台湾との合同句集  江畑 哲男(東葛川柳会代表)

台湾には短歌の「台湾歌壇」(蔡焜燦代表)、俳句の「台湾俳句会」(黄霊芝会長)、
川柳の「台湾川柳会」(●世俊会長)がある。すべて日本語で詠むのだから驚く。

 本会の初代会長で現在は名誉会長をつとめる作家の阿川弘之氏は、「文藝春秋」で連載
していた巻頭随筆「葭(よし)の髄(ずい)から」で、台湾の短歌や川柳について取り上
げたことがあった。「台湾の川柳」が載ったのは平成18(2006)年の11月号だった。

 台湾には未だ日本流短詩創作の活動をつづけている人々がいることを、菊池寛賞を受賞
した孤蓬万里こと呉建堂氏の『台湾万葉集』や正岡子規賞を受賞した黄霊芝氏の『台湾俳
句歳時記』などの例を挙げて紹介しつつ、台湾川柳会の会長だった李琢玉さんの初の川柳
句集『酔牛』を紹介された。

 川柳句集『酔牛』の日本での出版は、蔡焜燦先生が仲立ちしたと漏れ聞く。『酔牛』を
監修した今川乱魚(いまがわ・らんぎょ)氏が東葛(とうかつ)川柳会代表から全日本川
柳協会会長に就いた川柳会の重鎮だった関係で、この出版を機に、台湾川柳会と日本の東
葛川柳会の交流が始まった。ついには日台合同川柳句集『近くて近い台湾』(仮称)を出
版しようという動きにまで発展している。

 現在、東葛川柳会の代表をつとめる江畑哲男(えばた・てつお)氏から合同川柳句集を
作りたいという話はお聞きしていたが、こうもトントン拍子に進んでいるとは思わなかっ
た。その経緯を、江畑代表が月刊で発行している会報「ぬかる道」2月号の巻頭言に「台湾
との合同句集」と題してつづられている。

 下記にその全文を紹介するとともに、募集要項なども紹介したい。また併せて阿川弘之
氏の「台湾の川柳」も紹介したい。

 ちなみに、東葛川柳会も台湾川柳会もホームページを設けている。詳しくはホームペー
ジをご覧いただきたい。

 なお、江畑代表と阿川氏の原文は漢数字表記ですが、本誌転載にあたり読みやすさを考
慮し算用数字に改めたことをお断りします。

◆東葛川柳会
 http://members3.jcom.home.ne.jp/tousenkai/

◆台湾川柳会
 http://ftp.scu.edu.tw/scu/japanese/taiwansenryu/

●=次の字のつくりが余(二水に余)


台湾との合同句集  江畑 哲男
【東葛川柳会会報「ぬかる道」:2013年2月号「巻頭言」】

 実際には、今月号(2月号)から新しい年が動き始めた。

 その新年早々の1月4日(金)、私は台湾に向けて旅立った。3度目の台湾、3泊4日の日程
である。1月6日(日)の台湾川柳会新年会に出席して、『日台合同川柳句集』編纂の相談
をさせていただくのが主な目的であった。現役の身でありながら、趣味のために海を越え
る。慌ただしい日程を縫って、我ながらよくやるもんだと、半ば呆れてもいる。

◆台湾との合同川柳句集にご協力を

さて、この合同句集の話は2年ほど前に持ち上がった。たしか、台湾川柳会第3代会長の
頼柏絃さんが逝去された頃(2011年6月)ではなかったか。最初にご提案したのは、私の方
からであった。台湾川柳会の重鎮や日本語世代がお亡くなりになっている現状を憂い、い
まのうちに(と言っては語弊があるが)台湾の川柳と台湾と日本との川柳交流史をまとめ
ては如何か? 「合同句集+文化交流史的な内容」をイメージして、台湾側にご提案申し
上げた。やはり記録として残しておきたい、と考えたからである。

前年の2010年に、台湾川柳会第4代会長に就任した●世俊(青春)さんは、小生の提案に
すぐに賛同してくれた。その後の詳しい経過は省かせていただくが、しばらく休眠状態だ
った企画が昨夏あたりから具体化をし始めた。

