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花蓮地震で日台の絆を見せつけられた中国の歯ぎしり  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」第222号:2018年2月13日号】http://www.mag2.com/m/0001617134.html

*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部で付したことをお断りします。

◆素早い対応ができたのは台湾南部地震の教訓があったから

 2月6日に台湾東部の花蓮県を襲った震度7級の地震による被害者は、死者17人、負傷者280人超と判明した段階で捜索の打ち切りを決定しました。まずは、亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 地震発生から、捜索打ち切りまでの一連の出来事を振り返ってみましょう。今回、地震発生からわずか5日で不明者すべての所在を明らかにするほどまでに素早い対応ができたのは、2年前の台湾南部地震の教訓があったと言われています。

 台湾南部地震では117名の人が亡くなりました。震度は今回の地震と同等の、マグニチュード6.6でした。その時の教訓を活かし、今回は、傾いた建物を鉄骨で支えた上に、鉄骨をコンクリートで固めて補強して、建物が倒れる前に中に取り残された人々を救出することに成功したのです。ただ、押しつぶされた下層階にいた人の犠牲は免れませんでした。

 それでも今回は、生存者は可能な限り救出できたでしょう。生存者救出のため、8日、日本は瓦礫の上から生命反応を探査するための機材や同機材を運用するチームを派遣しました。これも迅速な対応でした。同時に、安倍首相は台湾へのエールを送るとともに、「台湾加油」の書をFacebookで公開しました。以下は、安倍首相のエールの言葉です。

「この困難な時、私たち日本人は古くからの友人である台湾の皆さんと共にあります。日本として、全力を挙げて支援して参ります」

 これに対し、蔡総統も以下のような感謝の言葉を日本語でツイッターに記しました。

「安倍首相からのお見舞いは、まさかの時の友は真の友、まさにその通りです。このような困難な時の人道救助は正に台日双方の友情と価値観を体現するものだと思います」

 また、世界各国からはお見舞いの言葉も寄せられています。もちろん、日本の皆さんからの応援メッセージや寄付金もすぐに届きまました。地震当時、台北にいた俳優の阿部寛さんは、一千万円の寄付を申し出たことで話題を呼びました。

 台湾在住の飲食店経営の男性は、被災地で博多ラーメン200食を被災者や消防隊員の方々に提供したこともニュースとなりました。この男性は、台湾南部地震の被害者だったそうです。

 捜索救助犬隊に所属するラブラドール・レトリバーの「鉄雄」も、生存者を一人発見する活躍を見せ、明るい話題を提供してくれましたが、被災地で負傷したため、その後治療にあたっているそうです。

◆人命や人権よりも政治を重んじる中国は台湾と日本を批判

 しかし、ここでも中国とのギクシャクした関係は浮き彫りになります。地震発生後、中国も早々に支援を申し出てきましたが、蔡英文総統は中国からの支援は断り、日本からの支援は受け入れるという選択をしたのです。表向きの理由は、日本は生存者を発見できる高度な機材を持っているから。

 しかし、そんなことで中国側が納得するわけがありません。報道によると、「中国のインターネット交流サイト(SNS)は、今回の地震で改めて浮き彫りになった日台の親密ぶりに『台湾独立分子の目には、中国は敵で日本は身内と映っている』などと台湾を非難する書き込みであふれている。」そうです。共産党機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)も8日、「大陸を拒絶しながら日本の援助を受けるのか?」と題する記事を配信しました。

 日台の親密ぶりに入り込む隙のない中国は、批判の矛先を日本にも向けました。報道を以下引用します。

「中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は9日の定例記者会見で、安倍晋三首相が台湾の蔡英文総統への地震お見舞いメッセージで『総統』の肩書を使用したことについて『直ちに誤りをただし、中日関係に新たな妨害を作らないよう促す』と批判。日本側に厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。」

 さすが、人命や人権よりも政治を重んじる中国です。だいたい、蔡英文は総統で間違いないですし、それ以外にどう呼べというのでしょうか。トランプ大統領などは、「The President of Taiwan」と呼んでいます。

 地震をめぐる様々なドラマがあった5日間でしたが、建物の倒壊を食い止めながらの救出劇は終了となりました。これからは、被災者のライフラインの復旧や、生活の立て直しへと問題は移行していきます。旧正月を目前に控えての地震でした。また、観光地として成り立っている花蓮県であるため、復旧作業は急がれます。

◆日本のワイドショーから台湾の地震ニュースが消えた理由

 気になったのは、日本での報道が少ないことです。こうしたニュースはワイドショーで連日話題にされるものですが、今回はあまり取り上げられていませんでした。地震のほかに、北朝鮮の軍事パレードや冬季オリンピックなど優先すべき事項があったからなのかもしれませんが、どうも、最近の中国の動きと連動しているように思えて仕方ないのです。

