「総統選挙テレビ弁論」が開催、経済・外交・対中関係を中心に激論

【3月11日 台湾週報】

 公共テレビ、中央通訊社、中国時報、自由時報、連合報、蘋果日報等のメディアが共
同主催する「2008総統選挙テレビ弁論」が3月9日に開催され、謝長廷・民進党総統候
補および馬英九・国民党総統候補が出席した。

 冒頭に馬氏は、民進党政権8年間の問題点として「安定しない政治」「落ち着かない
政府」「不確定な政策」「クリーンでない高官」を挙げ、さらに深刻な社会対立と、台
米関係の悪化を招いたと批判した。馬氏は、内政面では「12項目の愛台建設」をもって
4兆元(約14兆円)以上の産業価値を生み出し、12万人以上の雇用機会を創出すると主
張し、対外的には台湾と世界を連結させ、米国、日本、韓国、東南アジア、中国大陸等
と自由貿易協定または地域統合経済の締結を目指すとの考えを示した。

 続いて謝氏は、対立があっても台湾のために共に協力できる事はあるとして、深刻な
政党対立の時代から「共生」の時代を切り開きたいと呼びかけた。経済については、チ
ャーター便による「両岸直航の開放」や、住宅等の不動産を除く「中国資本の台湾への
投資」を支持するとしながらも、台湾の主体性維持が前提であり、「両岸共同市場」や
「一中市場」、「中国学歴の承認」等には反対する考えを示した。

 憲法と国家の現状について、謝氏は「台湾の現状は独立した主権国家であり、国名は
憲法によると『中華民国』である。しかし憲法は7回の改正を経たが、両岸は『大陸地
区』と『自由地区』または『台湾地区』という『一つの中国』の枠組みのままであり、
これを私は『憲法一中』と呼んでいる」と説明した。

 そのうえで謝氏は「われわれが直面している選択は、独立した現状を根拠に憲法改正
または新憲法を制定するのか、それとも憲法に基づいて事実上の独立から事実上の統一
へと現状を変更し、法的統一を果たすのかであり、これは国民の選択である」と指摘し
た。謝氏は「アジアの安定を維持するために、両岸の往来を促進し、台湾は対岸と協議、
話し合いをする必要がある。但し、主権を放棄することはできない。私は中国の人民と
政権に対して敵対心はないが、台湾の国民の権利を必ず守らなければならない。馬氏の
ように台湾が独立した国家でないと言うなら、どうして総統(大統領)を選べるのか?」
と強調した。

 これに対し、馬氏は「総統任期中には、対岸との統一問題を話し合わず、法的な台湾
独立を支持せず、非平和方式によって台湾問題を処理することを支持しない。中華民国
台湾の現状を維持し、新憲法を制定しなくても、民主化は同じように推進できる」と反
論した。

 軍備に関して、謝氏は「われわれに防衛能力があってはじめて交渉の実力が得られる」
と指摘し、「防衛性の武器購入はかならず必要である。但し、攻撃性の武器への発展は
反対する」と主張した。

 馬氏も同様に「台湾は堅強な防衛力の維持が必要である」と述べ、米国から引き続き
武器購入を続ける考えを示した。

 外交について、馬氏は「台湾は進取、人道、民主主義、自由の国家であり、実質関係
上は世界から歓迎を受けている。しかし国交を広げられないのは、中共(中国共産党)
の圧力によるものである」と指摘した。そのうえで、馬氏は「活路外交」を提唱し、外
交と大陸政策の平衡点を探すべきだとして、「両岸関係から切り込んで、解決の方法を
探すべきだ。台湾は今後、まず国際通貨基金(IMF)や世界銀行のオブザーバーを目
指し、そこから双方の多角的関係を切り拓いていきたい」との考えを語った。

 謝氏は「中国の台湾に対する圧力は党派を問わない」と指摘し、一致団結を呼びかけ
たほか、台湾は非政府組織(NGO)、民間、野党等との関係をもっと構築すべきとの
考えを示した。また、馬氏について「(具体的な)方法を挙げず、中共の善意に託した
ものである」と批判した。

 中国との関係についてのいわゆる「92年のコンセンサス」に関して謝氏は、「1999年
8月4日に北京の中央台湾工作弁公室と国務院台湾事務弁公室が『一つの中国の解釈を
各自が表述する』ことに反対する公開声明を発している」として、中国は「『一つの中
国』の解釈を各自が表述する」ことを認めたことはないと指摘した。

 これに対し馬氏は、1992年に行政院大陸委員会副主任委員を務めていたときに、中国
側が「一つの中国」原則の内容は各自口頭で表述してよいと認めたとして、「民進党は
『92年のコンセンサス』の内容に反対してもよいが、『92年のコンセンサス』の存在を
否定することはできない」と強調した。

 さらに馬氏は「あなたたちは『一つの中国』問題に触れたがらないが、われわれは触
れることを恐れていない。なぜなら、われわれは『一つの中国とは中華民国である』と
認識しており、われわれにとって(一つの中国は)なにも困難なことではない」との認
識を示した。馬氏は、「一つの中国は中華民国である」という立場を中国が受け入れな
い場合は交渉に応じないとし、必ず対等な立場で協議し、中華民国の尊厳と台湾の尊厳
を傷つけることはないと強調した。

 また、馬氏は「(中華民国)憲法は当然『一中憲法』であり、制定された憲法の中に
は『第二の中国』は出現しない」と指摘し、みずからの「統一しない。独立しない。武
力行使しない」の主張は、憲法の精神に完全に合致しているとの認識を示した。

 馬氏が主張する「両岸共同市場」に関して、謝氏は、馬氏とコンビを組む国民党副総
統候補である蕭万長氏が「両岸共同市場はすなわち『一中市場』である」と発言したこ
とを指摘し、「共同市場は中小企業や農民、労働者に対する傷害が大きい」と批判した。

 馬氏は「『両岸共同市場』は全世界と連結する一環である」として、台湾は中国大陸
と協力するだけでなく、米国、日本、韓国、ASEAN等とも自由貿易協定を結ぶ方針
を示し、「『両岸共同市場』は長期的な目標であり、先に総合経済協定からはじめてこ
そ台湾は前に進めるのであり、字句の部分に捕らわれるべきではない。『両岸共同市場』
は『台湾を売りとばす』という問題はなく、欧州共同市場のように、一つの国が大国に
飲み込まれるということはない」と反論した。

 さらに馬氏は「両岸共同市場」は、短期間でできるものではなく、先に総合経済協力
協定を締結して双方の投資を保障し、二重課税を避ける等、両岸関係の正常化のためで
あることを強調し、中国大陸の労働者の来台は開放しない方針を示した。

 謝氏は、「両岸共同市場」について「中国労働者が来ないかどうかはまだ協議前なの
に、どうしてわかるのか。中国からの農産物を抑えきれるのか。米国や日本は中国と共
同市場でもないのに、中国の粗悪品が流入している、馬氏はどうやって台湾に流入しな
いと保障できるのか」と批判し、「『共同市場』、『一中市場』は国民投票すべきだ。
賛成の者は馬英九氏に、反対の者は謝長廷に(総統選挙で)投票すべきだ」と主張した。



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