台湾慰霊巡拝と李登輝前総統への表敬訪問旅行を終えて [芦原 大記]

日本李登輝友の会北海道支部 芦原 大記(旭川神社禰宜)

 平成19年11月11日〜15日までの旅程で、日本李登輝友の会北海道支部設立後、初訪台
を果たしました。団長である同支部長の鎌田告人氏(本会理事、比布神社宮司)をはじ
め、北海道議会議員で本会理事の清水誠一氏、北海道上川支庁連合遺族会、日本会議上
川支部など42名が参加しました。

 私は今回の参加者の中でも一番若く、日台間の歴史について恥ずかしくも全くといっ
ていいほど知らなかったのですが、この訪台で台湾人の方々のあまりにも心暖まる歓待
に感動を覚え、そして台湾を一遍で好きになってしまいました。

 さて今回の旅行は「日本李登輝友の会・北海道支部」と「上川支庁地区連合遺族会」
との合同の研修旅行、並びに慰霊巡拝ということで、11日、北海道護国神社に集合・参
拝し、一路東京に渡り、台湾出発に先立ち千鳥ヶ淵霊園・靖国神社を正式参拝しました。

 一行は成田空港より台北に到着、深夜、市内のホテルに入り第1日目を終えました。

 2日目は拓殖大学の教授であり、韓国出身の評論家でもある呉善花氏等も加わり、故宮
博物館・龍山寺等市内を観光しました。

 夕食は蔡焜燦氏、また将来の日台友好の梯となる若い台湾人の方々を交えての懇親会
となりました。私はここで初めて、日本語で日本の話をし、日本の歌を唱い、さらに心
から日本の国を愛している台湾人の方々に出会い、本当に感激しました。

 話には聞いていましたが、目の当たりにして改めて自分自身を見つめ直す貴重な時間
を過ごすことができました。また心温まる歓迎を本当に有り難く感じ、これからの日台
友好を担う若者の一人として、先人の思いをつなげていかなければならないと、心動か
される忘れられない夕食会となりました。

 そして3日目、一行は淡水を観光、午後から本旅行の目的である李登輝閣下との面会と
なりました。

 講話の内容は、訪日のご感想や、日本の文化伝統、武士道精神、後藤新平から学ぶこ
と、また台湾の現状やアジア全体の現状等にまで及び、予定時間の60分を大幅に超過し
ました。そして講話は全て日本語で話され、講話後も次々と握手を求める私たちに暖か
く応対していただき、多くの日本人が李登輝閣下に魅了される理由を体感することがで
きました。

 特に印象深いのは「私は日本が好きです。しかし、今の日本人は日本精神というもの
をもう一度考えなければならない」と話されたこと。台湾人にあって日本人にないもの
は自分の国の精神文化に誇りと自信を持つことであると痛感しました。

 その後一行は台中へ移動し、台湾出身で日本海軍の軍人であった中日海交協会会長の
胡順来氏をはじめ、日本を心から愛する方々との懇親会となりました。胡順来氏の奏で
るアコーディオンの音に合わせ軍歌を何曲も大合唱し、日本と台湾は同胞であると心か
ら感じる、楽しいひとときとなりました。

 第4日目、一行は早朝、寶覚禅寺を訪れ、大東亜戦争において散華された台湾出身の元
日本軍人、軍属、3万3千余柱の御霊(みたま)が祀られている「霊安故郷」(李登輝閣下
揮毫)の慰霊碑の前で、和寒神社宮司・吉田隆宏氏が斎主を務め、當麻神社禰宜鎌田耕作
氏と私の3名の神職で「台湾出身大東亜戦争英霊顕彰祭」を齋行しました。胡順来氏等も
参列する中、奉納された花輪に囲まれ、参加者たちは一人一人生花を手向け、感謝と慰
霊の祈りを込めて参拝しました。中には涙ぐむ方もおられ、さぞかしご英霊はお喜びに
なられているのではないかと感じる中、祭儀は粛々と且つ盛大に執り行われました。

 この時、慰霊碑にお花を供えている現地のおばあさんがいました。話を聞くと、流暢
な日本語で「毎日欠かさず掃除をし、お花をこの慰霊碑に供えています」とのこと。私
は感動して目頭が熱くなりました。「また来ますから元気でいてくださいね」と言葉を
かけて同寺を後にしました。

 午後からは奇美博物館・飛虎将軍鎮安堂等を見学参拝し、開業間もない新幹線にて高
雄より台北へ移動し、4日目の行程を終了しました。

 この度の台湾旅行は、なかなかお会いすることができない李登輝閣下との面会や、蔡
焜燦氏、胡順来氏等との心暖まる懇親会、また寶覚禅寺での英霊顕彰祭など、私にとっ
て本当に貴重な経験となりました。

 実際に台湾に赴き現地の方々と交流を深めることは、友好親善が深まることは勿論の
ですが、また日本人としてこれでいいのかと自問するいい機会でもあると痛感しました。

 台湾の方々の期待を裏切らないよう、日本人としての誇りを回復していくことが、特
に若い私たちの使命であると思いました。今度は日台の歴史をもっと勉強して訪台した
いと思います。