 このメルマガでも以前に紹介しましたが、中国は今、諸外国の民間企業に台湾の扱いについて非常に目を光らせており、台湾を国扱いしようものなら公開謝罪を強制するという力の入れようです。最近のニュースでは、「メルセデス・ベンツ」の宣伝広告にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の言葉が引用されたことに中国内で反発が起き、ベンツの中国販売会社が謝罪に追い込まれた、という話題がありました。

 日本の良品計画が作成したカタログに掲載した地図にも、中国側からのクレームがついて廃棄処分を受けました。ただ、このニュースにはその後のオチがあります。以下、報道を引用します。

「日本の良品計画(東京都)が運営する無印良品のカタログが中国当局から『地図に釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)が掲載されていない』などと指摘され廃棄処分を受けた問題で、この地図は大まかな世界地図で沖縄諸島なども掲載されておらず、中国側の主張には適さないことがわかった。

 中国外務省の会見場に設置された世界地図にも尖閣諸島(沖縄県石垣市)などの記載はなく、事実上の“言いがかり”であることが浮き彫りとなった。

 中国の国家測量地理情報局は、中国が領有権を主張する尖閣諸島などが地図に記載されていないと主張。良品計画によると、地図は世界各地の無印良品の店舗数を示すのが目的で、日本のカタログに掲載した地図を中国語に翻訳したものだった。」

 とにかく、気に入らないものは闇雲にイチャモンをつけるわけです。しかし、中国という巨大マーケットを敵に回す民間企業はまずありませんから、中国の理不尽な主張をどう思うかは別として、みな言われた通りに謝罪するなり、廃棄するなりするわけです。

 こうしてエスカレートしている中国の態度を忖度するように、日本のワイドショーからは台湾の地震のニュースが消えています。安倍首相が堂々と「台湾加油」と言っているのに、マスメディアが萎縮しているとしたら、なんともおかしな話です。

◆他人の不幸を喜ぶ中国人のメンタリティー

 台湾は、日本と同じく地震の多い国です。日本からインドネシアに至るまで、環ユーラシア大陸の列島線は、なおも活火山が多く、地震が多い上に台風も多くあります。いわゆる「天変地異」と言われる自然災害が多いのです。

 中国も自然災害は多くありますが、中国の場合は水害、疫病の流行、旱魃などが多く、自然と社会の劣化が連鎖的に、そして加速度的に繰り返され、年々深刻になっていきます。自然災害が珍しくないことから、中国人は自然災害に遭遇した人への感情的な反応は薄いけれど、それを政治利用しようとする傾向はあります。

 戦前に、日本で和訳された『中国救荒史』という中国の自然災害についての名著がありました。著者の●雲特は、文革のきっかけとなる『燕山夜話』の執筆者の一人として文革中に粛清された文化人の一人です。(●=都の者が登)

 戦後になると、反日言論人は盛んに「中国に学べ」と鼓吹しましたが、その本ではアリやネズミなどの動きを研究して地震の予測をたてようとしていたのです。しかし、日本の地震研究はもっと進んでいるのだから、わざわざ遅れた中国の本のマネをしなくても、独自の研究を進めればいいのです。

 中国は、スポーツや自然災害など、あらゆるものを政治利用します。1999年9月に台湾で発生した台湾中部大地震でも、中国政府はロシアが台湾へ救援隊を派遣しようとしていたのを阻止しました。また、中国の主張によれば、台湾は中国のものであるため、地震のお見舞金として集まった義援金は中国の赤十字によこせというのです。

 中国人のメンタリティーとしてよく知られているのは、「辛災楽禍」という、他人の不幸を喜ぶ精神です。四川大地震の際、北京の人々は「もっと死ね」と大喜びしたそうです。東日本大震災の第一報に接した中国のネットユーザーたちが祝賀会を開いたところ、百万人以上の人が殺到しました。

 この中国人のメンタリティーについて台湾人はよく知っているため、中国で天災が起こっても義援金は送りません。お金を中国に送れば、赤十字が潤って、金は役人のポケットに入るだけで「不正を助長する」ことになるからです。

 東日本大震災のときに、台湾から日本に送られた義援金は200億円でした。大陸である中国と、島国である日本と台湾は、なぜこれほどまでに違うのか。その「気風」と「根性」については、もっと解明する必要があります。

 日露戦争のとき、戦艦建造寄付金を募集したところ、最も多かったのは東京、二位は大阪、三位は台湾でした。

 台湾の7代目総督であった明石元二郎の逝去に伴う教育資金の募集も、最も多かったのは台湾でした。日台は、島国であることから、両国のメンタリティーやエトスは近いものがあります。


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