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まぶしき「青い山脈」 上別府 保慶(西日本新聞編集委員)

ある日、いつものように蔡焜燦先生から電話をいただいた。前置きはなにもなく「高峰秀子を知っていますか、タカミネヒデコ」と聞かれる。「ええ、女優さんですよね、名前くらいですが」と答えると「『湖畔の宿』はいい歌だ。歌えますか」と重ねて聞かれる。「湖畔の宿」のタイトルは知っていたが、メロディは浮かばない。「どういう歌ですか」とお聞きすると、電話の向こうで「なんだ、日本人なのにこんな有名な歌を知らないのか」と言って歌い出された。「♪山のさびしい湖に 一人来たのも悲しい心……」

 すると今度は一転「池部良は知っているか」と聞かれる。「はい、よく東映のヤクザ映画で観ました」と答えると「ヤクザ映画か」と言って大笑いされている。

 こちらはなぜ笑われているのかさっぱりわからない。すると「『青い山脈』だよ」と言われる。歌は知っていたし、歌うこともできる。しかし、蔡先生は変化球を投げることが多いので、歌ではなく、石坂洋次郎の『青い山脈』が原作の映画かなと思い「映画ですか」と答えると、「そう、いい映画だった。池部良はいい役者だった」と話しはじめ「『変しい変しい』はよかった」と言われる。

 ラブレターでつづった「変しい変しい」が「恋しい恋しい」の誤字だったというエピソードなら知っていたが、映画の「青い山脈」を観ていないので、映画とは結び付かず「そうでうね」と相づちを打つしかなかったのだが、それにしても、その日の蔡先生はご機嫌で、電話の中身よりも蔡先生のご体調がいいことにホッとしたことを覚えている。

 昨日の西日本新聞のコラム「風向計」を読んで、あの電話では一言も触れられなかったエピソードを紹介しているので驚いた。なんと、蔡先生たちは池部良を台湾に招かれていたという。

 実は調べてみると、高峰秀子が歌った「湖畔の宿」は特攻で飛び立つ若い隊員を前に歌ったこともあるという歌だった。蔡先生はおそらくそのエピソードもご存じだったのだろう。

 池部良を招いたことも、高峰秀子が特攻隊員の前で「湖畔の宿」を歌ったことも、口にはされなかった。蔡先生には、言われた意味が後でわかることがしばしばあった。天上で「ようやくわかったか」といたずら好きの少年のように笑っている姿が目に浮かぶ。

————————————————————————————-まぶしき「青い山脈」 編集委員 上別府保慶【西日本新聞「風向計」:2018年8月9日】

 今は亡き映画スターの池部良さんが84歳になっていた2002年、招かれて台湾を初めて旅することになった。

 池部さんには戦時中、召集されて中国大陸で国民党軍と戦った経験がある。戦後は国民党の統治下へ移った台湾を訪れるのは「怖いような気がした」が、地元の人々に「池部さんが出た『青い山脈』を上映するので、ぜひいらっしゃい」とせがまれては断れない。台北のホテルに現れた時の表情は緊張気味だった。

 招いたのは、司馬遼太郎さんの台湾取材を世話した蔡焜燦(さいこんさん)さんら日本の統治時代に育った「日本語世代」の年配者たちだった。ホテルのホールは約600人で埋まり、「青い山脈」の上映後に池部さんが拍手を浴びて登壇した。

 池部さんは戦前の邦画界の様子や、入隊直後に部隊で見た映画が、くしくも自分の出演作で涙が止まらなかったことなどを話し、原節子さん、藤田進さん、高峰秀子さんといったスターの名を出すたびに「おお」の声が飛んだ。

 それにも増して会場がわいたのは、復員した池部さんが30代で旧制高校生を演じた1949年の「青い山脈」のこと。会場は「若く明るい歌声に」の主題歌の大合唱となったが、池部さんは「青い山脈」がなぜこれほど日本語世代の心に響くのかが、いまひとつ分からぬ風だった。

 1945年夏、日本の敗戦で台湾は日本から蒋介石の国民党政権下に移り、台湾人は「われわれが自分自身の主人になる日が来た」と喜んだ。だが始まったのは恐怖政治。流血の惨事が相次ぎ、人々は息を潜めて生きた。そこへ戦後初めて輸入された邦画が「青い山脈」だったのだ。

 銀幕には女教師役の原節子さんが以前と変わらぬ美しさで現れ、全編に民主主義の空気が漂った。池部さん演じる生徒は女学生に向かい「人間として誇りが持てるような生活をしなければならない」と胸を張った。

 大合唱の後、池部さんに握手を求めた台湾の人々は「青い山脈」への思いを訴えた。

 「ああ、日本の若者たちは恋と自由を謳歌(おうか)しているんだと思い、まぶしかった」「日本があんなに復興しているなんて、うれしかったし、うらやましくもありました」

 池部さんはハンカチを目に当てつつ言った。「こんなにもたくさんの人たちが、私たちの映画を忘れずにいてくれたなんて…」

 戦後73年。池部さんを含めて、この文に名前を書いた人々はすべて世を去った。あの会場で目を潤ませていた台湾の日本語世代の方々の中にも、おそらくは。


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