中国の妨害に屈せず「日本精神」で通じ合う台湾とパラオ  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」第249号:2018年8 月21日】http://www.mag2.com/m/0001617134.html

*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。

◆台湾と国交を結ぶパラオに圧力を強める中国

 8月21日午前、エルサルバドルが中国と国交樹立、これにより台湾と断交と断交しました。蔡英文政権になってからの2年で、これで台湾と断交した国は5カ国となりました。現在、台湾と国交のある国は17カ国です。しかも、蔡英文総統が中南米歴訪から帰国したばかりのタイミングです。

 言うまでもなく、台湾との国交断交の背後には、中国による経済的、政治的圧力があります。台湾と断交する国に対しては経済援助を与え、国交を維持する国に対しては冷遇するという、いつものやり方です。

 そして、この中国のやり方に苦しめられているのが、台湾と国交があるパラオです。中国は昨年末、外交関係がないことを理由に、パラオへの中国人観光ツアーを禁止しました。パラオを訪れる観光客の半分を占めていた中国人が来なくなったことで、ホテルやレストランは閑散とした状態だといいます。

 また、これまで同国の美しい風景目当てに殺到していた中国人投資家も去ったそうです。

 しかし、パラオのトミー・レメンゲサウ大統領は、「集団での観光は環境に被害をもたらしている」「パラオにとって数が大きな利益を意味していたわけではない。われわれは量ではなく質の政策を模索する決意をより強くした」と、中国の嫌がらせに対して、むしろ望むところだといった気概を見せています。

◆親日国パラオに架けられた「日本・パラオ友好の橋」

 パラオといえば、台湾同様、かつて日本統治下にあり、現在も大変な親日国であることは有名です。同国の国旗は、青地に黄色の日の丸で、日本に対する親しみから、親に日本風の名前をつけられた人も少なくありません。

 戦前に日本からパラオに移り住み、現地人と結婚して同化した日系人もいます。パラオ人の4分の1が日本人の血筋だともいわれ、レメンゲサウ大統領も祖母の父が日本人の日系4世です。また、前大統領のクニオ・ナカムラも日系人でした。

 2015年に天皇皇后両陛下がパラオを訪問する際、レメンゲサウ大統領は「日本とパラオは単なるパートナーシップではなく、むしろ兄弟に近い。日本が兄で、パラオが弟です」と語っています。

 パラオは1996年、韓国の建設会社が建設したKBブリッジが崩落するという事故がありました。この橋は韓国のSOCIOという企業が鹿島建設の半額の入札価格で落札し、1977年に完成したものですが、当初より手抜き工事が噂され、陥没事故が相次いだため、パラオ政府による補強工事が繰り返されてきましたが、それでも20年ももたずに崩落してしまったわけです。

 この橋は本島のコロール島から国際空港をつなぐ唯一の道路であり、また、電気、水道、電話などのライフラインが通っていたため、パラオの首都機能が麻痺し、当時のクニオ・ナカムラ大統領は国家非常事態宣言を発令したほどでした。

 韓国のSOCIOは、1994年に崩落した韓国の聖水大橋にもかかわっていました。しかもKB橋崩落時にはすでにSOCIOは解散していたため、パラオ政府は損害賠償を請求することもできなかったのです。

 このKBブリッジ崩落に対して、日本政府は支援を行い、日本のODAによって2002年に「日本・パラオ友好の橋」という新たな橋がかけられました。

 そして現在、パラオは中国からいろいろ嫌がらせを受けているわけです。やはり大中華も小中華も、思考法は同じです。相手を恫喝したり騙したりすることで、自分の欲望を叶えようとするからです。

 台湾同様、パラオには「オカネ」「サビシイ」など、日本統治時代の言葉がたくさん残っています。その数は500とも言われますし、日本統治時代を経験したことがある高齢者は、流暢な日本語を話します。

◆観光まで政治手段として利用する中国の嫌がらせや脅しに屈しないパラオ

 台湾には「日本精神(ジップン・チェンシン)」という言葉があり、これは勇気や誠実さを意味し、嘘つきや卑怯さを表す「支那根性」の反対語となっています。パラオにも「日本精神」に似た考え方や言葉があるのでしょう、だから中国の嫌がらせや脅しには屈しないのだと思います。

 かつて日本に統治され、いまなお世界でもっとも親日であり続ける台湾とパラオが、国交を結ぶのは当然の帰結なのかもしれません。

 中国が観光まで政治手段として利用することは、韓国のTHAAD配備問題のときにも話題になりました。また、台湾では、国民党から民進党へと政権が交代した際、中国政府は中国人観光客の行き先を、国民党が知事や市長を務める地方にのみに制限しました。

 中国政府の外交は、あまり新手がなく、たいてい嫌がらせくらいしかありません。あるいは戦後時代からの「遠交近攻」策で、インドと敵対しながらパキスタンと兄弟関係になるなど、わかりやすいのです。

 米中対立が激化すれば、中国側は「日本をはじめ近隣諸国を訪問したい」などと自分都合の発言しかしないので、読みやすいのです。そのようなご都合主義こそ、中華思想なのです。

 李登輝元総統は、「軟らかい土を深く掘る」のが中国のやり方だと、よく語ります。無理が通りそうなところには、どんどんつけ込んでくる。日本はもとより、台湾やパラオともメンタリティやビヘイビアがまったく違うのです。

 日本人はよく「同じ人間だからわかりあえる」と考えますが、「『わかりあえる』と思っている人間にはつけ入る」が中国人なのです。そのことを肝に銘じておく必要があります。


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