 いよいよである。そして、おそらく初めてであろう。海を越えた合同川柳句集の発刊と
いうのは。したがって、ぜひぜひ皆さんにご理解とご協力をお願い申し上げたい。

 以下、メモ風に『日台合同川柳句集』の概要をご紹介させていただく。

1)合同句集には、句集的要素や記録的要素、さらには叶うならば学術的要素をも盛り込
  みたい。

2)句集的要素には、台湾川柳会全員と台湾に何らかの関わりのある日本の多くの川柳人
  にご参加いただきたい。

3)合同句集の応募用紙は作成済み。参加者には、1人15句と短いエッセイ(台湾の思い
  出、台湾川柳会とのかかわりなど)を寄せて貰う。(参加費等の詳細は、専用チラシ
  参照のこと。東葛川柳会HPからもアクセスできます。)

4)記録的要素には、次の事項を掲載してはどうか。

 (ア)創立句会時の様子(当時の名称は「台北川柳会」)

 (イ)仲川たけし(日川協会長:当時)氏をはじめ、台湾を訪れた日本の川柳家(会)
    の記録。
    (団体:佐知川川柳会、池口呑歩一行、陶八雲川柳会、東葛川柳会など。個人:
    仲川たけし、今川乱魚、三村昌弘、村田倫也、北川拓治、金子茂、上田良一、長
    谷川酔月、……)

 (ウ)歴代台湾川柳会会長の横顔、など。

5)編集は共著の形を取り、台湾側は●青春台湾川柳会会長が、日本側は不肖江畑哲男が
  務めることになった。

◆バイタリティー溢れる●さんの活躍

それにしても●青春さんの活躍は目を瞠る。台湾川柳会第4代会長に就任してからの精力
的な活動は、ご承知のとおり。知る人ぞ知る!、である。ともかくエネルギッシュなのだ。

昨年(2012)に限っても、新年早々大阪の川柳塔社、岡山のたましま川柳会、台湾川柳
会初代事務局長の三村昌弘・一子夫妻を訪問したのに始まって、6月の全日本徳島大会、9
月の秋田銀の笛吟社、9月は東葛句会、12月には再びたましま川柳会と川柳塔社訪問で締め
くくった、と聞く。個人レベルの交流となると、俳人の津田霧笛先生、元大阪経済法科大
学の磯田一雄先生、村田倫也氏に大戸和興顧問らの当会の面々、さらには春燈俳句会や早
稲田の連句会まで加わってくる……、いやはやじつに多彩な人脈をお持ちである。

こうした?氏と台湾川柳会の活動を応援しないのは、義が廃る。一肌も二肌も脱いで応
援したくなるというものだ。

ところで、なぜ台湾の地に日本の文芸が根づいているのか? その淵源をたどれば、ご
承知のように戦前・日本統治時代にさかのぼる必要があろう。

 その意味で、今次合同句集には、

6)台湾に川柳の種をまいた塚越迷亭
のような項目が求められよう。あるいは、

7)台湾に根づく日本の文芸(短歌・俳句・川柳・友愛会など)といった紹介記事。

さらには、台湾側からの発信も大切になる。

8)なぜ私は日本語で韻文を書き続けているのか?

多少裏話的になるが、本当は●さんが全面的に仕切っていただくのがよいと考えてい
た。しかしながら、●さん曰く、自身の川柳歴が浅いこと。日本の川柳事情に通じていな
いこと。台湾の政治事情もある(このあたりは小生の想像)ようで、小生に同好の士とし
ての応援を求めてこられたのだ。

 そうそう、当会関係者ならば「今川乱魚さんを偲ぶ会」で故頼柏絃氏と同道された姿が
印象深いことと思う。

という訳で、台湾との合同句集の応募〆切は、3月末日。詳細は、本号『ぬかる道』に別
掲してある。ご参照を。

◆年末年始に読んだ本

 さて、年末年始に読んだ本。

 『東京の副知事になってみたら』(猪瀬直樹、小学館101新書)、『突破する力』(猪瀬
直樹、青春新書)、『幸福立国ブータン』(大橋照枝、白水社)、『「反原発」の不都合
な真実』(藤沢数希、新潮新書)、『試練が人を磨く』(桑田真澄、扶桑社文庫)、『ス
イートピー』(船本庸子)、『歌のうちそと』(来嶋靖生、河出書房新社)、ほか。

『東京の副知事になってみたら』の第一章「『水ビジネス』で世界へ」、この章だけで
も一見の価値あり。生水が飲める有り難い我が国の、宝とノウハウを発信していて興味深
い。

桑田真澄氏が東大野球部の特別コーチに就任。大阪の体罰事件でも発言あり。本著を読
めば、桑田真澄が理解できる。

●=次の字のつくりが余(二水に余)


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