【新刊紹介】 片倉佳史他著『台湾鉄道の旅完全ガイド』[評・片木 裕一]

先月20日、イカロス出版より『台湾鉄道の旅完全ガイド』が刊行されました。この本
は台湾の鉄道の魅力を紹介し、より多くの方に鉄道旅行を楽しんでいただくことを目的
に編集されています。また、本書の大部分を台湾在住のジャーナリスト・片倉佳史氏や
鉄道写真家の結解喜幸氏が執筆されています。

 とにかく写真が美しい。

 巻頭25ページは片倉氏による台湾新幹線の大特集!沿線ガイドからグッズの紹介、撮
影地ガイドまで地図入りで紹介されているだけに留まらず、約30年前の構想段階から現
状までの経緯も詳しく解説されています。これを読んだら、貴方も講演できます。

 続いて台湾鉄路局(台鉄)の沿線や車両の解説があり、結解氏による「台湾一周指南」
が駅弁の紹介まである楽しい読み物。勿論、阿里山鉄道や台北のMRT(地下鉄)、す
でに営業廃止しているサトウキビ鉄道まで紹介されています。サトウキビ鉄道の一部は
観光用に運行さてれいるところもあり、それらのアクセスやダイヤ(運行時刻)まで掲
載されています。

 また、歴史的な写真や鉄道旅行でよく使いそうなフレーズを集めた会話便利帖もあり
ます。

 本書は基本的には「鉄ちゃん」(鉄道ファン)対象ですが、内容は幅が広いので、そ
うでない人も楽しんで読んでもらえるものと思います。

 *注:ダイヤや金額は随時変わりますので、本書に記載されているとおりとは限りま
  せん。例えば、桃園空港から高鉄桃園駅のバスは20元、とありますが現在は30元な
  ど。

 ところで、日本で出版される海外の鉄道に関する書籍は、その写真や資料はほとんど
日本人の執筆者や出版社編集部、先方の鉄道関係機関が準備提供しています。ところが
本書の場合、かなりの写真や資料を台湾人の鉄道ファンや、台湾の公的機関が準備提供
しています。この「台湾の鉄道ファン」ですが、そのうち何人かは私も親交あり、私自
身たいへん嬉しく思っています。

 日本は世界の鉄道ファンの天国ともいえる国です。何故か? 鉄道ファンのいる国は、
高度な民主主義が達成されている自由な国だからです。橋や海岸線で列車を自由に撮影
できる国はそう多くありません。鉄道はその使途によっては重要な「兵站」です、国に
よっては駅で列車にカメラを向けるだけで「関係者」がすっ飛んできます。

 台湾でも、つい10年余り前はそうでした(今でも一部の場所は注意が必要です!)。
現在、台湾には多くの「鉄ちゃん」がいます。そして彼らは日本にもよく来ていますの
で、今後の日台交流のひとつの接点としていきたいと思います。

 その片倉さんの講演会が、3月29日、東京・目黒で開催されますので、お時間の都合
のつく方は是非ご参加ください。勿論、私も参加します。

 なお、同じく片倉さんの『台湾新幹線で行く台南・高雄の旅』(まどか出版、2007年
3月刊)も併せて読んでみることをお勧めします。

          【評・片木裕一 日台鉄路愛好会幹事、日本李登輝友の会理事】

■書名 『台湾鉄道の旅完全ガイド』
■著者 片倉佳史・結解喜幸他
■版元 イカロス出版 http://www.ikaros.co.jp/
■体裁 B5判、並製、本文130ページ
■定価 1,800円(税込み)
■発売 2008年2月21日



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