カイロ宣言を巡る呂秀蓮・元副総統と馬英九・前総統の発言と日本政府の見解

台湾の中央通信社は10月25日、カイロ宣言を巡って、呂秀蓮・元副総統が「カイロ宣言には蒋氏、ルーズベルト氏、チャーチル氏の署名や日時などが記されていないと指摘し、国民党と共産党がカイロ宣言に固執するのは、台湾が中国のものだとする理由がほかに見つからないからだと批判した。その上で、カイロ宣言はプレスリリースに過ぎず、法的拘束力はないと強調した」と伝えている。

 同時に、馬英九・前台湾総統がカイロ宣言について「れっきとした条約であり、条約でないとするのはあまりにも門外漢だと語った」、また「蒋介石・中華民国国民政府主席とルーズベルト米大統領、チャーチル英首相の3人によって共同で決定されたもので、公表後には米紙ニューヨーク・タイムズに掲載され、信用度にも問題はないと主張した」とも伝えている。

 呂秀蓮発言の詳細を「Record China」誌が取り上げているので下記に紹介したい。

 周知のように、カイロ宣言には「同盟国の目的は、1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること、並びに満洲、台湾及び澎湖島の如き日本国が清国人から盗取したる一切の地域を、中華民国に返還することに在り。」と述べられていて、この対日方針は、その後の連合国の基本方針となり、ポツダム宣言に継承されたとされている。

 台湾の中華民国は、カイロ宣言について「中華民国はこれを条約としての拘束力を持つ法律文書とみなす」としており、1945年に日本から台湾と澎湖島を返還されたという立場を取っている。

 では、日本は台湾や澎湖島を「清国人から盗取」したのかと言えば、それは歴史事実に反する。1895年に清国と結んだ下関条約という両国が批准した「れっきとした条約」で清国から割与されているからだ。

 また、1945年に台湾と澎湖島が中華民国に返還されたのは事実かと言えば、これも歴史事実に反する。なぜなら、日本が台湾と澎湖島におけるすべての権利・権原・請求権を放棄したのは1951年9月8日署名のサンフランシスコ講和条約であって、それまで台湾と澎湖島は日本の領土と認められていたからだ。認められていなければ、放棄はできないのは理の当然だ。したがって、1945年時点で日本が台湾・澎湖島を中華民国に返還した歴史事実はない。

 事実、1964年2月29日の衆議院予算委員会において、当時の池田勇人首相は台湾の領土的地位に関して下記の見解を明らかにしていた。

<サンフランシスコ講和条約の文面から法律的に解釈すれば、台湾は中華民国のものではございません。しかし、カイロ宣言、またそれを受けたボツダム宣言等から考えますと、日本は放棄いたしまして、帰属は連合国できまるべき問題でございますが、中華民国政府が現に台湾を支配しております。しこうして、これは各国もその支配を一応経過的のものと申しますか、いまの世界の現状からいって一応認めて施政権がありと解釈しております。>

 当時、日本は中華民国と国交を結んでいたが、池田首相は、台湾・澎湖島は中華民国のものではなく、施政権を有しているにすぎないと答弁していた。

 つまり、中華民国が台湾・澎湖島に有しているのは施政権、すなわち立法・司法・行政の三権を行使する権限を持っている信託統治状態にあり、けっして領有権をもっているわけではないこと明らかにしたのだった。もし領有権を持っていた日本が1945年に台湾・澎湖島を中華民国に返還していたなら、このような答弁はできない。

 もちろん、中華人民共和国はサンフランシスコ講和条約前の1949年10月に成立しているのだから、台湾・澎湖島を自国領土とすることが不可能なことは子供でもわかる理屈であろう。

—————————————————————————————–「第二次世界大戦時の日本に対するカイロ宣言に法的拘束力なし」=台湾・民進党重鎮が発言―台湾メディア【Record China:2017年10月26日】

 台湾で民進党・陳水扁政権の2000年から08年にかけて副総統を務めた呂秀蓮氏は25日、過去の社会的不正について討論する「移行期正義:72年前の今日」座談会に出席し、第二次世界大戦中に連合国の米英中首脳が宣言した、(中国共産党や国民党が主張している)台湾は中国領になった根拠とされるカイロ宣言には法的拘束力がないと発言した。台湾メディアの中央通訊社などが伝えた。

 カイロ宣言は第二次世界大戦中の1943年に開かれたルーズベルト米大統領、チャーチル英首相、さらに中華民国の蒋介石総統の三者会談の後に発表された文書。日本統治下にあった台湾と澎湖島は「清国人より盗んだ」として中華民国に返還させると表明している。

 台湾の国民党も中国共産党も、台湾が中国領である重要な根拠として、カイロ宣言を挙げることが多い。

 呂氏は、「カイロ宣言は米英中それぞれが発表したが文体も異なり、日付も発表場所も署名もない」として、「国際条約でなくニュースリリースにすぎない」と主張。台湾が中華人民共和国に所属する理由にはならないと論じ、「この点は非常に重要だ。中国指導者の習近平に聞かせねばならない」と述べた。

 日本は日清戦争に勝利した結果、1895年に清国と結んだ下関条約で、台湾と澎湖島を「永遠に割与」された。その後、第二次世界大戦に敗戦したことで連合国側と結んだサンフランシスコ条約で台湾や澎湖島についてのすべての権利を放棄した。

 サンフランシスコ条約の締結にあたっては、中華民国政府と中華人民共和国のどちらが中国を代表する政府かで連合国側が意見を一致させることができず、日本は直後に中華民国と「日華平和条約」を結び、中華民国に対して台湾や澎湖諸島に対するすべての権利を放棄した。

 呂氏は、中国は台湾の領有権主張について「孫文が樹立した中華民国を覆して中華人民共和国を樹立した。したがって(中華人民共和国は)中華民国のすべてを継承する」ことをロジックとしていると論じた上で、中華人民共和国の成立は1949年10月1日だったと指摘。サンフランシスコ条約は1951年に署名され52年に発効したとして、中華人民共和国成立時に台湾の所属は決まっていなかった論じ、「(中華人民共和国成立の)1949年時点で国民党が持っていなかったものを、どうやって継承するのか?」と述べた。

 サンフランシスコ条約では、中華民国と中華人民共和国のいずれを中国の正当政府として条約締結の資格があるかについて米英で意見が一致しなかった。そのため、日本は中華民国と別途「日華平和条約」を結び、中華民国に対して台湾や澎湖島についてのすべての権利を放棄した。

 座談会における呂氏の主張は日華平和条約に関連する経緯を省略しているが、「カイロ宣言に台湾の所属を定める拘束力はない」「中華人民共和国成立時に中国の台湾領有は確定していなかった。したがって中国が台湾を自国領とする法的根拠はない」とのロジックの整合性が失われることにはならない。

 呂氏の発言は、台湾独立派などがこれまで主張してきた「台湾地位未定論」を踏襲するもの。台湾の各メディアは同発言に改めて注目した。(翻訳・編集/如月隼人)


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