台湾駐日代表処を通じて台湾政府に「正名運動に関する要望決議」を手交

廖經邦顧問が要望実現への尽力を確約

 昨日午前、本会の柚原正敬・常務理事(事務局長)と片木裕一・理事(事務局次長)
が台北駐日経済文化代表処(台湾の日本における外交の窓口機関で、実質的に大使館や
領事館に相当)に廖經邦・顧問(業務組長)を訪ね、先般10月22日の全国支部長会議で
採択された「正名運動に関する台湾政府への要望決議」を直接手渡しました。

 柚原局長は、全国支部長会議の模様を伝え、10月25日に台湾外交部日本事務会の蔡明
耀・副執行長が在日台湾人の外国人登録証明書や自動車運転免許証の国籍記載が「中国」
とされていることに対して「日本政府が台湾の人たちの国籍欄には『台湾』と記載する
よう改善を求めていく」と表明したことを確認、台湾名で国連加盟申請をしたことや許
世楷代表自らが「台湾駐日代表処代表」と署名していることなどの事例を挙げて要望の
趣旨を説明した後に要望決議文を読み上げ、黄志芳外交部長(外務大臣に相当)宛の要
望決議文を手渡しました。

 廖顧問は「台湾政府としてはこれまでも何度か日本側に働きかけてきたが、台湾政府
自体の足並みがそろっていなかったこともあり、いいタイミングで出されたこの要望決
議文を外交部に伝えるとともに、今後は文書をもって日本側に要請するように取り計ら
いたい」と確約いただきました。

 柚原局長はまた、住民票のコピーを示しつつ、日本の一部自治体で、台湾に住んでい
た日本人の住民票の前住所が「中華人民共和国台湾省」と記されている事例を紹介し、
台湾政府から文書をもって改善要求が出されるべき必要性を再度説明すると、廖顧問も
これには驚いた様子でしきりにうなづき、要望の趣旨に改めて賛意を示しました。

 では、ここに改めて台湾外交部の黄志芳部長宛に提出した「正名運動に関する台湾政
府への要望決議」をご紹介します。                  (編集部)


正名運動に関する台湾政府への要望決議

 現在、台湾において国家正常化と軌を一にして推進されている「台湾正名運動」は日
本が発祥の地であり、二〇〇一年六月、当時、在日台湾同郷会会長だった本会常務理事
の林建良氏の提唱によって始まった。

 日本では在住外国人に「外国人登録証明書」の随時携帯を義務づけているが、在日台
湾人の「外国人登録証明書」の国籍表記は「台湾」ではなく「中国」と記されている。
運転免許証も同様である。これは、日本政府による台湾人の尊厳を踏みにじる堪え難い
措置として、その改正を訴えたことをもって台湾正名運動の嚆矢とする。

 翌年、この運動は台湾でも開始され、やがて燎原の火のごとく広まり、「正名」とは、
母なる台湾の国名を「中華民国」から「台湾」に正すことをもって最終目的とすること
が広く認識されるようになる。二〇〇三年九月には李登輝前総統の招集により、台北市
内に十五万人以上の人々が集まる台湾正名運動の大集会が実現した。日本からも、本会
の小田村四郎副会長以下の本会会員をはじめ三百人もの人々が参加した。

 その後も正名運動は台湾でさらに盛大となり、台湾人パスポートに「TAIWAN」
が付記され、また、中正国際空港の名称も台湾桃園国際空港に改正された。今年に入っ
てからは中華郵政が台湾郵政、中国造船が台湾国際造船、中国石油が台湾中油となり、
その勢いはますます増大している。今年五月のWHOへの正式加盟申請や七月の「台湾」
名による国連加盟申請も、その表れと言えよう。

 私ども日本李登輝友の会は、新しい日台交流を構築することを目的として平成十四年
(二〇〇二年)に創立した日本の団体であるが、翌年開催の第一回総会以来、李登輝前
総統を中心に推進される台湾正名運動の理念を紹介するとともに、「台湾人の外国人登
録証明書における国籍表記問題の解決」に積極的に取り組み、日本における台湾正名運
動を展開している。その後も、「台湾は中国の一部」との誤解を解消するため、引き続
き外国人登録証明書や運転免許証、一部の自治体で台湾居住地が「中華人民共和国台湾
省」と表記されている日本人住民票における地名表記問題、台湾が中国の一部に組み込
まれた地図表記問題などの是正に向けて取り組んでいる。

 今般、台北において第一回全国支部長会議を開催し、改めて日本における台湾正名運
動の推進を誓うとともに、台湾政府に対して左のことを要望する。

一、日本で大使館機能を果たしている「台北駐日経済文化代表処」の名称を「台湾駐日
 代表処」へ正名改称すること。

一、「外国人登録証明書や運転免許証の国籍表記」、「日本人住民票の地名表記」、「地
 図表記」、「台北駐日経済文化代表処の名称」などの問題を早急に解決すべく、日本
 政府への正式にして速やかなる申し入れを行うこと。

 右、決議する。

 平成十九年(二〇〇七年)十月二十二日

                                日本李登輝友の会

台湾・外交部部長 黄志芳殿