【話の肖像画(3)】米国籍を取得して国連で仕事  羅 福全(元台北駐日経済文化代表処代表)

産経新聞のコラム「話の肖像画」が9月13日から5回にわたり、台北駐日経済文化代表処代表(駐
日台湾大使に相当)や亜東関係協会会長などを歴任した、日本でもなじみの深い羅福全氏を取り上
げている。聞き手は、金谷(かなたに)かおり記者。

 連載第1回の冒頭に記すように、羅福全氏は本年3月、自叙伝『台湾と日本のはざまを生きて─世
界人、羅福全の回想』(藤原書店、陳柔縉編著、小金丸貴志訳)を出版している。

 本書は、台湾のコラムニストの陳柔縉氏による『榮町少年走天下─羅福全回憶録』(遠見天下出
版社、2013年)の日本語訳で、本会会長に就任する直前の渡辺利夫氏(拓殖大学前総長)が序文
「『棄(すつ)るは取るの法なり』の人生を生きた台湾人」を書いていて、羅福全氏を下記のよう
に紹介する。

<羅福全の人生は、一面では、台湾の運命によって余儀なくされた不可避のものであった。しか
し、他面では、国民党のブラックリストに載せられて安住の地を放棄させられ、母上逝去の報せを
受けても帰郷できないという、普通の人間であれば呪うべき己の人生を、まるで逆手に取るように
自在に操り、ついには世界に知のネットワークを張ることに成功した希有の人物である。>


米国籍を取得して国連で仕事  羅 福全(元台北駐日経済文化代表処代表)
【産経新聞:2016年9月15日「話の肖像画(3)」】

http://www.sankei.com/world/news/160915/wor1609150015-n1.html
写真:早稲田大学に留学中、大隈重信像の下で友人らと。左端が本人(本人提供)

〈台湾最高学府の台湾大学で経済学を学んだ後、修士課程で早稲田大学に留学。さらにその後の
1963(昭和38)年、米国へ留学した〉

 日本に来ると、帰ってきたという気持ちになりました。当時は安保闘争の真っ最中。早稲田の大
隈重信像に反米・反政府のプラカードがかかっているのを見て、こんな自由な国があるのかと思っ
た。学生運動を見ていたら中国国民党による圧制下にあった台湾には帰れません。帰れないならア
メリカまで行こうと。当時、早稲田で経済を学ぶ傍ら、東京大学でも聴講生をしており、東大の教
授に将来10年、経済の分野で伸びるものを聞いたら「計量経済学と地域経済学だ」というので、こ
の2つのトップの教授がいるペンシルベニア大学に行くことにしました。

 アメリカは本当に民主国家でした。初めて「二・二八事件」に抗議するデモに参加したら、アメ
リカの警察というのは私たちの安全を考えてデモを保護してくれるのです。でも後に、FBI(連
邦捜査局)が来て「あなたは共産党か」と聞いてきました。私は「中国の一部になりたくないから
独立運動をしている」と答えましたが、当時は東西冷戦の最中で、国民党がFBIにそう言ったの
でしょう。こうした活動を続けていくなかで、私は国民党のブラックリストに載るわけです。

〈ペンシルベニア大で地域科学博士を取得、米民間調査会社を経て73(昭和48)年、国際連合の職
員となる〉

 私の地域開発に関するリポートを見たというポーランド人から「名古屋に設ける国連地域開発セ
ンターで仕事をしないか」と電話があり、「ぜひとも行きたい」と答えました。偶然舞い込んだ新
しいチャンスです。ところが私はブラックリストに載ったため、「中華民国」のパスポートを失効
させており、米国籍も申請していなかったため無国籍でした。私は急いで米国籍を取り、国連は世
界で仕事をするための国連パスポートを発行してくれました。

 国連には27年間勤めました。70年代は経済発展の時代でしたから、フィリピンやインドネシアな
どアジアの国々での調査研究が多かった。持続可能な経済発展が重視されるようになると環境問題
に取り組みます。日本で97(平成9)年に開かれた京都会議(気候変動枠組み条約締約国会議)に
は国連大学代表として参加し、京都議定書のドラフト会議にも呼ばれました。

〈71(昭和46)年、アルバニア決議が引き金となり、国連における「中国」の代表権が中華人民共
和国となり、台湾は脱退。72年には日本、79年には米国と断交するなど世界で孤立していった〉

 蒋介石は「2つの中国」は受け入れないとして国連を撤退しました。しかし、蒋介石は台湾を代
表していないというのがわれわれ台湾人の主張です。私が国連に勤めたときの気持ちは、ケネディ
大統領の就任演説にある「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何
ができるかを考えましょう」というもの。台湾の状態にかかわらず、国連の仕事を一生懸命やった
と思っています。国連メンバーは戦後から今までに約140増えました。これらは戦後、植民地から
離脱したり、独立したりしたものです。残念ながら台湾だけが戦後、行く先を知らずに今に至りま
す。台湾に住む2300万人が国際社会から受け入れられないのは、戦後の世界政治史で一番不幸なこ
とだと思います。

                                 (聞き手 金谷かおり)

                   ◇

【プロフィル】羅福全(ら・ふくぜん)
1935(昭和10)年、台湾・嘉義市生まれ。41年に日本へ行き、終戦を迎える。46年に台湾へ戻り、
58年に台湾大学を卒業。60年に早稲田大学に留学し、修士号取得。63年に米国ペンシルベニア大学
へ留学し、地域科学博士取得。73年から国際連合職員となり、国連地域開発センターや国連大学な
どで勤務。2000年、台北駐日経済文化代表処代表。04年、台湾の対日窓口機関、亜東関係協会会
長。現在は民間団体、台湾安保協会名誉理事長。


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