【台湾総統選挙】民進党副総統候補に李遠哲氏が浮上し、宋楚瑜氏が出馬を表明

台湾は来年1月14日、4年に一度の総統(大統領に相当)選挙を行い、同時に立法委員(国
会議員に相当)選挙も行う。台湾選挙史上初の総統・立法委員のダブル選挙だ。李登輝元
総統は「台湾が直面する問題の解決は、2012年の総統選挙にかかっている」と指摘してい
るように、文字通りの天下分け目の戦いとなる。

 台湾の「正副総統選挙」では、総統候補が副総統候補を指名し、コンビを組んで選挙戦
を戦う。すでに与党の中国国民党は現総統の馬英九氏が名乗り出ており、副総統に現行政
院長(首相に相当)の呉敦義氏を指名している。

 一方、野党の民進党は蔡英文主席が党内選挙で総統候補となり、初の女性候補となった
ものの、副総統候補はまだ指名していない。

 一昨日、産経新聞が民進党の副総統候補にノーベル化学賞受賞者の李遠哲氏が浮上して
いることを伝えた(下記参照)。本来は8月28日に開催予定の党代表大会までに発表すると
していたが、人選はかなり難航している。

 李遠哲氏が受けるかどうかは微妙なようだ。そもそも副総統候補には、先の五大都市選
挙において台中市で善戦した蘇嘉全・民進党秘書長の名前が取り沙汰されていた。しかし、
6月22日に総統選挙対策本部が設けられた際、蘇氏は執行幹事長に組み入れられてしまい、
副総統候補の芽をつまれてしまったことがその原因のようだ。

 この総統選挙対策本部は、挙党態勢づくりのイメージ作戦に利用された感がある。トッ
プの選挙委員会主任委員には蔡氏と総統候補を争った蘇貞昌・元行政院長が就き、総指揮
者には馬氏と前回の総統選挙を戦った謝長廷・元行政院長、総監督には游錫[方方の下に土]・
元行政院長、選挙総本部の幹事長には呉乃仁・元民進党秘書長、そして執行幹事長には蘇
嘉全・民進党秘書長と、陳水扁時代に台北県長代理をつとめた林錫耀氏が就いた。

 この選対本部の陣容は、野田佳彦党首の下で小沢一郎、菅直人、鳩山由紀夫、前原誠司
が選対本部をつくるようなものだ。まとまるものもなかなかまとまらないだろう。

 それでも、蔡英文氏の支持率は、中国国民党の馬英九候補(現総統)とほとんど差がない。
8月22日に台湾の「遠見」が発表した世論調査によると、馬氏:39.6%、蔡氏:38.1%と
1.5ポイントしかない。もしこれに親民党の宋楚瑜主席が参戦した場合は、馬氏:35.1%、
蔡氏:33.9%、宋氏:14.0%という結果だった。馬氏と蔡氏の差は1.2ポイントとなり、わ
ずかながら縮まる。

 では、宋楚瑜主席は総統選挙に参戦するのだろうか。9月1日、宋氏は出馬の意向を表明
した。ただし、有権者100万人以上の署名があった場合という条件付きだ。すでに署名活動
を始めているものの、総統・副総統選挙の立候補者の届け出は9月16日から21日まで。

 果たして半月で100万人以上の賛同署名が集まるのかという懸念の声も強く、世論調査に
明らかなように、宋氏が出馬すれば馬氏が不利になることから、馬氏との駆け引きという
見方も拭いきれないようだ。


台湾最大野党 副総統候補に李氏浮上
【産経新聞:平成23年(2011年)9月2日】

【台北=吉村剛史】来年1月の総統選で政権奪還をめざす台湾の最大野党・民主進歩党(民
進党)の副総統候補として、ノーベル化学賞受賞者で元中央研究院長の李遠哲氏(74)の
名前が浮上していることが1日、関係者らの話でわかった。ただ、李氏は高齢であり、近く
国際科学会議の会長に就任予定でもあることから、調整の難航を予想する声も上がってい
る。

 李氏は日本統治時代の1936年、新竹市で生まれた。戦後、台湾大学などを経て、米カリ
フォルニア大学バークレー校で博士号を取得。86年、化学反応素過程の研究で、台湾初の
ノーベル化学賞を受賞した。

 96年から2006年まで台湾の最高学術研究機関・中央研究院長を務め、2000年の総統選で
は民進党支持を表明し、陳水扁前総統の初当選を支えたとされている。

 同党の副総統候補をめぐっては、総統候補である蔡英文主席が5月、金融・通貨対策で手
腕を発揮し、馬英九政権中、世論の支持率が最も高い彭淮南・中央銀行総裁と接触したも
のの固辞された。

 8月には、蔡氏支持を表明している李登輝元総統にも、再度、彭総裁への打診を依頼した
ものの、重ねて固辞されたと1日、台湾各紙が報じている。

 当初、同党は8月28日の党代表大会で正副総統候補を承認する予定だったが、「台風接近」
で大会を延期。蔡主席は9月12日から21日に訪米を予定しており、「訪米後に大会を開くと
しても残り時間はわずか」とされるだけに、李遠哲氏との調整が注目される。

 同党は、先日まとめた今後10年の政策綱領で、国民党の馬政権が推進してきた中台間の
自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)に関し、従来の批判
姿勢から一転、「台湾の現状維持」を前面に打ち出し、「ただちに破棄せず、民意を集約
して対応する」と態度を軟化させた。

 しかし一方で、中国や馬政権が、ECFAの前提として主張する「中台が(定義の違い



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