなことで、諸外国と同様、外登証に
おいて台湾と中華人民共和国の出身者を明確に区別することは、主権国家として当然の
合理的な措置といわざるをえない。

 第四に、外登証における台湾人の国籍表記が中華人民共和国のそれと区別がつかない
以上、このような日本の措置は不合理と言わざるをえない。少なくとも米国、英国、フ
ランス、ドイツなど先進主要国の外登証では、台湾人の国籍表記は台湾となっている。
日本もこれらに習って実際に即した表記に改めるべきことは、国際社会の一員として自
明のことである。

 第五に、現行表記が著しく台湾人の人権を損なっている事実に鑑みれば、早急に改正
することで台湾人の人権を守るべきは法治国家として当然の対応である。

 以上のことから、台湾出身者の外登証の国籍欄表記を「中国」から「台湾」へ改正し、
中華人民共和国出身者と台湾出身者を区別するよう強く要望する。もし速やかに適切な
処置が執られないならば、われわれはこの件の実現を、法的手段も視野に入れてあくま
でも追及するものである。

 平成十五年(二〇〇三年)五月十一日

            五・一一台湾正名運動日本デモ実行委員会委員長 陳 明裕

法務大臣 森 山 眞 弓 殿